
「ケンミンSHOW」でも紹介された山形のソウルフード「あじまん」をご存知だろうか?
つぶあんが詰まった山形発祥の大判焼きで、東北っぽい素朴な甘さと想像以上に詰め込まれたあんこが特長の冬のファストフード的和菓子だ。
スーパーやホームセンターの前に毎年10月以降に出現するあじまん店舗。1個120円で、つぶあんとカスタードクリームの2種類が基本メニューだが、期間限定メニューが顔を見せることも。今シーズンは爽やかな酸味の「レモネードあじまん」が新たな風を吹かせていた。
今回注目したのは「あじまんと大判焼きと今川焼きの違いは?」という永遠に議論される呼び方検証でもなく、山形ソウルフード特集というありきたりなテーマではない。
『冬場しか営業しないという独特の経営スタイルで夏は一切営業せず利益ゼロなのになぜ企業として成立してしまうのか?』という疑問だ。
10月に店舗営業が始まり、早いところでは3月末、4月末には完全閉店。東北の桜に合わせるかのように店舗も姿を消していく。
–率直に伺います。夏場だけの営業で冬場は利益ゼロって本当ですか?
「そうですね。冬期(10/1~4/30)は7か月間で年間売上(利益)の100%を稼いでいますが、夏期(5/1~9/30)は売上ゼロです。その5か月間は本部固定費分そのまま赤字を計上しています」
–では、夏場の仕事内容とは?
「本部社員で言うと冬期のオンシーズンは月6日の休みを取りながらガッツリ働き、夏期のオフシーズンは月の約半分が休みです」
「夏期の業務としては、ミーティング(店舗業務改善)や店舗掃除・メンテナンス、商品開発(限定商品)などを行っています」
夏場は利益ゼロという話も真実であり、本腰を入れる冬に向けて休息を取りながら準備を整えているという事実。
ならばもう一つ、夏場も変わらず社員には同様の給与が支払われているのか?という疑問もお聞きしたいところ。
「通年社員は現在13名なんですが、もちろん冬期間同様の給与体系になっています。ちなみに、現場の第一線で活躍する店舗社員(あじまんレディ)は100%女性で全国に約650名おります。その全員が毎年10月から3月末までの店舗営業期間の雇用になっております」
お分かりいただけただろうか?
東北をメインにチェーン展開する企業ながら通年社員はわずか13名。売上高は20億強を誇ると言われている。
山形の片田舎で始まった企業が、なぜ冬場だけの営業でここまで成長を遂げ、利益を伸ばしているのか?その理由を探っていこう。