
日本人の一般的な通勤の交通手段といえば公共交通機関だが、個人向けセキュリティサービスを提供するNordVPNの調査によると、71%が通勤時のサイバーセキュリティ脅威について「懸念している」と思っているという。
日本の通勤者の36%が電車を利用しているが、公共Wi-Fiの利用や混雑した車内での覗き見など、日常的な通勤環境に潜むリスクを多くの人が現実的な課題として考えているようだ。そんな日本の通勤時のデバイス利用実態とサイバーリスクに関する意識調査について紹介していこう。
通勤時にスマートフォンを利用する人は全体の65%
今回の調査では、通勤中にスマートフォンを利用する人は65%で、そのうちの85%は1時間以内でインターネットを利用していると回答。ニュース閲覧、SNSや通話やメッセージ、音楽・ポッドキャストの視聴など、多くの人が移動中にさまざまな形でオンライン接続を行っているという。
公共Wi-Fi利用者は60%以上だが28%はセキュリティ対策を講じていないと回答
通勤中にインターネットを利用する人の60%が公共Wi-Fiを使用していると回答。その一方で28%の人が何のセキュリティ対策も行っていないと回答しており、身近なリスクに対する意識の低さも浮き彫りになった。
ショルダーサーフィンを22%が目撃
混雑した公共交通機関では、スマホの画面が周囲から見られやすくなるが、実際に24%の人が他人の画面を覗き込む行為である「肩越しの覗き見(ショルダーサーフィン)」を目撃したと回答している。ここからも日常的な通勤環境にはプライバシーのリスクが存在しているといえるだろう。
安全な通勤のためのサイバーリスク対策
通勤中のサイバーリスクや物理的なプライバシー侵害から身を守るためには、日常的なセキュリティ意識と基本的な対策が欠かせないが、誰でも取り組みやすい実践的な方法もあるので実践してみよう。
・VPNを利用し、通信内容を暗号化する
公共Wi-Fiを使用する場合、VPN(仮想プライベートネットワーク)を活用することで、通信内容が暗号化されて第三者による傍受や個人情報の漏洩を防ぐことができる。
・デバイスの自動接続機能を無効にする
スマホやPCのユーザーが意図せずに不審なネットワークに接続しないように、Wi-Fiの自動接続設定をオフにしておくことが有効だ。
・ソフトウェアとアプリを常に最新の状態に保つ
アプリケーションやOSのアップデートには、セキュリティ修正が含まれることが多いので、定期的な更新がサイバー攻撃の予防につながる。
・強力なパスワードを設定する
英数字や記号を組み合わせた複雑なパスワードを設定して、パスワードの使い回しを避ける。可能であれば二要素認証(2FA)の導入も検討すべきだ。
・プライバシースクリーンを活用してのぞき見を防止する
電車やバスなどの混雑した環境では、のぞき見防止フィルターを活用して、肩越しの覗き見による情報漏洩を未然に防ぐことができる。
NordVPNサイバーセキュリティ専門家/アドリアヌス・ワーメンホーフェンさんのコメント
「通勤時間は情報収集やコミュニケーションの時間として活用される一方で、サイバーリスクにも常にさらされています。公共Wi-Fiの利用や画面の覗き見など、物理的なリスクも含めた対策が必要です」
通勤時や日常の環境では、のぞき見のような行為も含めてサイバーリスクを意識するように心がけたほうがよさそうだ。
「日本における通勤時のデバイス利用実態とサイバーリスクに関する意識調査」概要
調査内容:通勤時のインターネット使用状況にまつわる調査
調査期間:2025年2月20日~2025年3月2日
調査方法:Cintによるインターネット
調査対象:日本在住の18歳~74歳のインターネットユーザー(全国代表サンプル)
回答数:1000名
構成/KUMU