
生成AIの急速な発展により、ビジネスパーソンの生産性が飛躍的に向上し、高度な専門技術がなくても短時間で、高品質な成果を出せるようになった。
これにより、他の仕事をする時間が確保でき、また短時間でも稼げることから、参入障壁が下がり、AI副業をする人が増えている。
目標として「月100万円をAI副業で稼ぎたい」とした場合に市場にはどのような需要があり、それに応える価値提供のためには何をすべきか。AIを活用して戦略的に収益を上げるロードマップを本記事でまとめてみた。
「月100万円」までの3段階!まずは「月10万円」を目指そう
実際に月収100万円を得られるようになるには、最低でも1年ほどかかると見ておきたい。
また、単純にAIツールを使いこなすだけでは不可能で、スキルの獲得・専門性の発揮、ブランディング、自動化……と段階的にアプローチしなければならない。
【フェーズ1】
初期収益化の確立段階(目標月収1~10万円、達成期間3か月~1年)
クラウドソーシングで実績を積めば達成可能な範囲である。
◇やること
◎AIツールの基礎知識とスキルの獲得
ChatGPT、Claude、Gemini等の主要テキスト生成AI、Canva AI、Midjourney、Adobe Firefly等の画像生成AIの使い方や出力物の評価・編集能力、事業に必要なスキルを身に着ける。生成AIは、無償プランから使い始めてもよい。
◎収益化ができる業務分野と実務経験・ポートフォリオの構築
ココナラ、ランサーズ、クラウドワークス等のプラットフォームで、実際に業務を受注し、成果を上げていく。小規模かつ低単価の案件でも手を抜くことなく成果を出し、自分の能力を証明する実績(ポートフォリオ)を作っていく。
【フェーズ2】
専門性の拡大・深化と収益規模の拡大(目標月収10~30万円、達成期間6か月~2年)
専門性を高めていき、クライアント企業との直接契約や単価交渉ができれば達成可能。
◇やること
◎自己のブランディングと専門性のアピール
ポートフォリオが出来上がってきた得意分野で「〇〇専門」と活動し、ブログやSNSを通じた情報発信を行い、専門家としての認知度向上を図る。
◎業務効率化&品質維持活動
よく使うプロンプトや作業工程を標準化・テンプレート化し、生成AIツールと画像編集アプリなどの他のツールとを組み合わせ、生産性と品質の両方を維持・向上させる。
◎プラットフォームと販売チャネルの複線化
自身のオンラインストア(BASE等を利用)を開設しての直接販売を開始したり、クライアントの「課題解決」や「成果向上」に直接的に貢献する提案型のサービス提供へと移行したりして、直接販売しながらチャネルを複線化する
【フェーズ3】
事業規模拡大とチームアップ(目標月収100万円~、達成期間1年~)
単なるAI副業作業者としではなく、事業として仕組み化(自動化、外注、独自商品開発、B2B展開)を進める必要がある。相当な努力と時間、ビジネススキルが求められるが決して非現実的ではない。
◇やること
◎業務プロセスの自動化(システム化)と外部リソースの活用
販売プロセス(決済、納品など)や定型的な顧客対応を自動化・効率化する。自身の注力すべき中核業務(企画、高付加価値サービス提供、マーケティング)に時間リソースを集中するため、定型的な作業プロセスを外部パートナーへ委託する
◎独自商品・サービスの企画/開発
ストック収入を生み出すデジタル商品(特定用途向けAIプロンプト集、電子書籍、オンライン講座)を開発し、販売する。そのためにコンテンツマーケティング(専門ブログ運営、YouTubeチャンネル開設等)や広告運用を通じて、潜在顧客層へのリーチを拡大し、見込み客リストを作っていく。
◎B2B展開の検討
さらなる拡大を目指し、企業のコンテンツマーケティング活動支援、業務効率化を目的としたAI導入コンサルティングなどの高単価が期待できる法人向けサービスを開発・提供する。
AI副業で稼げる業務で自分にハマるジャンルはどれ?
ロードマップに対して何をしていくか、得意分野とできる業務は何か、を定めなければ実際に稼ぐことはできない。最も難易度が低いのはWebライティングやブログ運営だが競合となる人が多く、単価も低い。
下表にまとめた業務のうち★2つ以下の業務が手になじむかどうか色々試してみるとよい。
また、ビジネス領域での業種に関する専門性を獲得したり、本業で行なっている仕事に関連する専門性を磨いたりしていくと尚良い。
出典:編集部にて作成。業務難易度は★(易)~★★★★★(難)。
最終的には単価が最も高くなる業務に注力できるとよい。見た目上の収入の目安が高いのは企業を相手にしたAIコンサルティングだが、ストック収益が目指せるコンテンツ企画・ライティングや画像・動画の業務だと同規模かそれ以上の収入が目指せる。
AI副業で利用できるプラットフォーム7選
前項で紹介した業務と合わせて紹介したプラットフォームが具体的にどのようなものか7つ紹介しよう。
ロードマップのフェーズ1のスタートには、ココナラから使い始めるのがオススメだ。
(1)ココナラ:個人のスキルを売買できるスキルマーケット
AIを用いたロゴ・イラスト制作、文章作成(ブログ記事、キャッチコピー)、データ分析、プログラミング補助、AI導入コンサルティングなど、多様なスキルを提供できる。価格設定の自由度が高く、実績を積むことで高単価も狙える一方、初心者でも始めやすく、サポート体制も充実しているため、AI副業入門にもってこい。
(2)BASE(ベイス):低価格で自分用のネットショップが持てるプラットフォーム
AIで生成したイラストやデザインデータ、写真素材、AIを活用して作成したオリジナルのデジタルコンテンツを販売する自分のオンラインストアを簡単に開設できる。デザインのカスタマイズ性が高く、ブランドイメージに合わせたショップ構築が可能で、集客は自身で行う必要がありますが、手数料は比較的低く、売れたときにのみかかるのが魅力。
(3)ストックフォトサイト(Adobe Stock,PIXTAなど):写真やイラスト素材を販売できるプラットフォーム
AIで生成した高品質な写真、イラスト、ベクター素材などを登録し、ライセンス販売できるプラットフォーム。企業やデザイナーなどが素材を求めて利用するので、クオリティが高い作品は継続的な収益(=ストック収入)につながる。一度アップロードすれば、あとは自動で販売され、手間がかからない点がメリット。ただし、審査基準があり、類似作品も多いため、独自性と質の高さが求められる。
(4)クラウドソーシングサイト(ランサーズ/クラウドワークスなど):クライアント企業から業務を受注できるプラットフォーム
企業や個人事業主がオンライン上で不特定多数の人、主にフリーランスや副業で働く個人に業務を委託するプラットフォーム。AIを活用したデータ入力・収集・整理、記事・コンテンツ作成代行、文字起こし、翻訳補助、簡単なプログラミング、市場調査レポート作成補助など、多様な案件が見つかる。単発の仕事から長期的なプロジェクトまで様々あり、スキルや経験に応じて仕事を選べる。実績を積むことで信頼を得て継続的な受注につながることもある。
(5)Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング:電子書籍販売ができるAmazonのプラットフォーム
AIを利用して執筆、編集、校正を行った電子書籍を、世界最大のECサイトであるAmazonのKindleストアで出版・販売できるプラットフォーム。初期費用や在庫リスクなしで、小説、実用書、専門書、写真集、漫画など幅広いジャンルの書籍が出版でき、印税率は最大70%と比較的高く、Amazon集客力を活用できるのが大きなメリット。
(6)Etsy (エッツィー):国際的なマーケットプレイスでAIアートやデジタルデータ販売ができる
ハンドメイド作品、ヴィンテージ品、ユニークな製品が集まる世界的なオンラインマーケットプレイス。AIで生成したアート作品(ポスター、壁紙)、デジタルプランナー、グリーティングカードのデザイン、カスタムポートレート、パターン素材など、オリジナリティの高いデジタルデータや、それらを印刷した物理的な商品が販売できる。ニッチな需要に応える商品や、デザイン性の高い商品が評価されやすい傾向にある。
(7)Fiverr:国際的なフリーランスマッチングプラットフォーム
世界160カ国以上で利用されている国際的なフリーランスマッチングプラットフォーム。「ギグ」と呼ばれるパッケージ化されたサービスを出品する形式が特徴で、AIを活用したロゴデザイン、Webサイトデザイン補助、動画編集・字幕生成、SNSコンテンツ作成、音声ナレーション生成、翻訳・校正サービスなどを、特定の価格と納期で提供できる。海外のクライアントもターゲットにできるため、語学力があればさらに活躍の場が広がる。
副業で業務をする場合、企業に所属して業務をするときと異なり、全責任が自分にのしかかってくる。
生成AIツールが持つ特有のリスクや、副業として収益を上げたときの税務処理についても忘れずに意識しておこう。月収100万円という目標達成は簡単な道ではないが、生成AIと伴走しながら成果を上げていってもらいたい。
文/久我吉史