ファスナーが自分で動く!?YKK開発が開発した人力不要の「自走式ファスナー」とは？【動画付き】

大型膜面構造物（テント構造物）や土木・物流資材などを手がける太陽工業は、YKKの自走式ファスナー開発に協力しており、先日行なわれた実験では、長さ5mの膜を自走式ファスナーでつなぐことに成功。

さらにエアーテント「マク・クイックシェルター」をつなげる実験も行なわれた。

人力では困難な長さ5mの膜を自走式ファスナーでつなぐことに成功

この実験では、奥行き4mのエアーテント2張りを自走式ファスナーでつなげ、奥行き8mの大型テントがコントローラーのスイッチを押すだけで完成したという。

高さ2.5mのエアーテントの連結部に取り付けた自走式スライダー

2025年2月に行った今回の実験では、YKKが開発している自走式ファスナーを、太陽工業が一般的に使用している膜（テントなどの素材）へ接合して実施。

5mの高さの膜や天井高2.5mのエアーテントは、人力でつなげることはかなり難しい。しかし同社では「自走式ファスナーを接合することで、ボタンを押すと、わずか40～50秒程度で人力に頼らずつなぐことができました」と報告している。

■大阪・関西万博でのパビリオン設営に加え、東日本大震災など災害時の医療用途でも活躍

太陽工業では、2025年4月に開幕した大阪・関西万博で20か所以上のパビリオン設営に協力しており、大型膜面構造物を施工している。

今回の実験で使用したエアーテント「マク・クイックシェルター」は、東日本大震災や令和6年能登半島地震など、災害時の医療用途などを含めて2700張り以上の活用実績がある。

同社によれば、今後「マク・クイックシェルター」の大型化などのニーズを分析して、自走式ファスナーの本格的な活用を提案していく計画とのこと。

さらに、「太陽工業が展開している大型エアシェルター「BIG MQ」での活用や、将来的には宇宙空間での活用なども視野に入れて開発協力を続ける予定です」とコメントしている。

大型エアシェルター「BIG MQ」

自走式ファスナー実験概要

実験実施／2025年2月
開発主体／YKK株式会社
実験協力／太陽工業株式会社

■実験内容

（1）屋外実験
5mの膜に自走式ファスナーを接合。膜が分離した状態で上から吊るして自走式ファスナーのスイッチを入れると、約40秒で5mの膜がつながり実験成功。

（2）屋内実験
幅4×奥行き4×高さ2.5ｍのマク・クイックシェルター2張りに自走式ファスナーを接合。自走式ファスナーのスイッチを入れると、人では届かない天井部を含めて、2張りのテントが約50秒でつながり実験成功。

■実験動画／『「自走式ファスナー」遠隔操作で開け閉めできるファスナー』はこちらから

関連情報
https://www.taiyokogyo.co.jp

構成／清水眞希