
2024年からスタートした雑誌『DIME』の人気連載「玉川徹から働き盛りの君たちへ」。最新号の2025年6・7月合併号では、玉川さんが興味関心の高い京都の納豆について取り上げている。取材記事の方向性を練るために、ヒアリングに協力してもらったのが、納豆の魅力を様々な角度から紹介する『納豆マガジン』の編集長・村上竜一さんだ。「納豆が苦手」という印象の強い関西圏とは一線を画す、京都の納豆文化とはどのようなものなのか、京都在住の村上さんに伺った。
「納豆餅」に「大徳寺納豆」……京都には伝統的な〝納豆〟が多い
1985年に放送されていたNHKの連続テレビ小説『澪(みお)つくし』。物語の序盤で明石家さんま演じる関西出身の弥太郎が納豆を猛烈に嫌がる姿は、筆者の記憶に強く残った。それ以降「関西の人=納豆が苦手」だと信じて疑わなかったが、どうやら京都の人だけは違うらしい。そもそも納豆は京都が発祥の地という説もあるという。
京都には納豆をお餅に練り込んだ「納豆餅」が、割とフツーにスーパーで売られているという独自の文化もあり、納豆を食べること自体は珍しいことではありません。ちなみに、いわゆる納豆とは違うのですが、京都には「大徳寺納豆」という伝統的な保存食もあります。若い人というよりも、50代以上の世代が好んで食べる傾向があり、それも京都で流通していますね。
京北地域では正月の際に味噌汁とともに食べる風習が残っているという「納豆餅」。
出典:農林水産省ウェブサイト
京都には納豆を作る企業がたくさんあり、『納豆餅』や『大徳寺納豆』だけでなく、フツーの納豆もスーパーで取り扱っているという。
スーパーで当たり前のように置いてあるのが『鶴の子納豆』と『牛若納豆』。この2ブランドは人気があって、こればっかり買う人も少なくありません。両者のうち、特に『鶴の子納豆』は、いろんな種類の納豆も展開していて、規模が一番大きいと思います。
ちなみに京都には、売り方や素材にこだわる納豆もあるそうだ。
私が時折、容器にタレを入れる仕事を手伝うこともある『藤原納豆』の商品は、100%国産大豆を使った納豆を展開していて、スーパーでフツーに売られているだけでなく、ホホホ座浄土寺店や大垣書店といった京都の本屋さんでも扱っているんです。
一方、私も結構好きで食べている『ユー アンド ミー』という会社の納豆は、オーガニック系の大豆を原料に使っていることで知られています。農薬を一切使わない有機大豆を使っていることから健康志向の人に好まれていて、京都の中でも高級路線のスーパーでしか販売されていません。
それぞれ違った独自のアプローチで納豆を展開しているのがおもしろいですね。
実は、村上さんも自身が運営している雑貨店で、納豆を販売しているとか。
関西圏のうち、納豆を扱っている企業が一番多いのは、おそらく京都だと思いますね。
京都在住の『納豆マガジン』編集長・村上さんがおすすめする食べ方とは?
少なくとも毎日2パックは納豆を必ず食べるという村上さん。いつ頃から納豆のことについて詳しくなったのだろうか。
子どもの頃から納豆巻きがメチャメチャ好きで。寿司屋に行っても納豆巻きばかりを注文していました。そんな幼い頃の記憶から「納豆巻きがメインの催し物を企画したら注目を集めるんじゃないか』と思って、2019年頃から納豆巻きのイベントを始めたんですが、2020年以降に始まったコロナ禍でできなくなってしまい……。
そこでイベントではなく、納豆のレビューをSNSに投稿するようにしたら、納豆にハマってしまったというわけです。当然ながら、納豆によって、味やパッケージが違うし、それがおもしろくて。コロナ禍で失った仕事もあり、自分には「もう納豆しかない!」みたいな(笑)。
SNSでの納豆レビューに加えて、以前まで雑誌の編集業務などに携わっていたという村上さん自身の経験も生かし、2021年には『納豆マガジン』を出版した。
関わっていたのはアパレルを扱う雑誌だったので、ファッション×納豆という掛け合わせもおもしろいかなと。現在は『納豆マガジン』のような出版物だけでなく、納豆をモチーフにしたアパレルのアイテムも、私のほうで企画し、商品化しています。
今では納豆に関する様々なビジネスも展開しているという村上さん。どのような納豆が好きで、どんな食べ方をしているのだろうか。
結構、いろいろな種類の納豆を食べますね。例えば、朝によく食べる「卵かけ納豆ごはん」には、小粒や引き割りの納豆を使います。一方、夕飯には食べ応えのある大粒の納豆をおかずとして食べる……といった具合に、時間帯などに合わせて食べ分けています。
それと基本的にタレは付けず、納豆そのものの風味を愉しんでいます。醤油も入れないで食べることが多いですが、一時期、オリーブオイルと塩を混ぜることにハマっていた時期がありました。オリーブオイルの代わりにゴマ油でもOK。結構美味しいですよ。あとは紅しょうも納豆とはメッチャ相性がいいのでおすすめです!
食欲をそそられる組み合わせをたくさん提案してくれた村上さん。取材の中で話に挙がった京都の『鶴の子納豆』については『DIME』最新号の「玉川徹から働き盛りの君たちへ」にて詳しく解説しているので、ぜひそちらの記事も読んでほしい。筆者のように「関西の人=納豆が苦手」というイメージが大きく覆るはずだ。そして、京都への出張や旅行の楽しみが、またひとつ増えるに違いない。
『納豆マガジン』
編集長 村上竜一さん
1993年生まれ。関西のファッション誌『カジカジ』での編集経験を経て、現在は自身が立ち上げた『納豆マガジン』の編集長を努める一方、納豆アパレル<ネバネバビーン(@never.never.bean_natto)>も手がけている。2025年2月には新刊『納豆図鑑』を出版。2025年3月には表参道にて「納豆万博」を開催した。
取材・文/田尻健二郎
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