
「癇に障る」とは、不愉快に感じて腹が立つことを指します。同じ言葉でも人によって感じ方が異なります。「癇に障る」と「癪に障る」の違いは、前者が怒りっぽい性質を引き出されること、後者が急激に怒り状態になること。癇に障る人の特徴として、上から目線、細かい指摘、一言多い、文句が多いなどが挙げられます。対策としては、会話を最小限にし、張り合わず、他人の変化を期待しないことが大切です。
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仕事やプライベートの場で誰かと話しているときに、「今の発言、なんかイラっとした」と感じたことがある人、意外と多いのではないでしょうか。
この感覚、感情が、“癇に障る”ということだと言われています。
癇に障る人とは関わり合いにならないことが一番なのですが、同じコミュニティであれば簡単にはいきませんよね。
今回は、癇に障る人の特徴を知り、上手に付き合っていく方法をお伝えします。
「癇に障る(かんにさわる)」とは
まずは言葉について調べていきましょう。
■「癇に障る」意味は?
「癇に障る」の意味を見ていきます。
小学館のデジタル大辞泉によると、その意味は
気に入らないで腹立たしく思う。
と記載されています。冒頭でも触れたように、自分の気持ちとして気に入らないと不愉快に思い、腹が立ってしまうことを指します。つまり、それは自分だけの感情であり、同じことを言われたとしても、腹を立たない人もいるということになります。
■「癇に障る」と「癪に障る」の違いは?
似ている言葉として、「癪に障る」があります。こちらは(しゃくにさわる)と読み、2つは少し言葉の意味が異なります。
小学館のデジタル大辞泉によると、「癪に障る」の意味は
腹が立つ。気に障る。
と説明されています。これだけだと違いがわかりにくいので、「癇」と「癪」を比べてみます。
癇……神経質で、怒りやすい気質。
癪……胸や腹が急に痙攣 (けいれん) を起こして痛むこと。さしこみ。
と小学館のデジタル大辞泉にあります。
つまり、どちらも腹立たしいことを指す言葉なのですが、「癇に障る」は何かの原因によって怒りっぽい性質が引き出されること、「癪に障る」は体がけいれんを起こしてしまうほど急激に怒り状態になることを指すようです。
癇に障る人の特徴
癇に障る人に多い特徴をここでは紹介します。その人の特徴もあれば、受けた側の人の特徴によって「癇に障る」という状態が引き起こされることがあります。
1.上から目線
上から目線とは、相手よりも上の立場であるかのような、偉そうな態度や言動を取ることを指します。相手を見下しているということでもあるので、その態度が言動が癇に障るのです。
また、このタイプの人は、求められてもいないのにアドバイスをしてくることもしばしば。自分のことが絶対的に正しいと思ってのアドバイスには、カチンときてしまうのは仕方ないと言えるでしょう。
2.細かい
いちいち細かいことを指摘してくることも、癇に障る人に多い特徴です。
この特徴は一概に悪いことではありません。受け手の価値観も大きく影響してくるからです。例えば、同じ作業をしているときに細かい部分までチェックされることについて、「そのぐらい大丈夫なのに」と腹を立てる人がいる一方、「ここまで見てくれてありがたい」と感謝する人もいます。悪い特徴というよりも、それぞれの価値観が合わないときに、癇に障るという状態になるようです。
3.一言多い
最後に余計な一言を付け加えてしまう人も、周囲の人をイライラさせている可能性が高いです。
このタイプの人は、自分の発言によって他者から注目を集めたい、いつも自分が周囲よりも優位でいたいという心理が隠されています。
4.文句が多い
クセのように、「でも」「だって」と言いながら文句を言ってくる人は、イライラさせる天才とも言えます。
このタイプの人は自分本位に物事が進まないと気が済まないのにもかかわらず、他力本願なところがあります。一番関わり合いにならないほうがよいとされるタイプと言えます。
癇に障る人と上手に付き合っていく方法
相手の言動が癇に障ってしまうのには、その人に原因がある場合と、自分の価値観が関係している場合があります。価値観が合わない人は避けることが一番なのですが、仕事やプライベートなど同じコミュニティにいる場合にはそうもいきません。なので、ここではイライラしない、余計なストレスをためない、そんな方法をピックアップしました。
1.会話は目的だけの内容にとどめる
誰かと話をするとき、そこには目的があるはずです。そのことだけの最小限の関わりにとどめましょう。
同じコミュニティにいるからといって愛想良くしていると、特徴で取り上げたように上から目線で話したがる人、文句が多い人の標的になってしまう可能性もあります。その人たちに愛想良くする必要も好かれる必要もありません。最低限のコミュニケーションを取っていればいいと割り切って付き合うことが大切です。
2.張り合わない
張り合わないことも癇に障る人との付き合いで大切です。
上から目線でアドバイスされたり、文句を言われたりしてイラっとしてしまうと、言い返してしまったりもするでしょう。しかし、それをしてしまっては関わり合いになる時間が増え、それだけイライラする時間も増えてしまいます。
相手の言うことには反応を薄い相槌などでかわし、肯定も否定もしないことです。
3.他人が変わってくることを期待しない
冒頭で触れたように、癇に障る人は、あなたにとって価値観の合わない人ということ。いくらこちらが歩み寄って愛想良くしても相手が変わってくれることはないと思ってください。
人は他人に期待し、それがかなわなかったときに怒りを覚えます。この人はずっとわかり合えない存在なのだということがわかれば、相手が変わってくれるという期待は持たなくなるはずです。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
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