
グローバルな人材サービスを展開するヘイズが発表した2025年ヘイズ アジア給与ガイドによると、日本の就業者の66%が今年転職を検討しており、これは日本、中国、香港特別行政区、マレーシア、シンガポール、タイの6つの地域の中で最も高い割合であることがわかった。
以下、同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
アジア全体:転職を検討する就業者が増加
アジア全体では、58%の就業者が今年転職を検討しており、2024年に転職した割合(25%)の2倍以上となっている。そのうち55%は新たな企業への転職を希望、3%はフリーランス転向や独立を検討している。
退職理由として最も多く挙げられたのは「キャリアアップの機会不足」であり、2024年の35%から43%へと増加した。また、雇用の安定性に関する懸念も高まり、2024年の18%から22%へと上昇している。
一方で、ワークライフバランスを重視する割合はやや減少し、2024年の17%から今年は15%となった。また、「よりチャレンジングな業務を求める」との回答は、前年の18%から15%に減少した。
日本:キャリア成長への関心が顕著に
2024年に転職した就業者の割合は、日本では29%となり、タイ(32%)に次ぐ高さで、香港(27%)や中国(26%)を上回る結果となった。しかし、今年はさらに転職意向が強まる傾向を見ることができる。
この結果を踏まえ、「日本の就業者の66%が今年転職を計画しています」と、ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクターであるグラント・トレンズ氏は話す。
「この割合はアジアの他地域を上回り、日本の企業が優秀な人材を維持し、市場競争力を保つために対策を講じる必要があることを示しています」 (トレンズ氏)
一方で、中国では転職を検討する割合が44%と最も低く、マレーシア(62%)、タイ(61%)、香港(57%)、シンガポール(57%)が続いている。
また、現在の勤務先でキャリアアップの可能性があると感じていない日本の就業者は65%にの達した。転職を予定している理由としては、「キャリアアップの機会不足」が32%、「仕事にやりがいを感じられない」が22%となっている。
「給与以外の要素では、日本の就業者の50%が、新しい雇用先を選ぶ際に『影響力のある業務やプロジェクト』を重視しています。今年、日本企業の人事投資戦略では従業員の定着が重要視されています。こうした要素を従業員価値提案(EVP)に取り入れることで、優秀な人材の維持につながるでしょう」(トレンズ氏)
■リモートワークの柔軟性を求める傾向
日本の就業者は、柔軟な働き方を提供する職場を求める傾向も顕著fs。27%の就業者が「リモートワークの可否」を転職時の重要な条件としており、これはアジアで最も高い割合だ。また、新しい勤務先を評価する際、35%の従業員がワークライフバランスの取り組みを重視している。
この件に関してトレンズ氏は、次のように分析する。
「日本の企業の61%が現在リモートワーク制度を導入しています。世界的に見ると、オフィス回帰の動きがあるにも関わらず、日本ではワークライフバランス施策が重視され続けていることがわかります。こうしたニーズに対応することで、企業は従業員の満足度を向上させ、魅力的な雇用主としての地位を確立できるでしょう」
ヘイズアジア給与ガイド〜雇用の実態調査部分調査概要
調査期間 /2024年9月~11月
調査方法/インターネット
回答者/アジア6か国・地域の社会人 8790人
内訳/中国2134人、香港特別行政区746人、日本1442人、マレーシア2682人、シンガポール1519人、タイ267人
関連情報
http://www.hays.co.jp/index.htm
構成/清水眞希