ホンダが考える「ちょうどいいクルマ」とは
2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した新型フリード。「実のところ、私も驚いた」と安積さんは本音を漏らした。
「フリードは、世界初や日本初を謳うような技術を搭載しているわけではありません。私たちが目指したのは、今の日本のお客様にとって本当に必要なものは何かを考え、地道に開発していくことでした。だからこそ、今回の受賞は本当にありがたいですし、開発者としてこれほど嬉しいことはありません。お客様にとって本当に必要なものを愚直に追求してきた結果が、今回の受賞に繋がったのだと思います」
安積さんは、今後はフリードのメインターゲットである子育てファミリー層だけでなく、ミレニアル世代にもアピールしたいと話す。
「ファミリー層のニーズとは別に、もっと直感的に『欲しい』と思わせるような訴求が必要だと考えています。ミレニアル世代を取り込むには、感性に訴える部分、例えばデザインやカラーリングなど、もう少し踏み込んだ演出が必要だったかもしれません。若い世代がもっと振り向いてくれるような、エモーショナルな訴求を強化していきたいと考えています」
最後に、ホンダが目指す「ちょうどいいクルマ」の在り方について伺った。
「スポーツカーにとっての『ちょうどいい』と、ミニバンにとっての『ちょうどいい』は違いますよね。それぞれのカテゴリーで『ちょうどいい』の定義は変わるんです。ホンダとしては、スポーツカーでもミニバンでもセダンでも、それぞれのカテゴリーでユーザーが本当に求めている『ベスト』な車を作りたいと考えています」(
取材・文・撮影/久我裕紀 構成/DIME編集部