3000株以上の酵母から組み合わせを探す開発スタート
頼りにしたのは先人達の「実験ノート」
有史以来、杜氏の経験と勘に頼っていた醸造に科学的管理を導入するため設置された大倉酒造研究所(現:月桂冠総合研究所)。上の写真は保管されている酵母の貴重なカット、下は膨大な研究ノート。これら100年を超える研究の資産があって、初めて『アルゴ』は開発された。基礎研究も盛んで、麹菌で難分解性プラスチックの分解酵素を生産する技術等も実現している。
「飲み応え」ってなに?
口ではうまく説明できないから試作を重ねるしかなかった
『アルゴ』は多部署の連携により生まれた。中でも〝飲み応え〟などの感覚的な言葉を数値に落とし込む作業は、小髙と福地らの緊密な関係性があってこそ実現した。
CMでも「5」を強調
狙う低アルコール日本酒の〝代名詞〟化
低アルコール度数の日本酒に対する購入意欲は高く、『アルゴ』は「メーカーとファンの悲願」とも言える大型商品だった。そこで月桂冠はCMにも登場する俳優・川栄李奈さんを招いた大規模な発表会を開催。『アルゴ』を低アルコール度数の日本酒の象徴する商品とすべく動いた。
月桂冠『アルゴ 日本酒5.0』968円・720ml瓶、418円・300ml瓶(編集部調べ)
困難な商品設計こそが育てた対話力
月桂冠『アルゴ』ヒットをひもとく挑戦者たちの足跡
各部署が研究資産を熟知する風通しの良さがあった。成功のポイントは3つ。
POINT 1|残された研究ノートをヒントに続けた酵母開発
POINT 2|試作のたび「飲み応え」を部署間で共有
POINT 3|日本酒カテゴリーの代名詞を目指すネーミング
取材・文/夏目幸明 撮影/佐藤信次 編集/髙栁 惠
※本記事内に記載されている商品の価格は2025年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。