ドン・キホーテは4月8日、同社初の試みとなる『ドンキヒット商品大賞2025』を発表。ドン・キホーテとMEGAドン・キホーテを中心に国内500店舗以上展開する商品の中から日々得られる膨大な購買データを元に、ドンキならではのヒット商品は何かを明かした。
発表会場にはゲストとしてモデル・タレントのみちょぱ(池田美優)さんが登場し、トークを交えながらランキングを発表。プライベートブランド『情熱価格』をはじめ他店では見かけないようなユニークな商品も多数扱うドンキホーテの最驚トレンドはどのようなものなのか?
主催したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 代表取締役鈴木康介氏とゲストとして発表会場を盛り上げたみちょぱさん
いまの時代に本当に求められている商品を選出
『ドンキヒット商品大賞2025』は、国内の店舗で2024年1月から2025年1月までに販売された商品の中から販売点数や話題性、国内外のお客様や従業員の声などを元に選定。【majicaマジボイスいいよ!部門】【SNSバズり部門】【ドンキZ世代の従業員に人気部門】【海外のお客様爆買い部門】【ドンキで売れまくり部門】の全5部門の1位から5位までを発表した。
主催したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の代表取締役兼専務執行役員の鈴木康介氏によれば、『ドンキヒット商品大賞』は幅広い顧客の購買行動から得られた他に類を見ない実績データを元に、いまの時代に本当に求められている商品を選出するアワードだという。
「今回入賞した商品を事前に見ましたが、意外な商品や面白い商品、当社ならではのアイテムがそろっています。単に売れたものではなくお客様の生活や気持ちに寄り添い、なぜ選ばれたか、どんなバリューがあるのかを紐解いています。今後の商品開発や売場づくりのみならず、世の中にポジティブな驚きやワクワクを届けられればと願っています」と企画の経緯や開催の意義を明かす。
では、各部門の結果とその商品がヒットした理由を見ていくことにしよう。
意外性あふれる全5部門の結果
【majicaマジボイスいいよ!部門】
PPIHグループのキャッシュレス決済アプリ『majica』のレビュー機能『マジボイス』に投稿された商品レビューについた「いいよ!」の数などを元に選考。結果は次の通りだが、全部『情熱価格』で占められた。
1位 情熱価格 焼き芋
2位 情熱価格 韓国海苔 大容量 96枚入(8枚×12袋)
3位 情熱価格 おかめ納豆 超極小粒納豆 40g×3
4位 情熱価格 ライトツナフレーク 70g×10缶
5位 情熱価格 ハマチキ 400g
【majicaマジボイスいいよ!部門】1位『情熱価格 焼き芋』、2位『情熱価格 韓国海苔 大容量 96枚入(8枚×12袋)』、3位『情熱価格 おかめ納豆 超極小粒納豆 40g×3』
【majicaマジボイスいいよ!部門】4位『情熱価格 ライトツナフレーク 70g×10缶』、5位『情熱価格 ハマチキ 400g』
5位はチキンナゲットで、「安くてお弁当に入れるのにちょうどいいです」といったレビュー投稿で「いいよ!」を集めた。
4位は「ラベルがないので缶を捨てる時も簡単」「一回分の量が丁度良い」などのレビュー投稿が「いいよ!」を集めた。
3位は粒の小ささを購入者が評価しており、「豆腐(冷奴)のトッピングとして相性抜群の美味」「粒の大きさが大好き」などのレビュー投稿で「いいよ!」を集めた。
2位は味のほか「良く売っている韓国海苔は5枚くらいしか入っていないけどドンキのは8枚入りなので良い」と大容量を評価する声にも「いいよ!」が集まった。
そして1位は「初めて食べたけど、予想以上においしかったです」と味に関する高い評価が目立った。
【SNSバズり部門】
ドン・キホーテ公式TikTokや他のSNSで話題になった商品の動画再生回数やリアクション数、検索数をドンキ独自の「バズり指数」とし、この指数の高いものをランキングした。結果は次の通り。
1位 情熱価格 卵かけ風ご飯のたれ144g(18g×8個)
2位 しなこボンボン(マイウェイ)
3位 ハリボー チョコマシュマロ(ハリボー)
4位 ワイヤレス充電車載ホルダー(ドン・キホーテオリジナル)
5位 情熱価格 冷暖房機能付きどこでも置くだけエアコン
【SNSバズり部門】1位『情熱価格 卵かけ風ご飯のたれ144g(18g×8個)』、2位『しなこボンボン』(マイウェイ)
【SNSバズり部門】3位『ハリボー チョコマシュマロ』、4位『ワイヤレス充電車載ホルダー』(ドン・キホーテオリジナル)、5位『情熱価格 冷暖房機能付きどこでも置くだけエアコン』
5位はドンキ公式TikTokでの動画再生数が多く(期間:2024年2月〜2025年1月までの累計)、通年で使えることや設置工事が不要な点を評価。電気代などについての問い合わせが多く寄せられた。
4位はドンキ公式TikTokでの動画再生数が900万に達しており、トレンドであるパステルカラーをはじめとしたカラーバリエーションが豊富でスタイリッシュな点を評価。価格に関する問い合わせが多く寄せられたという。
3位は2024年2月〜2025年1月の間、[ハリボー]と[チョコ]で検索すると1000件超ヒットしたほか、YouTubeやTikTokでASMR動画がバズった。
2位は動画クリエイター・インフルエンサーのしなこがプロデュースした菓子で、2024年2月〜2025年1月の間、[しなこ]と[ボンボン]で検索すると2628件ヒット。YouTubeでのASMR動画がバズった。しなこ人気もあり売り切れ店続出で、ドンキでも一部の店舗でしか取り扱っていないほど。しかも現在売り切れ中で、入荷予定は未定となっている。
1位はドンキ公式TikTokで動画が約2か月で1100万回再生を記録。2024年2月〜2025年1月の間で一番の再生数となったほどSNS映えした。
【ドンキZ世代の従業員に人気部門】
国内のドン・キホーテで働く24歳以下の従業員の購入データや社内で話題の人気商品の中から、社内選考委員会で決定。次のような結果になった。
1位 福にぎり ツナマヨネーズ(カネ美食品)
2位 モンスター パイプラインパンチ 缶335ml(アサヒ飲料)
3位 情熱価格 焼き芋
4位 ドン・キホーテ「偏愛めし」シリーズ ころもが主役のチキンカツ弁当
5位 ドン・キホーテ「偏愛めし」シリーズ ジューシィ焼鳥ゴロッと丼
【ドンキZ世代の従業員に人気部門】1位『福にぎり ツナマヨネーズ』(カネ美食品)、2位『モンスター パイプラインパンチ 缶335ml』(アサヒ飲料)、3位『情熱価格 焼き芋』
5位と4位にドン・キホーテらしさ全開の「偏愛めし」、3位に【majicaマジボイスいいよ!部門】で1位となった焼き芋がランクイン。焼き芋の強さをさらに印象付ける結果になった。
5位は「甘辛いたれが病みつきになる」と評判になり、4位はご飯の量が多めで食べ応えがあることとジャンクフード好きにはたまらない味わいが支持された。
2位はトロピカルなフルーツ風味。従業員の間で休憩時間に手軽にエネルギー補給ができる点とトロピカルなフルーツ風味が人気を集めた。1位はコスパが良い、味がいい、具の量が満足といった理由から従業員の間で大人気の『福にぎり』シリーズの中から、人気具材のツナマヨが選ばれた。
【海外のお客様爆買い部門】
国内のドン・キホーテの免税売上データを元に、訪日客が爆買いしたものをランキングした。結果は次の通り。
1位 ベイククリーミーチーズ 10粒入(森永製菓)
2位 ロイヒつぼ膏 156枚入(ニチバン)
3位 毛穴撫子 お米のマスク 10枚入(石澤研究所)
4位 一蘭ラーメン博多細麺 5食入(一蘭)
5位 太田胃散(分包) 48包(太田胃散)
【海外のお客様爆買い部門】1位『ベイククリーミーチーズ 10粒入』(森永製菓)、2位『ロイヒつぼ膏 156枚入』(ニチバン)、3位『毛穴撫子 お米のマスク 10枚入』(石澤研究所)
【海外のお客様爆買い部門】4位『一蘭ラーメン博多細麺 5食入』(一蘭)、5位『太田胃散(分包) 48包』(太田胃散)
5位は日本で長年愛され、訪日客からも信頼を集め人気を得ていることからランクイン。
4位は日本のラーメンが世界的に有名なこと、とくに中国からの訪日観光客の間で一蘭の認知度が高いことがヒットの要因になった。
3位はシートマスクだが、2017年頃に中国最大のSNSで商品のクチコミが拡散し入荷するとすぐ売り切れるほど。
2位は肩こりや腰痛時に使う温感タイプの貼り薬だが、直径2.8センチメートルと小さな丸い形状が韓国では「コインパス」と呼ばれているほか、中国では「神薬」と言われるほど人気が高い。中国ではSNSで日本を旅行した際に「購入する一品」と紹介され知名度が一気に拡散した。
1位はYouTubeでよく紹介されるほか、中国ではSNSで頻繁に「日本で買うべきお土産リスト」に登場するほど。中国や韓国ではインフルエンサーが「ドンキで買うべきお菓子」として紹介しており、クチコミが広がっている。アジア圏ではチーズ風味の人気が高く、濃厚なチーズ風味はアジア圏からの訪日客の嗜好にマッチしていた。
【ドンキで売れまくり部門】
読んで字の如く、ドン・キホーテで売れている商品のランキング。結果は次の通り。
1位 サントリーウイスキー角瓶 700ml(サントリー)
2位 フィーノ プレミアムタッチ濃厚美容液ヘアマスク 230g(ファイントゥデイ)
3位 フルグラ 750g(カルビー)
4位 休足時間 足すっきりシート 18枚[6枚×3袋](ライオン)
5位 ビオレUVアクアリッチ ウォータリーエッセンス 70g(花王)
【ドンキで売れまくり部門】1位『サントリーウイスキー角瓶 700ml(サントリー)』、2位『フィーノ プレミアムタッチ濃厚美容液ヘアマスク 230g』(ファイントゥデイ)、3位『フルグラ 750g』(カルビー)
【ドンキで売れまくり部門】4位『休足時間 足すっきりシート 18枚[6枚×3袋]』(ライオン)、5位『ビオレUVアクアリッチ ウォータリーエッセンス 70g』(花王)
5位はウォーターベースの日焼け止めで、コスパ重視の顧客に刺さった。
4位は韓国のSNSで「旅の疲れを癒す必須アイテム」と紹介され需要が拡大した。
3位は世界的な健康志向の高まりから中国や東南アジアからの訪日客の支持を集め、健康的なお土産として購入されている。
2位は国内のドン・キホーテではもともとトリートメントがよく売れシェアが高いという背景がある中、ブランド力の高さやコスパの良さがSNSでたびたび取り上げられたことがヒットの要因。訪日観光客にもよく買われ、とくに韓国からの訪日客の支持が高かった。
そして1位は、インバウンド需要が高いことがヒットの要因。ブランド認知度が海外でも高くジャパニーズ・ウイスキーの中では価格が比較的手頃なことからよく買われた。とくに中国や東南アジアからの訪日客が日本土産として購入していった。国内でも角ハイボールのヒットがあり、宅飲み需要に支えられた。
みちょぱさんは全体を振り返り、次のように総評する。
「結構(店に)行っている割には知らない商品がいっぱいあり、『偏愛めし』や『卵かけ風ご飯のたれ』とか可能性を感じました。他にない商品を開発してくれるところはドンキらしいです。宝探し感が楽しいので、もっと頻繁に行ってチェックしなきゃいけないと思いました」
最驚トレンドから導くヒット商品に必要な要素
正直なところ、各部門のランキングは意外だった。毎年各所から発表されるヒット商品ランキングには登場しないような商品が目白押しだからだ。『情熱価格』と『偏愛めし』という2つのドン・キホーテのブランドを除いても、その印象は変わらない。
この1年の間に発売されたような新しい商品がむしろ少数派なところも、他のヒット商品ランキングと趣を異にする。トレンドを反映したというより鈴木氏が言っていた、顧客の生活や気持ちに寄り添った通りの結果になったといえる。みちょぱさんがトーク中に何度も「リアル」「忖度がない」と反応していたのも頷ける。
今回最驚トレンドに選出された商品の選出理由からヒット商品に必要な要素を見出すとすれば、それは次の6点になるだろう。
1.コスパの高さ(『情熱価格』全般、福にぎり、ビオレUV、休足時間、フィーノが該当)
2.ネットやSNSで話題(【SNSバズり部門】全品、毛穴撫子、ロイヒつぼ膏、ベイククリーミーチーズ、ビオレUV、休足時間、フィーノが該当)
3.使った時の満足度が高い(【majicaマジボイスいいよ!部門】全品が該当)
4.他にはない高い独自性(卵かけ風ご飯のたれ、どこでも置くだけエアコン、偏愛めし全品が該当)
5.簡単・便利(ライトツナフレーク、どこでも置くだけエアコン、卵かけ風ご飯のたれが該当)
6.長い歴史に裏打ちされた信頼感がある(太田胃散、ロイヒツボ膏、サントリーウイスキー角瓶が該当)
果たして2026年はどのような最驚トレンドになるのか? ちょっと気が早いが来年の結果発表を楽しみにしたい。
『ドンキヒット商品大賞2025』特設サイト
https://www.donki.com/award/2025/
取材・文/大沢裕司