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発売から50日で7万4000個を販売!ドン・キホーテの「秒でどこでもTKG!?卵かけ風ご飯のたれ」はいかにして生まれたのか

2025.04.24

発売から50日で7万4,000個を売り上げたドン・キホーテの『秒でどこでもTKG!?卵かけ風ご飯のたれ』。ご飯があれば卵がなくても「TKG(卵かけご飯)風ご飯」が楽しめる商品だ。

今回は、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 商品開発担当の渡辺友成さんに、商品開発の背景や苦労した点、今後の展望について話を聞いた。

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 商品開発担当 渡辺友成さん

*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

スピード開発で市場を制す!“卵かけ風ご飯のたれ”ができるまで

「いつでもどこでも卵かけご飯が食べたい」。そんな消費者のニーズに応えた『秒でどこでもTKG!?卵かけ風ご飯のたれ』。同商品について、渡辺さんは次のように話す。

「アメリカンドッグなどに使う『ケチャップとマスタードが入っている容器(パキッテ)』に、卵と醤油を入れたら卵かけご飯ができるのでは?と考えたのが、本商品の始まりでした。キユーピーさんと共同で、このアイデアをかたちにしたんです。キユーピーさんの独自技術『卵オイル』を採用することで、“卵かけごはん風”の味わいを実現しています。海外だと生で食べられる卵は希少で、スーパーで販売されていても高級品なんです。海外の方にも『手軽に卵かけご飯を食べてもらいたい』と考え、常温保存ができる商品を開発しました」

渡辺さんは、ドン・キホーテの商品開発は“スピード感”が強みと話す。

「ドン・キホーテには『権限委譲』という文化があります。会社の権限を、それぞれの担当者に委譲する仕組みです。本来なら上司に相談が必要なことでも、弊社では『この商品をお客様が求めているんだったら、まずは作ってみよう』とスタートできるため、スピード感を持って開発を進められます」

発売から数か月で大ヒットとなった本商品。外国人の方だけでなく、日本人のお客様からの反応も上々だという。しかし、開発当初は、肯定的な意見ばかりではなかった。

「常温で販売する卵かけご飯に需要があるのかと、社内からは懐疑的な意見が多かったですね。ただ、たとえ国内で需要がなくても、インバウンドで需要があれば商品化する価値はあると考えました」

“ドン・キホーテ”らしく。商品の情報を直球で伝えるパッケージデザインへのこだわり

スピード感を持って商品化が進んだが、開発途中で卵と醤油の割合について悩んだシーンもあったという。

「一番苦労したのは、醤油と卵の分量です。ご飯一杯といっても、人によってご飯の量は変わります。多い人に合わせるか、少ない人に合わせるか悩みましたが、多い分には好みに応じて調整できると考え、醤油は多めにしています」

パッケージのデザインは、“どれだけストレートに商品の情報が伝わるか”を意識したと話す渡辺さん。どこでも卵かけご飯が食べられること。そして、インバウンドの方から人気の高い「寺岡屋のたまごにかけるお醤油」を使っていることを積極的に表現した。

「商品のネーミングやデザインは『ニュース評価会』でチェックしています。この会議では担当者以外のメンバーも参加し、第三者の視点で商品がどれだけ分かりやすく伝わるかを評価します。情熱価格では、4年前のリニューアルから、パッケージに『ニュース』を入れるようになりました。お客様が知らない内容や、商品のイチオシ情報を伝える役割があることから『ニュース』と呼んでいます」

本商品のメインターゲットは、外国人観光客と一人暮らしの方。認知拡大のために、SNSでの発信にも注力したと渡辺さんは続ける。

「本商品は、お客様の口コミが一番売り上げに繋がっていると考えています。SNSでの発信にも力を入れ、TikTokでも配信をしました。TikTokと本商品は相性が良く、購入するお客様の層とマッチしていました。フォロワーが約44万人いるんですが、動画は1,000万回再生以上されていて、お客様からの注目度が高いことがわかります」

お客様の声が商品を生む!情熱価格の“ピープルブランド”戦略

商品供給が追い付かないほどのヒットとなった本商品だが、発売直後の反響は意外なものだった。

「発売開始から1~2週間は、まったくといっていいほど反響はありませんでした。ところが、購入してくださったお客様の発信によって次第に認知が広がり、売り上げが一気に伸びていったんです。消費者の認知拡大には店舗での販促も必要と考え、各店舗に商品を拡販してもらうようお願いをしました」

ドン・キホーテでは、顧客の意見を収集するツールとして「マジボイス」を活用している。実は本商品、マジボイスでの評価はそれほど高くないという。

「『いいね』が40%と、低い数字になっています。ただ、発信の中身を見ると、商品の味に不満があるわけではないとわかりました。『本物の卵を使っていない』『本当の卵かけご飯ではない』という声から、パッケージから伝わるイメージと商品の齟齬が低評価に繋がっているように思います。お客様の声を反映しながら、パッケージを改善していきたいです」

「情熱価格は、一般的な『PB=プライベートブランド』とは少し異なります。私たちは『PB=ピープルブランド』として、お客様と一緒に商品を作ることを大切にしています。お客様のニーズを形にすることが、商品を成功させる一番の近道ではないでしょうか」

ヒットを経て、ドン・キホーテが考える今後のトレンドと進化への決意

商品ができるまで、何度も試作と試食を繰り返したと振り返る。苦労の末に商品が完成したときの感動はひとしおだったという。

「完成品を社内外の人に試食してもらった際、『画期的だ』『美味しい』といった嬉しい声をいただいたときは、大きなやりがいを感じました。現在、パキッテを使った次の商品展開も検討しているところです」

大ヒット商品を生み出した渡辺さんに、今後の食品トレンドについても伺った。

「コロナ禍が明け、海外への移動が活発化する中で、海外トレンドを迅速に取り入れる重要性が増しています。コロナ禍では、日本国内のトレンドを商品化するケースが多かったため、状況が2019年頃まで戻ったような印象です。海外で話題の商品をいち早く日本市場に導入しようとする動きは、今後さらに加速していくと思います」

実店舗を中心にマーケティングを展開しているドン・キホーテだからこそ、これからも“世の中にない商品”を作り続けていきたいと話す渡辺さん。今回の商品開発を通じて、学んだことも多かったという。

「味が良くても、伝え方次第で美味しさが伝わらない場合があることに気付きました。例えば、卵かけご飯は温かいご飯で作るものという一般的なイメージにとらわれ、お弁当に持参する方がいる点を想定できていませんでした。使用するシーンを柔軟に考えられなかったのは、反省点の一つですね」

最後に、「DIMEヒット商品総研」のリスナーに向けてメッセージをもらった。

「私たちにとって、リスナーの皆様も大切なお客様です。情熱価格は“ピープルブランド”として、お客様の声を反映しながら商品化を進めています。この発信を聞いてくださっているお客様はトレンドに敏感な方が多いと思いますので、ぜひマジボイスなどで意見をもらえると嬉しいです」

※掲載内容は2025年2月取材時の情報です。

取材・文・撮影/久我裕紀 構成/DIME編集部

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