週休3日制は柔軟な働き方として注目されており、制度導入には多様な形態が存在する。政府の後押しや企業の人材確保策として導入が進み、自治体や民間での事例も広がっている。
目次
近年、多様な働き方が求められる中で関心が高まっている「週休3日制」。政府による働き方改革の推進や、企業の人材確保・生産性向上への取り組みを背景に、導入を検討する動きも広がりを見せている。
本記事では、週休3日制の基本的な定義から、多様な導入形態、制度導入のメリットやデメリット、導入事例について解説する。
週休3日制とは?
まずは週休3日制の基本的な定義や導入の形態、制度が注目を集めている背景などについて解説する。
■週休3日制の定義と多様な形態
週休3日制とは、1週間のうち3日を休日とする勤務制度であり、従来の週休2日制に比べて働く日数を減らすことで、より柔軟な働き方を実現するもの。近年では、大企業を中心に試験導入が進み、ワークライフバランスの向上や人材確保の手段として注目されている。
この制度には主に3つの形態がある。1つ目は「給与維持型」で、労働時間の削減や業務効率化を通じて給与を維持しながら週4日勤務を実現する方法。2つ目は「総労働時間維持型」で、週の総労働時間を変えずに、1日の労働時間を延ばして勤務日数を減らす形態。
3つ目は「給与減額型」で、労働時間の削減に伴い給与も減らす方式であり、副業や私生活を重視する人に向いている。企業の方針や従業員のニーズに応じて、多様な導入パターンが存在する点が特徴だ。
■週休3日制が注目されている背景
週休3日制が注目を集めている背景には、政府による働き方改革の推進がある。特に2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、「選択的週休3日制」の導入が明記されたことが大きな転機となった。
この制度は、育児や介護、地域活動、副業など多様なライフスタイルへの対応を目的としており、従業員の柔軟な働き方を支援する手段として位置づけられている。
企業にとっても、従業員満足度の向上や人材確保の観点から導入の検討が進んでおり、今後ますます関心が高まると考えられる。
■週休3日制の現状
週休3日制は徐々に浸透しつつあり、特に自治体や大手企業を中心に導入の動きが広がっている。自治体では、すでに茨城県や千葉県、兵庫県などで実施されており、2025年度には国家公務員にも適用される予定だ。
一方で、企業にとって週休3日制の導入は義務ではなく、導入の判断は各企業の裁量に委ねられている。法的には週1日の休日を設ければ問題ないため、制度設計には企業ごとの方針や労使の合意が重要となる。
週休3日制導入のメリット・デメリット
週休3日制は、従業員のライフスタイルに大きな影響を与え、仕事とプライベートのバランスを改善する可能性があるが、同時に企業運営においても新たな可能性や課題を生むことがある。ここでは、週休3日制のメリットとデメリットについて、従業員側、企業側それぞれの視点で見ていこう。
■企業側のメリットとデメリット
週休3日制の導入は、企業にとってさまざまなメリットをもたらす。まず、従業員の心身のリフレッシュによって集中力やモチベーションが高まり、生産性の向上が期待できる。また、柔軟な働き方を実現することで、ワークライフバランスを重視する若年層や優秀な人材の採用につながる可能性も高い。さらに、オフィスの稼働日数が減ることによる光熱費削減など、間接的なコスト削減効果も見込める。
一方で、デメリットも存在する。人員配置や業務分担の見直しが必要となり、勤怠管理の複雑化やシフト調整による管理負担が増す可能性がある。また、業務時間の減少によって、顧客対応や営業活動などに支障が出るリスクも否定できない。制度を円滑に運用するためには、業務フローの見直しやITツールの活用など、環境整備が不可欠だ。
■従業員側のメリットとデメリット
週休3日制の導入による従業員側の最大のメリットは、ワークライフバランスの向上だ。休日が1日増えることで、心身のリフレッシュやストレス軽減が期待され、趣味や家族との時間、自己啓発などに充てる時間が確保しやすくなる。また、介護や育児といった家庭の事情を抱える従業員にとっては、柔軟な働き方が可能になる点も魅力だ。
一方で、デメリットとしては、収入の減少や長時間労働化のリスクがある。労働時間が減る分、給与も減額される「給与減少型」の制度では生活への影響が避けられない。また、業務量が変わらない場合には、出勤日に業務が集中し、かえって負担が増す恐れもある。
制度の設計次第では、従業員の健康やモチベーションに逆効果となる可能性もあるため、バランスの取れた運用が求められる。
週休3日制の導入事例
自治体や企業の代表的な週休3日制の導入事例をいくつか見ていこう。
■自治体の例
東京都は2025年4月より、フレックスタイム制を活用した週休3日制を導入する。これにより、育児や介護、自己啓発などと仕事の両立がしやすくなることを目的としている。ただし、業務運営に支障が出ないよう、窓口対応など時間的制約のある職場は対象外としている。
また、千葉県では2024年6月から、同様に週休3日も可能な柔軟な働き方を導入しており、茨城県や岩手県久慈市でも取り組みが進んでいる。自治体による導入は、公務員の働き方改革として注目を集めており、今後の広がりにも期待が高まっている。
■企業の例
週休3日制は民間企業でも導入が進んでおり、さまざまなかたちで柔軟な働き方が実現されている。
リクルートでは、年間休日145日を確保し、実質的に週休2.8日となる「フレキシブル休日」制度を導入している。これは収入を維持したまま選択できる仕組みで、社員の自律的な働き方を後押しする。
佐川急便では2017年から、ドライバーの人手不足対策として週休3日制を一部の地域で導入。1日10時間勤務とする変形労働時間制を活用し、給与水準も維持している。また、副業や起業目的の兼業も認めるなど多様な働き方を推進している。
みずほフィナンシャルグループでは、2020年より週休3日・4日制を導入。希望者は育児や副業などの理由を問わず選択可能で、給与は日数に応じて調整される。こうした事例は、柔軟性と働きやすさの両立を模索する企業の姿勢を示している。
週休3日制に関するよくある質問

最後に週休3日制に関して、給与や勤務時間、休日数などの質問とその回答を紹介する。
■週休3日制の導入で給料はどうなる?
週休3日制の導入による給与の変動は、その運用形態によって異なる。例えば「給与減額型」では労働日数や時間が減る分、給与も減少する。一方で「給与維持型」や「労働時間維持型」であれば、週の労働時間を確保することで給与を維持することが可能だ。自社の制度がどのタイプに該当するかを確認することが重要だ。
■1日に働く時間は変わる?
1日の労働時間が変わるかどうかも制度の運用方法によって異なる。「労働時間維持型」の場合は、週の労働時間を確保するために、1日あたりの勤務時間が長くなる傾向がある。
一方、「給与減額型」「給与維持型」では、労働時間そのものが減るため、1日あたりの時間が変わらない、もしくは短くなるケースもある。
■年間休日数は増える?
週休3日制を導入した場合、年間休日数は大幅に増加する。例えば、完全週休2日制では年間休日数は約125日程度だが、週休3日制では最低でも156日以上となり、年末年始休暇等を含めると、160〜170日を超えるケースもある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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