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納豆の発祥は京都?玉川徹が知られざる京都の納豆文化を老舗社長に直撃

2025.05.24

今回は玉川さんの大好物である納豆から、京都を深掘りする。近年、京都でたくさん食べられている納豆と京都の歴史について、京都の老舗納豆メーカー高橋食品工業の高橋代表取締役に取材した。

高橋孝幸代表取締役【話を伺った人】高橋食品工業の高橋孝幸代表取締役
創業者の高橋慶三が昭和29(1954)年、京都の伏見区八幡町で起業した高橋食品工業。国産豆にこだわるブランド『鶴の子納豆』の商品を販売中。

京都の知られざる納豆文化について探るべく創業70年以上の歴史を誇る老舗社長に取材!

玉川 僕は納豆が大好きなんです。今回のインタビューに先駆けて『鶴の子納豆』ブランドを展開している高橋食品工業さんの『京都ブラック国産小粒納豆』を頂きました。「ブラック」という商品名から黒豆を想像したのですが、ブラック醤油を使ったタレが付いていたんです。食べている最中、学生時代によく通っていた『新福菜館』というラーメン店の真っ黒なスープを思い出しました。

高橋 その商品は、まさにラーメンの真っ黒なスープをイメージし、納豆用にアレンジしたタレを付けたのです。弊社は以前、玉川さんの母校・京大の学生食堂にも納豆を卸していました。

玉川 まさか学生時代から御社の納豆を食べていたとは(笑)。当時、数名の友人たちと旅行に行ったら、兵庫と大阪の出身者は朝食の納豆を食べなかったのに、同じ関西でも京都の出身者は納豆を食べていたのを記憶しています。京都では納豆を食べる文化があるのでしょうか。

高橋 そもそも「京都は納豆発祥の地」という説があるのをご存じですか? 納豆の起源については諸説ありますが、平安時代後期に活躍した武将・源義家が納豆を作ったという言い伝えがあります。戦の兵糧として、ワラで編んだ俵に煮豆を詰め込み、馬の背に乗せて運んだところ、糸を引く納豆ができたとか。馬の体温である38度が、ワラに付着した納豆菌を繁殖させるのに適していたようです。

玉川 〝八幡太郎〟とも呼ばれる義家にゆかりのある食べ物だったとは! それでは、かなり昔から納豆の文化が京都には根付いていたわけで、だからこそ、京都の人は納豆に抵抗がないのですね。

高橋 実際によく食べてきたのは、京北や丹波といった京都北部の人だけ。京都の中心部では、ほかの関西圏と同様に、つい40年前くらいまで、あまり納豆を食べなかったそうなのです。

玉川 えぇ!? それではなぜ食べるようになったのでしょうか。

高橋 一番大きいのは、冷蔵庫が一家に一台普及したこと。冷蔵すれば、納豆のニオイが生じません。そのことで、納豆への抵抗感は弱まったと見ています。

鶴の子納豆

外国人の苦手な和食No.1だった納豆が今では海外でも人気に!

玉川 家電製品の普及が、納豆を取り巻く環境を大きく変化させたわけですね。最近ではどんな変化が見られますか?

高橋 世界的な健康志向の強まりが、納豆の消費拡大に大きく影響しています。納豆に含まれるナットウキナーゼという成分は血液をサラサラにする効果があり、納豆1パックで8時間、その効果が持続します。血栓が生じやすい夜に食べるといいという研究結果も発表されました

玉川 納豆は、人間に必要な5大栄養素のすべてを含む完全食。免疫力もアップするし、骨粗しょう症の予防にもつながる。身体にとてもいい食べ物ですよね。

高橋 そうした点が広く認知され、海外でも積極的に食べられるようになりました。弊社における納豆の供給先は国内が約90%、海外は10%程度ですが、昨年対比では海外が約130%の伸びを示すほど人気です。海外へ輸送する際は納豆を冷凍し、そのまま販売しています。冷凍すると解凍時に少し軟らかくなりますが、気になるほどではありません。なお、米国では1パックで約450円です。

玉川 海外でも手頃な価格なんですね。そもそも納豆って、安すぎませんか?

高橋 納豆の高級化路線は、業界の課題のひとつです。納豆は価格を抑えるため、ほとんどが米国・カナダの大規模農地で大量生産された小粒大豆が使われてきました。それを今後はできるだけ国内原料に切り替え、高価格帯の高級納豆へと進化させる必要があると、私は考えています。弊社では外国産の大豆を一部使用する一方、早くから国産大豆にこだわる商品展開をしてきました。『鶴の子納豆』の名も、大豆の王様と呼ばれる北海道産大粒大豆の通称名『鶴の子』に由来しています。今年3月には、京都産小粒大豆を使った納豆も商品化。国産大豆を使った納豆は、食感がモッチリしていて糖質が高く、味わいが違いますよ。

玉川 国産小粒大豆を使った納豆も、ぜひ食べてみたいですね。それと先ほど話に挙がったブラック醤油以外に、何か新しいタレを導入したことはありますか?

高橋 タレではないのですが「京七味」を付けた納豆は、食べ方に工夫した新製品のひとつ。京七味に含まれる山椒がよく効き、ニオイを抑える効果もあります。

玉川 納豆に混ぜるものをアレンジするのは、とてもおもしろいですよね。実は僕も京大の頃から食べ方を試行錯誤していました。そのようなアイデアを御社の商品開発に生かすことはできますか?

高橋 ぜひぜひ。やり方次第では売れると思います。納豆の生産ラインは変更が難しく、商品化のハードルは高いと言わざるを得ません。しかし、最後の工程として付けるタレを、新しい別のものに変えるという可能性はあるかもしれません。

玉川 そうですか! すごく可能性を感じますね。今後ぜひ提案させてください。

今月の取材で深めた京都の[納豆文化]事情

★納豆は京都が発祥の地という説がある。
★納豆がよく食べられていたのは京北のエリア。
★京都全域で食べられるようになったのは冷蔵庫の普及以降。
★最近では納豆に混ぜるタレに独自性を持たせた新製品の開発が進む。
★日本だけでなくヘルシー志向の海外でも納豆が人気に!

今回のまとめ

 源義家の逸話により「京都が納豆発祥の地」とされていること。以前までは京都の中心部で納豆といえば甘納豆だったこと。近年における納豆人口の広まりには冷蔵庫が影響していたことなど、知らないことがたくさんありました。海外への拡大も驚きですね。今後は高級化や国産化という新しい道を切り開く高橋食品工業さんの往古来今が非常におもしろく、興味深く感じました。今年の連載では何か新たなものを生み出したいという思いを強く抱いていて、納豆でそれが実現するかもしれないことに、ワクワクしますね。読者の皆さんも自分の興味のあることはとことん掘り下げ、自分なりのアイデアをカタチにすることを考えながら、仕事につなげてほしいと思います。

新しい食べ方を楽しめる納豆をプレゼンしたいです!

玉川徹さん
玉川徹さん
テレビ朝日系、朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』のレギュラーコメンテーターとしておなじみ。パーソナリティーを務めるレギュラー番組『ラジオのタマカワ』(TOKYO FM / 毎週木曜日11:30 ~13:00)が大好評オンエア中!

取材・文/柿川鮎子 撮影/湯浅立志(Y2)[人物]、木村圭司[納豆] 編集/田尻健二郎

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