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釣り動画で人生が変わった!登録者数180万人越えの「おーちゃんねる」に聞いたYouTuberのリアル

2025.04.19

近年、「YouTuber」は特に小中学生を中心に人気を集め、なりたい職業ランキングでは常に上位にランクインするほど注目されています。

YouTubeは、誰でも自分のチャンネルを作り、自由に動画を投稿できるプラットフォームです。投稿した動画が多くの人に再生されれば、広告収入を得られるしくみもあり、「人気YouTuber」として活躍する夢も広がっています。しかし、その一方で、継続的に成果を出すことは簡単ではなく、多くの努力や工夫が必要です。夢のある職業であると同時に、現実にはさまざまな壁があるのも事実です。

今回は、チャンネル登録者数180万人を超える生き物系YouTuber「おーちゃんねる」のおーちゃんさんにインタビューを実施。YouTuberを目指したきっかけや、動画制作の裏側、将来への思い、そして成功のために大切なことなど、「YouTuberという職業のリアル」について率直に語っていただきました。

ストレス発散から始めた”釣り動画”で人生が変わった

──「おーちゃんねる」はどのようなチャンネルですか?

主に魚や昆虫を中心に、生き物の採集・観察・実験をする様子を動画にしています。

──YouTuberを目指したきっかけを教えてください。

釣り動画を上げている高橋魚紳さんというYouTuberに憧れて、2016年に動画投稿を始めました。

当時はほぼニートのような生活をしていて、将来への不安からくるストレスを発散するために、高橋魚紳さんのマネをしながら車で釣りに行き、それを動画に撮るという”高橋魚紳”ごっこをしていました(笑)。

──最初からYouTube一本で生計を立てるつもりだったのでしょうか。

あくまでストレス発散のために始めたことで、当初はまったく考えていませんでした。YouTubeを始めて1年後には就職もしました。YouTubeはあくまで副業。ニート生活を経験したぶん、会社で働ける安心感は大きかったですね。

転機が訪れたのは、動画投稿を始めて2ヶ月ほど経ったころ。釣りは毎日行けるわけではなく投稿頻度を上げられないため、昆虫の動画を撮るようになっていました。当時はチャンネル登録者数に関係なく収益化できる仕組みで、月に1~2万円くらい稼げるようになっていました。「これは釣りに行くガソリン代くらいにはなるのでは?」と思い、そこから少しずつ欲が出てきました(笑)。

──YouTubeメインで生活していけるかもと考えるようになったわけですね。

動画投稿を始めて2年目の夏、再生回数がぐっと伸びたことがあったんです。そのときの収益が会社の給料の何倍もの額で、「もしかしたらYouTube一本で生活できるかもしれない」と思いました。ただ、それですぐに会社を辞めることはしませんでしたね。

──すぐに辞めなかった理由は?

生き物系のチャンネルは夏に再生数が伸びやすい傾向にあるんです。生き物の動きが活発な季節で、撮れ高も多いですから。そのため、収益の増加が一時的なものなのか見極める必要があると考え、しばらくは動向の分析をしていました。その後、冬になっても収益が安定していることが確認できたため、抱えている仕事をすべて片付けてから年度末に退職しました。動画投稿を始めて3年目に、現在の活動スタイルが固まった感じです。

──とても冷静に判断しながら行動されている印象を受けます。

夢のある職業である分、リスクも伴いますから。常に数字を観察しながら分析しています。YouTuberは会社員のように何十年も安定して続けられる職業ではないことも理解しています。ただ、会社に30~40年勤めて得られる収入を、YouTuberとして活動して5~10年で得ることができれば、人生をより楽しみながら老後の資金まで確保できるのでは?と考えています。とにかく今は、一つ一つの動画制作に全力で取り組んでいるという感じですね。

△100匹以上のカブトムシに大玉スイカを与える様子。4日後にはほぼ食べ尽くされていた。

”なんでも”撮る、ただし”なんとなく”は作らない

──普段の動画制作の流れを教えてください。

基本的には小回りのきくハンディカムを使用して、思いついたことを即撮影しています。両手をあけたいときはアクションカメラを、出先で急遽撮影する際はスマートフォンを使うこともあります。編集作業は自分やスタッフ、業務委託など状況に応じて分担しますが、最終的な仕上げとチェックは必ず自分で行うようにしています。

──再生回数を伸ばすために意識していることは?

「思いついたことはなんでもやってみる」ですね。「これは伸びるだろう」と思って狙って撮った動画があまり伸びず、逆に気まぐれで撮った動画がヒットすることも多いんです。もちろん、どのような内容の動画が伸びやすいのか傾向を分析しておくことは必要ですが、「とにかく思いついたものを撮る」という行動力や、試行回数を重ねることを大切にしています。

また、動画の尺(長さ)も意識しています。8分以上ある動画は途中に広告を挟めるので、最低でも8分の尺は確保しつつ、トータルの視聴時間のことを考慮して10分以上の動画を作るようにしています。

というのも、YouTubeで伸びやすい動画の条件の一つに「平均視聴時間が長い」という要素があるんです。全体の尺が短い動画だと、平均視聴時間も短くなってしまう。たとえば視聴維持率を50%と仮定した場合、8分の動画だと4分の視聴時間なのに対して、10分の動画であれば5分になります。つまり、同じような内容なら8分より10分の動画を作った方が、アルゴリズム的な観点で優遇されやすいんです。もちろん無駄に尺を引き延ばすことはしませんが、時間と内容のバランスを考えた動画制作を常に意識しています。

──チャンネル登録者数を増やすために有効な戦略やアプローチがあれば教えてください。

当然、ヒット動画を出すことですが…正直に言うと、チャンネル登録者数自体はあまり気にしていないんです。登録者数が増えても、再生数が伸びなければ意味がないですから。収益に直結するのはあくまで動画の再生数なので、動画を最後まで視聴してくれる人が何十万人といれば、極論、チャンネル登録者数は収益化の条件である1000人さえいてくれれば問題ないんです。

──そのような考えは意外でした。

チャンネル登録って、たとえ動画を見なくなってもあまり解除しなくないですか?だから、登録者数は時間の経過とともに自然と増えていくものだと思っています。それよりも、再生数や視聴時間のアベレージを伸ばすことに注力していますね。

ただ、チャンネル登録をすることで通知が届いて目に留まりやすくなるなどのメリットもあるので、登録していただくに越したことはありません!ということでチャンネル登録、よろしくお願いします(笑)。

──ショート動画の需要が急速に高まっていますが、おーちゃんさんはあげていらっしゃいませんね。進出していない理由をお聞かせいただけますか。

ショート動画の一番のメリットは、手軽に楽しめて、認知度を上げてくれるところ。チャンネル登録者数も伸びると思います。ただし、1再生数あたりの単価が非常に低いんです。加えて、1分という限られた時間に必要な情報を詰め込まなければならないので、編集技術や構成力が求められる、意外と難しいコンテンツでもあります。

さらにショート動画をよく見る視聴者層は、あまり長尺動画に流れてこない傾向にあるんです。認知度を上げるためにショート動画を活用するのは有効な手法だとは思いますが、今の自分には幸いにも長尺動画を見てくださる視聴者が多くいらっしゃるので、現時点ではショート動画に制作コストを割く必要はないと考えています。

△キイロスズメバチの巣を回収して飼育したいというおーちゃんさん。虫への愛と正しい知識を持っているからこそできる行動だ。

人気YouTuberの裏事情

──収入が安定しないことはありますか?

基本的に、YouTubeというプラットフォームで得られる収益は非常に流動的です。たとえ再生数や投稿頻度が安定していても、再生単価は時期によって一定ではないため、同じ再生数でも収益に差が出ることは珍しくありません。さらに、アルゴリズムの変化やアカウント停止のリスクなど、常に多くの変動要因がつきまといます。

「おーちゃんねる」は、個人ではなく法人化した一企業として運営をしています。私個人は役員報酬を受け取っているため、安定しているように見えるかもしれません。しかし、先ほど申し上げたように、YouTube運営には多くの不確実性が伴うため、「明日はどうなるかわからない」という緊張感のなかで運営を行っています。

──動画のネタが浮かばないときはありますか?

あまりないですね。一つのことをやると、「あれもやりたい」「これも試したい」とネタが派生して浮かんでくるんです。何を撮るか考えているときはとても楽しいですね。冬は選択肢が減るので少し困ることもありますが、基本的にはネタ切れを感じたことはありません。

──オフの日は何をしていますか?

釣りに行ったり旅行をしたりしています。ただ、出先でつい撮影をしてしまうこともあるので、完全なオフと言えるのかは微妙なところかもしれません(笑)。本当に休みたいときは家でグータラのんびり過ごしています。

──やりがいや楽しみを教えてください

いろいろなところに行けること、さまざまな生き物に出会えることです。

──反対に、壁や苦悩、不安を教えてください。

自分が動き続けなければチャンネルが死んでしまうこと、ですね。YouTuberというのは自ら仕事を見つける必要があるうえ、コンスタントに収益をあげることが難しい職業です。どれだけお金を稼いでも将来への不安はなくなりません。だからこそ、万が一のことを考え、何かあったときも何年かは生きていける蓄えを準備しておかなければならないと考えています。

△バケツに溜めた雨水からボウフラ(蚊の幼虫)を羽化させる実験に成功。普段見ることのない貴重な様子に、虫に興味がなくても釘付けになる。

「馬鹿言ってねぇで働け!」厳しい言葉に隠されたエールとは──

──YouTubeで成功する方法を教えてください!

とても一概には言えませんが、まずはYouTuberを「仕事」として捉え、数字と真剣に向き合うこと。そして、途中で折れずに続けていくことが大切です。

そのためには、自分自身のメンタルケアをすることが重要です。私の場合は、おいしいものを食べたり、旅行をしたりと、頑張った自分に定期的にご褒美をあげるようにしています。

──これからYouTuberを目指す人にアドバイスをお願いします。

「目指してなるもんじゃねぇ!!いいから馬鹿言ってねぇで働け!!!」…なんて言ったら身も蓋もないですよね(笑)。

気を取り直してお答えすると、まずは自分の強みを見つけること。自分の好きなことを深掘りするなりして、「自分に何ができるのか」を知っておくことです。それから、会社員としての経験を積むことをおすすめします。もし夢が叶って人気YouTuberになったとき、内輪の関係だけでは済まず外部とのやりとりも発生してくるでしょう。会社員として働いた経験があれば、身につけた社会性を武器として活かすことができます。働くことで、自分の強みややりたいことが明確になることもありますしね。

YouTuberで食べていけるようになるのはとても大変です。さらに食べていけるようになったところで、その状態を維持するのはもっと大変です。長い長いマラソンになると思いますが、そのマラソンに耐えられるだけの武器をしっかりと磨いてほしいと思います。

終始、笑顔でインタビューに応じてくれたおーちゃんさん。どんな質問にも飾らず率直に答えてくれる様子からは、YouTuberとしての覚悟と、仕事に対する強い責任感が伝わってきました。

自身の経験を包み隠さず話してくれる姿は、今現在YouTuberとして頑張っている人、そしてこれからYouTuberを目指す人にとって、大きなヒントとなるかもしれません。

【おーちゃんねる公式チャンネル】
チャンネル登録者数180万人超え!「生物観察の鬼」と呼ばれるおーちゃんが、化け物クラスの巨大魚を釣ったり釣らなかったり、幻の珍虫を見つけたり見つけなかったりするチャンネルです。
https://www.youtube.com/@Ohchan_ch

【イベント情報】
昆虫好きの、昆虫好きによる、昆虫好きの為の”バグ”ったフェス、BUG FESが5月31日(土)東京・浅草にて開催決定!昆虫を愛する豪華クリエイターも多数参加予定!
詳細はこちらから↓
https://www.bugfes.com/

取材/文:星野ひかる

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