
毎年、新入社員たちが職場に慣れてくると必ずと聞かれるのが
「オフィスカジュアルってどこまでOkなんですか?」という質問だ。
「うわ、またか…」と思いながら、なんとなく「ジャケットかシャツを着ていればOKだよ」と答えていないだろうか。
しかし、オフィスを見回してみると。パーカー、Tシャツ、スニーカー…色とりどりの”オフィスカジュアル”が広がっている。
そもそもオフィスカジュアルって何だろう?
服装のプロに、オフィスカジュアルのOK、NGを聞いた。
そもそもオフィスカジュアルとは?
服装のプロ、パーソナルスタイリストの勅使河原祐子さんはオフィスカジュアルの定義を次のように説明する(以下、カッコ内はすべて勅使河原さんのコメント)
「結論から言うと、オフィスカジュアルはTシャツもデニムもスウェットもサンダルもOKです。
ビジネスシーンでは、⚫︎⚫︎カジュアルという言葉がたくさんありますが、フォーマルの方から順にスマートカジュアル、ビジネスカジュアル、そしてオフィスカジュアルとなります。
オフィスカジュアルは名前の通り、オフィス(屋内)で、社内の人とだけ接するシーンを想定して着用をする服装ですので、一般的により私服に近い服装でも許容されています。社外の人とも接する機会があるならビジネスカジュアル、フォーマルスタイルに少しラフにしたのがスマートカジュアルといったイメージです。
そんな懐の広いオフィスカジュアルでも、ラインを超えたNGがあります。
今回はそのNG例を紹介したいと思います」
意味不明なロゴ、不適切なプリントTシャツ
「意外とNGだと認識していないのが『意味不明なロゴ』『大きなプリント』がデザインされているTシャツです。
オフィスカジュアルではTシャツはOKとは言え、仕事をしに来ているということは忘れてはいけません。対面で話をする時に、相手の注意や意識を集めてしまって、仕事の妨げになるのはお勧めできません。キャラクターのTシャツも同様です。
最近は面白いデザインの服が増えてきて、ついつい遊び心で来てしまいがちですが、オフィスにはふさわしくないでしょう。
ブランドロゴやキャラクターの要素を入ったものを選びたい際には、胸元にワンポイントくらいで収める、あるいはジャケットを羽織るなど、プリントの主張を抑える工夫をするならばOKです。
オフィスカジュアルで重要なのは、『しごでき感』を消さないことです」
露出の多い服や着方
「当然ですが、男女問わず露出は意識したいポイントです。
女性なら胸元やスカートの丈は意識したいですし、男性でも当然ハーフパンツやノースリーブはNGですね。
他にも気をつけたいのが、シャツのボタンです。シャツのボタンは開けても良いですが第2ボタンまで。第3ボタンはやりすぎです。
クロップド丈(9分丈)はOKですが、フルレングスでもダメージジーンズはNG。
『どれだけ露出しているか』ではなく、イメージを優先したいところです」
パーカー・スウェット素材
「完全なNGではありませんが、上下ともにスウェット素材は部屋着感が強くなりすぎるのでNGですね。
上はTシャツ+ジャケットに、下がスウェットパンツであればOKでしょう。
スウェットの色をグレーから黒にするとなお良しです。
少し前に『40代パーカーおじさん』という言葉が話題になりましたが、私としては年齢で服装のNGが変わるとは考えておりませんので、30代でも40代でも50代でもパーカーを着て良いと思います。もちろん、パーカーもオフィスカジュアルとしてはOKです」
カジュアルすぎる足元
「難しいのが靴です。ビーチサンダルやクロックスがNGというのはわかりやすいのですが、サンダルは必ずしもNGではないと考えています。
最近はファッションブランドからもサンダルが発売されていて、ジャケットやシャツに合わせやすいデザインのものも増えてきました。
NGラインの目安は『かかとの有無』です。
かかとを紐で止められるようになっているものであればOK、スリッパのように歩くたびにかかとが浮くものはNGと考えてください。いわゆるミュールタイプですね。
すでに紹介した要素と合わせて、『Tシャツ+スウェットパンツ+かかとの止められるサンダル』は定義としてはOKとなります。ですがギリギリの線引きなので、どこか一つはフォーマルなアイテムに変えておくことをおすすめします」
ツヤのない髪
「服装ではありませんが『髪』にもオフィスカジュアルNGがあります。
それが、ツヤがなく乾燥した髪の毛です。
歳をとると男女ともに髪の毛にツヤやハリがなくなってきます。
ツヤがなく乾燥した髪の毛は、まとまりがなく、ボサボサと非常にだらしがない印象を与えてしまいます。
職場は自宅ではありません。寝起きや休日のような無象な状態のヘアスタイルは残念ながらオフィスカジュアル的にNGです」
今回「オフィスカジュアルのNG」を教えてくれたのはこの方
勅使河原祐子さん
株式会社FIQスタイル代表、パーソナルスタイリスト
取材・文/峯亮佑