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65歳以上の雇用確保が義務化されたことで企業と労働者、それぞれが取るべき対策とは?

2026.01.04

2025年4月から雇用確保の義務化がスタートした。議論の中心となるのは企業側の対策だが、労働者側も心がけるべきことがある。制度改正の内容と労使双方の対処についてまとめた。

2025年4月に高年齢者雇用安定法が改正された。これにより、事業主(企業側)は、従業員に対する「65歳までの雇用機会の確保」が義務となる。

だが、具体的に何が変更となり、どのように対処するかがイメージしづらいケースもあるだろう。

本記事では、2025年の改正における雇用確保の義務化の内容と、企業側・労働者側がそれぞれ具体的に対策すべきことや心がけておくことは何かについて解説する。

2025年4月から65歳までの雇用確保が義務化

今回の雇用確保の義務化は、2013年から経過措置としておこなわれてきた高齢者の継続雇用制度(定年後に雇用を継続する対象者を限定するなど)が終了し、その代わりに働きたい人全員に雇用機会を確保することを義務化する制度だ。

■高齢者雇用安定法とは?

1986年に制定された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」は、現在までに6回の改正が行われている。

2004年の改正では企業に65歳までの雇用確保措置が義務化され、2013年からは労使間の話し合いよって定年後から年金受給開始年齢までの再雇用を進める「継続雇用制度」が段階的に導入されてきた。

今回の改正では、2013年からの経過措置の終了と共に、年金受給開始年齢の65歳まで従業員全員の雇用機会を確保するよう企業側に義務付けている。

■2025年4月の改正で義務付けられた「雇用機会の確保」とは?

雇用機会の確保というと、一般的には65歳までの定年の引き上げをイメージする人が多いだろう。事実、定年の引き上げも雇用機会確保の手段の一つだが、厚生労働省の見解によれば、企業側は(定年引き上げも含む)以下のいずれかの措置を講ずることとされている。

・定年制の廃止

・65歳までの定年の引き上げ

・希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入

三つの選択肢を簡略的に捉えることで今回の改正を「65歳定年の義務化」と捉えるケースが見られるが、義務化されるのはあくまで「雇用機会の確保」であり、その対策には定年制の廃止や、定年とは別の継続雇用制度の導入も含まれることを理解しておこう。

※参考:

高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~|厚生労働省

高年齢者の雇用 |厚生労働省

■70歳までの就業機会の確保は「努力義務」

なお、65歳までの雇用機会の確保が義務化されると同時に、現状は努力義務となっているものの、70歳までの就業機会の確保も企業側に求められている。

高年齢者雇用安定法の今までの改正履歴を考慮すると、将来的には70歳までの雇用確保が義務化される可能性も高いと言えるだろう。

※参考:

高年齢者就業確保措置について(厚生労働省)【PDF】

高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~|厚生労働省

65歳までの雇用確保義務、企業側の対応は?

それでは、雇用確保の義務化に当たって、企業側はどのような具体策を取るべきだろう。

■雇用確保義務化における企業の対策1:就業規則を見直す

定年制の廃止や定年年齢の引き上げなど、法改正にあたって従来のルールを変更する場合は、就業規則の見直しが必要となる。変更後は従業員への周知のほか労働基準監督署への届け出も必要だ。

■雇用確保義務化における企業の対策2:賃金・労働条件などを見直す

継続雇用する場合の賃金や勤務日数、就労時間、雇用形態についても業務内容に即したものに変更する必要がある。

■雇用確保義務化における企業の対策3:高齢者の人材配置・支援体制を見直す

必要に応じて配置・配属や業務内容を見直す。また、60歳以上の高齢者の場合、自分自身の持病や体調面でのトラブル、親の介護等を抱えているケースもあるため、シニア研修や相談窓口の充実といったサポート体制も必要となる。

■雇用確保義務化における企業の対策4:従業員への継続雇用の意思確認および申請手続きの用意

65歳までの雇用機会確保について従業員に周知し、本人の継続意思の確認や申請手続きについて説明する。また、その前段階として申請書の準備や申請手続きの流れを人事側が用意・把握しておこう。

65歳までの雇用確保義務、労働者(個人)はどんな対処や心がけをすべき?

雇用機会確保の義務は、企業側に課せられたルールであるため、法務面においては従業員側が何らかの対策をすることは少ない。

ただし、65歳まで現在の会社で働くつもりであれば、労働条件の確認や業務に必要なスキルの学び直し、健康維持など一個人として心がけておきたいことはある。

■高年齢者雇用安定法の改正は年金支給開始年齢の上昇に連動している

今回スタートした65歳までの雇用確保の義務化は、年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことで、企業の定年(例:60歳)から65歳までの期間、労働者が安定した雇用を確保できるようにするために改正された。

現在、企業には70歳までの雇用機会確保の努力義務が課せられており、将来的に年金支給開始年齢も現在の65歳から70歳まで引き上げられる可能性は高いと考えられるだろう。

現在、会社員として働いており、すぐの転職や独立の予定もない場合は、65歳・70歳まで働くことを想定してキャリアプラン・ライフプランを立てることが求められていると言える。

■雇用確保義務化における個人の対策1:会社側の対応を確認(就業規則や賃金・労働条件、配置転換、研修など)

今回の高齢者雇用安定法改正にあたって会社側から継続雇用に関する案内があった場合は、内容をよく確認しておきたい。

就業規則の変更内容や、継続雇用を申請した人の賃金・労働条件はどうなっているか、配置転換やシニア向けの研修などはあるか、自分がすぐに対象となる年齢ではなくても調べておいて損はないだろう。

■雇用確保義務化における個人の対策2:リスキリング、副業などに柔軟に対応する

65歳まで企業内で働く場合、従来の知識・スキル・経験のみでは業務をこなせないケースも出てくるだろう。業務に必要なスキルの学び直し(リスキリング)は、定期的に必要になるものと捉えて柔軟に対応したい。

現在は副業を推奨する企業も多いため、本業に無関係な分野で仕事をしてみたい場合は、副業として知識やスキルを身に付けるのもおすすめだ。

■雇用確保義務化における個人の対策3:心身の健康を保つ

健康問題は高齢の社会人の大きな悩みの一つと言える。現在、明確な持病がない場合でも、加齢に伴う体力の低下や老眼、腰痛、肩こり、不眠などは仕事のパフォーマンスを落とす原因となりやすい。

がんをはじめとした生活習慣病の発症率も年齢が上がるにつれて上昇するため、年一回の健康診断で早期発見を心がけると共に、定期的な運動習慣やストレス発散の方法を持つことで心身の健康を保つようにしたい。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/編集部

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