布石(ふせき)の意味がよくわからない方もいるのではないでしょうか?もともとは囲碁に由来する言葉で、将来を見据えてあらかじめ準備しておくことを意味します。日常では「布石を打つ」という使い方が一般的です。本記事では、布石の意味や使い方、類義語についてご紹介します。
目次
布石とは?

布石(ふせき)とは、囲碁の用語に由来し、対局の初めに配置する石を指します。一方で、「ぬのいし」と読むと、道に並べられた敷石のことを意味します。
ここでは、「ふせき」と読む布石の意味について詳しく解説します。
■2つの意味
布石は囲碁に由来する言葉で、文字通り「石を布(し)く=石を配置する」という意味です。対局の序盤に行う石の配置であり、盤面全体を見渡しながら、中盤・終盤で有利になるために行います。
そこから転じて、現代では、物事を有利に進めるために事前に行う準備という意味で使われます。ただの準備ではなく、戦略的に先を見通した動きというニュアンスのある言葉です。
参考:デジタル大辞泉
■建築用語にもある
布石は、建築用語としても使われています。建築においては、「建物を支える土台となる石」を意味します。布石の材料には、主に自然石やコンクリートが用いられ、建物の柱の下に据えられて荷重を支えます。
囲碁や一般的な意味での「布石」が「戦略的準備」を意味するのに対し、建築における布石は「物理的な基盤の準備」といえるでしょう。
布石の使い方・例文

布石は、主に「布石を打つ」といった使い方をします。一方、「布石を張る」「布石を敷く」という使い方は間違いになるため、注意してください。
ここでは、布石の正しい使い方と間違った使い方を解説します。
■正しい使い方
布石を正しく使った例文をいくつかご紹介します。
- 次のプロジェクトをスムーズに進めるため、早めに布石を打っておいた方がいい
- 事業拡大のための布石を打ち続けたおかげで、経営を安定させられた
- 社長を目指している彼は、そのための布石を着実に打っている
- 課長の提案は、次の企画を成功させるための布石だった
- 海外進出に向けて、英語が堪能な社員を増やす布石を打つことにした
■間違った使い方
布石の間違った使い方について、例文で確認しましょう。
- あの映画のラストは、冒頭に敷かれた布石が効いていたようだ
- 今回の出来事は、あの事故が布石だったようだ
最初の例文は、「伏線」と布石を混同しています。あとの展開のための仕込みという意味で使う場合、「布石」ではなく伏線が正解です。
例文の場合、正しくは「冒頭の伏線がラストで回収されていた」という使い方をします。
2番目の例文は、すでに起きた出来事に使っている点で間違いです。「布石」はあくまで未来の展開に向けた準備を意味するため、すでに起きた偶発的な出来事には使いません。
布石の類義語

布石には、次のような似た意味を持つ言葉があります。
- 伏線
- 準備
- お膳立て
- 根回し
文脈に応じて、適切な語を選ぶことが大切です。
今回は、布石と意味が近い言葉について詳しくみていきましょう。
■伏線
伏線(ふくせん)とは、小説やドラマなどで、のちの展開に備えて関連する事柄をあらかじめほのめかしておくことを指します。「伏線を敷く」「伏線を回収する」といった表現が一般的です。
また、「あとのことがうまくいくように、前もってそれとなく用意しておく」という意味でも使われることがあり、この場合には「伏線を張る」という表現がよく使われます。
「布石」と「伏線」は、いずれも「将来の展開への備え」という点では共通していますが、伏線には「将来の出来事をほのめかす」ニュアンスがあるのに対し、布石には基本的にそのような意味合いは含まれていません。
(例文)
- ドラマで初回に張られていた伏線が、最終回で回収された
- 今後のあらゆる展開を想定し、いくつかの伏線を敷いておいた
■準備
準備(じゅんび)とは、物事を始める前に、あらかじめ必要なものを揃えたり、態勢を整えたりすることを指します。
「布石」が戦略的・計画的な備えであるのに対し、「準備」は必ずしも戦略性を含まず、より幅広く日常的に使われる言葉です。
(例文)
- 今回の会議は参加者が多いため、資料の準備は早めに行うことにした
- 十分に準備したお陰で、イベントは大成功に終わった
■お膳立て
お膳立て(おぜんだて)とは、物事を始めるために前もって準備や用意をすることを意味します。 「お膳」は、食器を載せる台や食事そのものを指し、丁寧語の接頭辞「お」が付いた表現です。「立て」は、名詞に付いて、その状態や様子を際立たせる働きをします。
多くの料理を一度に準備し、お膳にまとめて運ぶと効率が良いため、そこから転じて「お膳立て」が「事前に用意を整える」という意味で使われるようになりました。
ただし、「お膳立て」は単なる準備ではなく、相手が気づかないところで先回りして整えるような、周到な用意を指す点に特徴があります。
(例文)
- A社との交渉が順調に進んだのは、課長がお膳立てをしてくれたおかげだ
- 大規模なイベントをトラブルなく無事に完了できたのは、多くの企業のお膳立てがあったためである
■根回し
根回し(ねまわし)とは、樹木などを移植する際、広がった根の中心を残して切り取り、細根の発生を促す手段のことです。この手法が転じて、物事を円滑に進めるために事前に準備をする、あるいはあらかじめ手を打つという意味で使われるようになりました。
根回しが必要となる場面としては、大きな変化が予想される場合や、好ましくない影響を防ぎたい場合、関係者が多いときなどがあげられます。
(例文)
- このプロジェクトを成功させるためには、事前に根回しをしておく必要がある
- 会議をスムーズに進めるため、関係者への根回しを済ませておいた
布石の意味を正しく理解しよう

布石とは、物事を有利に進めるために前もって取る戦略的な行動のことです。囲碁において対局の序盤に行う石の配置に由来しています。「布石を打つ」という使い方が正しく、「布石を敷く」などの誤用には注意しましょう。
「伏線」や「準備」などの類義語もありますが、それぞれ意味やニュアンスが異なります。それぞれの言葉の意味を正確に理解し、文脈に応じて使い分けましょう。
構成/須田 望







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