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「福利厚生費」に歓送迎会の費用は認められる?覚えておきたい定義と該当要件

2026.01.28

福利厚生費にどのような費用が該当するのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。たとえば交通費や健康診断費用、社内の歓送迎会などのレクリエーション費用は福利厚生費に該当します。今回は、福利厚生費の定義や該当する要件、仕訳例を解説します。

福利厚生費とは

福利厚生費とは、給与や賞与とは別に、企業が従業員の生活の安定・向上を確保し、働きやすい環境を整備するために支出する費用のことです。

福利厚生費の種類は多岐にわたり、健康保険料や厚生年金、健康診断の費用、通勤費などが代表的であり、財務会計上で経費として計上できるものを指します。

■「法定福利費」と「法定外福利費」に分けられる

福利厚生費には、法律で義務付けられた「法定福利費」と、企業が独自に提供する「法定外福利費」があります。前者には健康保険料や厚生年金などが含まれており、後者には健康診断の費用、交通費、社内食堂の運営、保養所利用の補助などが該当します。

法定福利費と法定外福利費の主な違いは、法律による企業の負担義務の有無にあるといえるでしょう。法定福利費は、法律に基づいて企業が必ず負担しなければなりません。法定福利費は正社員だけでなく、アルバイトやパートなどの非正規雇用の従業員にも適用義務があります。ただし、派遣社員の場合は派遣元企業が福利厚生を提供することから、派遣先の企業には負担義務が適用されません。

一方、法定外福利費は企業が任意で導入する費用です。法律上の負担義務はないため企業ごとに導入の有無や内容は異なることが特徴です。

また、法定福利費は非課税ですが、法定外福利費は損金に算入されない費用と、非課税になる費用があります。

■交際費との違い

福利厚生費と交際費は、どちらも会社の支出として認められるものですが、その用途や対象が異なります。福利厚生費が従業員のために支出する費用であるのに対し、交際費は取引先や顧客など、社外の関係者との関係維持や営業活動を目的とした支出です。

そのため、忘年会や新年会に自社の従業員のみが参加する場合は福利厚生費に計上できますが、取引先の従業員も参加する場合は交際費として処理する必要があります。

また、交際費も福利厚生費と同様に、損金算入によって非課税として取り扱えますが、限度額や範囲が定められている点に注意しましょう。

■消耗品費との違い

福利厚生費と消費品費は、いずれも経費として処理される費用ですが、その性質や目的には明確な違いがあります。消耗品は、業務に必要な、何度も使用するうちに使えなくなる備品や事務用品のことです。消耗品費として計上するためには、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。

  • 耐用年数が1年以内
  • 取得価額が10万円未満

これに対して福利厚生費は、用途が限定されません。業務に直接関係なくても、要件を満たせば計上が可能です。たとえば、企業の周年記念で全従業員に配る記念品は、実際は業務に使用しなかったとしても、福利厚生費として処理することが認められます。

福利厚生費として認められるための要件

法定外福利費は、以下の要件を満たせば非課税となります。

  • 金額は妥当か
  • 機会は平等に与えられているか
  • 現物以外での支給か

具体的な基準を把握しておくことで、税務上の処理におけるトラブルを未然に防げるでしょう。それぞれの内容を解説します。

■金額は妥当か

福利厚生費として認められるには、支出された金額が客観的に妥当であることが求められます。 たとえば、従業員が5名しかいないのに1泊2日の従業員旅行が500万円の場合では、一般的な相場を大きく逸脱していると判断され、福利厚生費として妥当ではないと見なされる可能性が高いでしょう。
福利厚生費の金額が妥当かどうかについては、税務署が福利厚生制度の目的や従業員数、企業の財務状況などを総合的に勘案して判断します。

■機会は平等に与えられているか

福利厚生費と認められるためには、その制度がすべての従業員に公平に提供されていることが前提です。 これを「場の平等性」といい、特定の従業員のみが利用できる場合には、非課税対象の福利厚生費として認められない可能性があります。

機会が平等に与えられていない福利厚生制度については、メリットを受けられる一部の従業員の現物給与として扱われ、給与所得の課税対象となる点に注意が必要です。

■現物以外での支給か

福利厚生費と見なされるには、現物以外での支給である必要があります。原則として、福利厚生では現金や賞金などの換金性の高いものを直接支給するのではなく、サービスの提供や報酬以外の形で支給しなければなりません。

なお、食事の支給は現物支給にあたりますが、従業員の食事代を現金で支払う食事手当などは原則として課税対象です。ただし、食事代の半額以上を従業員が負担し、かつ企業負担が従業員1人当たり月額3,500円以下の場合は非課税となります。

借上げ社宅については、住宅手当として現金を支給した場合は従業員に課税されますが、従業員から毎月、原則賃貸料相当額の50%以上の家賃を受け取っていれば非課税です。

福利厚生費にあてはまる費用例

ここからは、福利厚生費にあてはまる費用例をご紹介します。基本的に従業員の生活支援や労働環境の改善を目的とした費用であり、代表的なものは以下のとおりです。

  • 交通費
  • 出張手当
  • 社宅費用
  • 健康診断費用
  • 社員旅行費
  • 慶弔見舞金
  • レクリエーション費(歓送迎会・新年会費など)
  • 残業時の食事費用
  • その他

それぞれの内容を解説します。

■交通費

従業員が勤務先へ通勤するためにかかる交通費は、決められた限度の範囲内であれば福利厚生費と見なされます。

通勤手当として支給する場合、公共交通機関を利用するケースでは1ヵ月あたり15万円までが非課税の対象です。 自転車や自動車での通勤の場合は、距離に応じて限度額が決まっており、たとえば片道55kmを超える場合は31,600円までが、所得税が非課税となる1ヵ月当たりの上限額です。

なお、通勤距離が片道2km未満の場合には、非課税の対象外となるため注意しましょう。

■出張手当

従業員が業務で出張する際に支給される出張手当は、一定の条件を満たせば福利厚生費として非課税扱いになります。 出張中の食費や雑費にあたる「日当」については、税法上明確な上限は設けられてはいません。ただし、「社会通念上相当な範囲」であることが求められ、一般的な常識からかけ離れた金額の場合には認められません。

また、出張手当が非課税の福利厚生費として認められるためには、あらかじめ社内で出張旅費規程を整備しておく必要があります。この規程がない場合、経費計上は否認されてしまうこともあるため、必ず出張旅費規程を作成しておきましょう。

■社宅費用

企業が従業員に社宅を提供する場合、一定の条件を満たせば、その費用の一部を福利厚生費として処理できます。

たとえば、社宅を貸与した従業員から受け取る賃料と住居のオーナーに支払う賃料の差額は、福利厚生費として計上ができます。

福利厚生費とするには、従業員から徴収する社宅賃料を、相場の50%以上に設定することが重要です。ただし、従業員から相場の50%を下回る金額のみ徴収している場合は現物支給の給与と見なされ、課税対象となるリスクがあります。

■健康診断費用

従業員を対象に実施する健康診断にかかる費用も、一定の条件を満たせば福利厚生費として計上できる可能性が高いです。

対象となるのは、すべての従業員を公平に対象とし、一般的な内容の健康診断であり、その費用を企業が直接医療機関に支払っているケースに限られます。すべての従業員が対象ではない場合は、がん検診などの高額な検査項目を含む場合には、福利厚生費と認められないことがほとんどです。

従業員が一時的に健康診断費用を負担し、後日企業が支払った場合は、福利厚生費としては認められない場合があるため、注意が必要です。

■社員旅行費

社員旅行にかかる費用は、4泊5日以内かつ全従業員のうち50%以上が参加しているという要件を満たせば、福利厚生費として非課税での処理が可能です。

支店や部署単位で社員旅行を実施する場合は、該当する支店や部署の50%以上の参加が求められます。旅行代金の上限についての明確な税法上の規定はありませんが、一般的には1人あたり10万円までが1つの基準とされています。

■慶弔見舞金

結婚祝いや出産祝い、災害・入院時見舞金、弔慰金といった慶弔見舞金は、企業が従業員に対して支給する法定外福利費の1つです。すべての従業員を対象とし、常識の範囲内の金額であれば非課税の福利厚生費として計上できます。

一般的に慶弔見舞金の相場は、10,000円~30,000円といわれていることから、金額の目安としては上限を30,000円程度と考えておきましょう。

また、慶弔見舞金を福利厚生費として計上するためには、社内規定を作成して就業規則に盛り込んでおくことが望ましいとされます。

■レクリエーション費(歓送迎会・新年会費など)

レクリエーション費も、一定の要件を満たしていれば、福利厚生費として処理ができる費用です。レクリエーションに該当するのは、歓送迎会や新年会、親睦会などです。

福利厚生費として計上するには、全従業員に参加資格があり、実際に一定以上の人数が参加していること、金額が常識の範囲内であるなどの要件を満たしている必要があります。また、開催頻度が高い場合は、交際費または給与として扱われる点に注意しましょう。

社員旅行と同様に、支店や部署ごとに開催する場合は、その支店や部署に所属する全員に参加資格があり、相当数が参加していることが求められます。

■残業時の食事費用

従業員が残業する際に会社が提供する食事も、一定の条件を満たすことで福利厚生費として非課税で処理できます。

ただし、勤務時間外の労働に対して支給されるものであり、その内容が社会通念上、常識的な範囲に収まっていなければなりません。また、勤務時間内に支給する場合でも従業員が食事代の50%以上を自己負担し、かつ会社の補助が1人当たり3,500円以内であれば、非課税の福利厚生費として計上できます。

■その他

その他、人間ドッグの受診費用や永年勤続の記念品、資格取得補助費など、基本的に全従業員が利用でき、金額が常識の範囲内のものは福利厚生費となります。

ただし、対象者が限られていたり、金額が高額であったりするものについては、福利厚生費としては認められない可能性があることを知っておきましょう。

福利厚生費にあてはまらない費用例

福利厚生費にあてはまらない費用としては、以下のようなものが該当します。

  • 費用が高い人間ドック代
  • 無利息・低利息の貸付金の利息
  • 記念品と一緒に贈られる現金や商品券

それぞれの内容を確認しましょう。

■費用が高い人間ドック代

費用が高い人間ドック代は、福利厚生費として認められない可能性があります。従業員の健康管理を目的として企業が人間ドックの費用を負担する場合、その支出は福利厚生費として認められる傾向があります。

ただし、すべての人間ドックが福利厚生費扱いになるわけではありません。オプション検査が多数追加されたり、特殊な項目が含まれていたりするなど検査内容が通常の範囲を逸脱する高額な人間ドックについては、福利厚生費と見なされないケースがあります。

■無利息・低利息の貸付金の利息

無利息・低利息の貸付金の利息を福利厚生費とすることは、認められない可能性が高いでしょう。会社が、災害や病気などにより一時的に生活費を必要としている従業員に対し、無利息または低利息の貸付を提供する場合は、福利厚生費として計上が可能です。

ただし、このような緊急の場面以外での無利息や低利息の貸付については、利息部分は通常、福利厚生費とは見なされません。その場合、利息の額が決められた利率を用いて計算した額より低い場合には、その差額は給与として課税対象となります。

■記念品と一緒に贈られる現金や商品券

記念品と一緒に贈られる現金や商品券も、福利厚生費として計上できません。

創業記念や永年勤続者への表彰などで贈られる記念品については、その内容が記念品にふさわしく、前回の贈呈から原則5年以上の感覚が空いている場合には、その費用を福利厚生費に計上できます。しかし、これらの記念品と一緒に支給される現金や記念品の費用は、福利厚生費とすることはできません。

現金はもちろん、商品券をはじめとした金券も、その換金性の高さから給与として扱われることが一般的です。現金や商品券を、記念品と一緒に福利厚生費として計上してしまわないように注意しましょう。

福利厚生費の仕訳例

ここからは、福利厚生費の仕訳例をご紹介します。

たとえば、交通費として30,000円を現金で支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方
福利厚生費30,000円 現金30,000円

また、従業員全員が参加する歓迎会の費用20万円を、クレジットカードで支払ったときは、まずは次のように仕訳します。

借方貸方
 福利厚生費200,000円未払金200,000円

 クレジットカードの引き落とし後の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方
未払金200,000円普通預金200,000円

個人事業主における福利厚生費の注意点

個人事業主が1人で働いている場合や、雇用しているのが家族のみの場合、福利厚生費の計上はできません。個人事業主本人やその家族にかかる費用は、従業員のための経費とは認められないためです。 一方、家族以外の従業員を雇用している個人事業主は、法人と同様に従業員の社会保険料や交通費、歓送迎会費などを福利厚生費として計上できます。

この場合、たとえば社員旅行やレクリエーションの費用について、社会通念上妥当と考えられる範囲内であれば、雇用主である個人事業主やその家族の参加費も福利厚生費として計上が可能です。

福利厚生費の定義や要件を理解しよう

福利厚生費とは、従業員の生活支援や労働環境の向上を目的として、企業が給料や賞与以外に従業員のために支出する費用のことです。

福利厚生費には、法律で義務付けられた「法定福利費」と、企業が独自に提供する「法定外福利費」があります。健康保険料や厚生年金などは法定福利費、健康診断の費用や交通費、慶弔見舞金、レクリエーション費などは法定外福利費に該当することを押さえておきましょう。

法定福利費は非課税ですが、法定外福利費は損金に算入されない費用と、非課税になる費用があります。福利厚生費として非課税で計上するためには、「金額の妥当性」「機会の平等性」「現物以外での支給」などの要件を満たしていなければなりません。福利厚生費の定義や要件を理解し、正しい知識をもって制度を活用しましょう。

構成/橘 真咲

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