
パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っているパーソル総合研究所は、生活者の生の声をもとに「はたらく」トピックスのトレンドを可視化する「はたらくソーシャル・リスニング(2024年度下半期)」を発表した。
今回の調査でもっとも投稿増加率が高かったのは「103万円の壁」
この調査では、SNS、ブログ、レビューサイト、掲示板など国内10万のソーシャルメディアから取得した「はたらく」に関する投稿(サンプリングデータ)を定期的に分析しているが、今回の調査でもっとも投稿増加率が高かったのは「103万円の壁」で、前年同期比約1390倍という圧倒的な伸びを記録していることがわかった。
さらに制度変更に対する期待や“税負担の軽減につなげてほしい”という複雑な声が投稿から読み取れたという。なお今回の調査では、メンション数は該当キーワードの投稿回数を指し、1回の投稿文中に複数回使われている場合は、複数回分をカウントしている。
ちなみに2024年度下半期において、前年同期からの投稿増加率が高かったトピックの6位から20位は以下の通り。
※24年度年下半期のメンション数が5000以上のトピック。メンション数:該当キーワードの投稿回数。1回の投稿文中に複数回使われている場合は、複数回分をカウント。
24年度下半期のピックアップ・トレンド(1):年収の壁撤廃/見直し関連の議論が急激に注目度アップ!
24年度下半期のピックアップ・トレンド(2):人手不足倒産・労働力不足・労働力人口の話題が増加!
2024年度下半期の投稿減少率上位ワード
2024年度下半期の前年同期からの投稿減少率が高かったトピックは以下の通り。
24年度下半期のピックアップ・トレンド(3):ジョブ型、賃上げ、春闘の話題がやや減少
※24年下半期のメンション数が5000以上のトピック。メンション数:該当キーワードの投稿回数。1回の投稿文中に複数回使われている場合は、複数回分をカウント。
■パーソル総合研究所/主席研究員の小林祐児氏の分析コメント
「2024年度の下半期も多様な労働関連のトピックが人々の間で注目を集めた。目立ったのは社会保険料や所得税負担について。与野党の間で金額見直しや撤廃の議論が活性化し、関連ワードは急激に話題を集めた。そもそもの制度の複雑さも手伝って、解説記事やコメントも大量に投稿された。
労働力不足や物価高が進む中で、社会全体に大きく影響を与える制度変更であり、25年度も引き続き議論は活性化しそうだ。昨年度から連続して上昇してきたのは「人手不足倒産」(18位)である。コロナ禍の各種補助からの反動や建設・物流業界の労働時間制限が開始されたこと、そのほか人件費やコスト上昇により倒産数が大きく増えてきている。
成長分野への円滑な労働移動が叫ばれる中で、倒産した企業からの労働移動が実際にどう起こっていくかも実証的検証が望まれる。「ジョブ型」や「賃上げ」、「春闘」については、昨年ほどの話題にはならず、世間やメディアの熱としては冷めてきている様子がうかがえる。その一方で、企業の動きとしてはそれぞれ続行している事柄であり、トレンドとして消費せずにしっかりとした追跡が必要だ」
出典:「パーソル総合研究所」
構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
https://rc.persol-group.co.jp/
構成/KUMU