
「成功」を加速するマネジメントと聞いて、何を想像されるでしょうか?成功のイメージは様々かと思いますが、ここでは、会社・組織において、今これを読まれているマネジメントの立場である皆さんのチームが継続的に目標を達成する、もしくは近づいていくことを「成功」とイメージしていただき、成功を加速するために重要な基礎となるマネジメントをお伝えしたいと思います。
どのようなチームを目指すか
継続的に目標を達成し続けるチームとは、どの様なチームでしょうか?スーパープレイヤーがいるチームでしょうか?
確かに成果を出すスーパープレイヤーがいると数字は作れるかもしれませんが、他のメンバーが成長しなければ、チームとして継続して成長するチームにはなりません。そもそも、スーパープレイヤーは簡単に出てくるわけでもなく、そこに期待していては上手くいきません。様々なケースにおいて、成功に向かっていけるチームとは、メンバーの経験や能力に関係なく、リーダーの指示や戦略通りに実行し、成功や失敗を繰り返しながら成長していけるチームです。
つまり、チームの全員がリーダーの指示に従い、全力でやるべきことに取り組めるチームが継続的に目標を達成し続けるチームになり得るのです。
それでは、これから継続的に目標を達成し続ける=成長し続けるチームを作る上で重要となる4つのマネジメントを紹介していきます。
(1)チームの基盤を作る
まずやるべきこととして、メンバー全員が指示通りに動くようなチーム作りです。当たり前ですが、リーダーがいくら良い戦略や指示を出してもメンバーがその通りに動かなければ思った成果に繋がりません。更にその指示や戦略が正しかったかどうかも分からず、戦略の修正が出来なくなり、継続的な成長を見込めないチームとなります。
では、どのようにして基盤を作るのかですが、ここで重要な要素がルールです。
難しいルールではなく、誰でも出来るルールを作って全員がルールを守る状態を作ることがポイントです。誰でも出来るルールのことを識学では姿勢のルールと呼びます。全員が姿勢のルールを守ることで、チームとしての規律が生まれます。「なぜ守らないといけないのか?」「納得しないとやりたくない」などではなく、決められたルールは当たり前として確実に守るというチームを作るのです。また、人は同じルールを守っているメンバーを同一コミュニティと認識する習性があり、姿勢のルールを作って守らせることでチームの一員であるという認識が芽生えます。
まずは、全員が同一のコミュニティにいる認識をもち、決められたことを守れるチームを作ることがマネジメントの重要な第一歩なのです。姿勢のルールを作って守らせることから是非始めてみて下さい。
(2)ルールを機能させる
ルールを作ったのにいつの間にか形骸化していた、最初は守っていたけど今は守ってない人がいるなどが起きるのはなぜでしょうか?メンバーのやる気や気持ちが原因と思われるかもしれませんが、重要なことは全員がルールをちゃんと認識出来ているかとリーダーの指摘です。人は忘れる生き物です。常にルールを全員が認識出来るように、明文化して忘れても直ぐに確認出来る様になっている状態にしておくことが重要です。
そして、守れなかった時にしっかりと指摘できているかどうかでメンバーのルール遵守が変わってきます。リーダーが、5分位の期限遅れなら何も言わなくても良いと思って指摘しないと、メンバーは5分程度なら許されると認識してルールが曖昧になり、正しく機能しなくなります。ルールを確実に守れるチームになるかどうかはルール違反を確実に指摘できているかどうかが重要なのです。
また、徹底していくとルールを作って守らせる側とルールを守る側の認識が明確になり、上司部下の関係が明確になります。
上下の認識が正しく出来ていれば、新しくルールを追加したり、リーダーが指示を行った際に直ぐに従う姿勢や行動に現れます。
常にルールを認識させて、違反があったら指摘することを徹底しましょう。
(3)曖昧さを無くす
ルールを作る時に重要なポイントとして、人によって認識がズレないようにすることです。例えば、整理整頓するといっても、人によって出来たかどうか意見が分かれるようでは、せっかく作ったルールも上手く機能しませんし、リーダーも指摘することが困難になります。
「退社時は机の上には何も置かない状態にする」という様に誰もが同じ認識となるようにすることが重要です。
これは、ルールを作るだけでなく、日々の指示も同様です。
リーダーが求めている最終結果はどういう状態なのか、いつまでにやらないといけないかの認識が合っていなければ、メンバーは出来たと思っていてもリーダーからすると出来てないということが起こり得ます。
メンバーは「一生懸命頑張ったのに、認めてもらえなかった」、リーダーは「メンバーが指示通り動かなかった」と認識するなど、残念な結果になるかもしれません。
また、期限設定も非常に重要な要素となります。
「なるべく早く」、「今日中に」など曖昧な期限設定をしていないでしょうか?
メンバーも自分のやるべき仕事がある中、タスクをこなす必要があります。優先順位を明確につけてリーダーの指示を全うする為にも期限を明確にすることは重要なのです。
指示通り実行したかどうかの判断も期限があれば明確になります。
常に期限設定を行っていくと、全員の期限意識が高まり、ロスタイムが減ることで、チームのスピード感が上がるなどチームの変化が出てきます。
うっかり期限設定しなかったらメンバーから期限の確認が入るといったことが起きてくるとメンバーの期限意識が高まってきた合図です。
「いつまでに」「どのような状態にすれば良いのか」を明確にしたルール設定、指示を出すようにしてみて下さい。
(4)やることを明確にする
当たり前のルールを守り、期限意識のあるメンバー全員が、日々何をすべきか明確になっていればリーダーが向かいたい方向に進んでいくチームになる気がしませんか?
各人がやるべき事とは何か?それは、チームとして何を行うことを求められているかを確認した上で決めることが重要です。チームが会社であれば、そのリーダーである社長が部門長に何を求めるか明確にします。チームがある1部署であれば、会社からその部署に求められていることを確認の上、メンバーに何を求めるかを定めましょう。
ここでのポイントは求めることは上から明確にしていくことです。
リーダーの指示通り向かえるチームになっていたとしても、そもそもチームが会社から求められていることを理解出来ていなければ、チームが違った方向に進む可能性があります。上から求められることを確認した上で、メンバーに求める事を明確にしていくことが重要なのです。会社から求められることを明確にした上で、メンバーの役割を明確にすることがポイントとなります。
このように、ルールを守り指示に従うチームが会社の求める方向に進む形を作ることが出来るのです。
まとめ
今回は成功を加速するために、会社の進みたい方向に進むチームの作り方を記載しました。誰でも守れるルール作成を行い、同一コミュニティの意識を持たせ、決められたルールや指示にしっかり従うチーム作りから始めることがポイントです。その上で、「期限」と「やるべきこと」の認識のズレが発生しないようにすること、各人の役割を明確にすることが重要となります。チームの状況により時間差はあると思いますが、上記のマネジメントが当たり前に出来ている状態になった時、きっとチームに変化がみられるはずです。
文/識学コンサルタント 岸田好生