
言葉が足りないと誤解を生み、人間関係のトラブルにつながることがあります。原因として「自己中心的な思考」「情報の言語化不足」「マイペースな会話」「過度な期待」が挙げられます。対策として「指示詞を使わず具体的に説明する」「主語を明確にする」「相手の立場になって話す」ことが重要です。こうした工夫で円滑なコミュニケーションが可能になりますね。
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仕事やプライベートなどの人間関係において、言葉が足りないせいで誤解を生んでしまった経験はないでしょうか?
話すことは、重要なコミュニケーションの1つです。「会話はキャッチボール」と言われるように、一方通行になってしまっては会話は成立しません。言葉足らずの人は会話が一方通行になってしまっている可能性が高いのです。
この記事では、言葉が足りない人になってしまう原因や、言葉足らずにならないための会話のポイントをお伝えします。
言葉が足りない人とはどんな人?言葉が足りないと何か起こる?
まず、言葉が足りない人とはどんな人なのかを見ていきます。
言葉が足りない状態とは、伝えたい事柄の説明が足らず、相手にその事柄の意味が伝わっていないことを指します。つまり、言葉が足りない人は、誤解されやすい人と言えます。
言葉が足りないと、伝えたいことが違う意味に解釈されてしまい、それが人間関係のトラブルにつながる可能性もあります。
言葉が足りない人は、本人に自覚がある場合とない場合があります。ない場合にはトラブルになってから気づくことも多く、本人は「そんなつもりはなかった(そんなことは言ってない)のに…」と思っても、それは後の祭りです。
言葉が足りない人になってしまう原因
言葉が足りない人になってしまうのには原因があります。注意すべきポイントは「自分本位」です。ここでは言葉が足りない人の特徴に触れていきます。
1.基準は自分
自分を基準にして物事を伝えようとする人は、言葉が足りない傾向にあります。このタイプの人は、自分の中に確固たる価値観があり、それが周囲にとっても普通だという思い込みを持っています。
価値観とは、「物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという判断のこと(小学館・デジタル大辞泉より)」を指します。価値観は人それぞれ違い、まったく同じ人などほぼいないと言われています。
例えば、同じ半分の量の水が入ったコップを見ても、ある人は「まだ半分もある」と思い、他の人は「もう半分しかない」と思います。その違いには、それぞれの価値観が関係しています。
価値観がそれぞれ違うのは当たり前のことなのに、言葉が足りない人はそれを理解せずに「自分がこう思うのだから、相手もこう思うはず」という思い込みを持っているので、説明を省いてしまっている状態になってしまっているのです。
2.情報を言語化していない
これは、1.の自分基準なところにも通じるものなのですが、「自分がこう思うのだから、相手も同じはず」という思い込みを持っている人は、伝えなければいけない情報を省くことが当たり前になっています。
このタイプの人は、「あの〇〇を」「それを」など指示詞を多用するという傾向もあります。
3.マイペース
マイペースなことも言葉が足りなくなる原因の1つになりえます。
マイペースな人は自分本位に会話を進めがちです。なので、会話が一方的になり、相手が理解しているかどうかの確認もないままに進めてしまうのです。
4.相手への過度な期待
言葉が足りなくなる人は、相手へ過度な期待を持っていることもあります。
当人は「相手は自分の気持ちを汲み取ってくれる」、「相手は自分のことを理解してくれている」と思って会話をします。しかし、その思いは一方通行な場合が多いのです。
相手への配慮が足りないと、その思い違いが取り返しのつかない誤解につながってしまう可能性もあります。
言葉足らずにならないための会話のポイント3つ
言葉が足りない人は、「自分本位」で会話を進めていることが、原因からわかったと思います。では、次に会話のクセのようなものを改めていきましょう。ここでは、会話の中で気をつけるポイントをご紹介します。
1.“あの”“その”など指示詞を使わない
指示詞は、お互いの疎通が確実に取れている場合を除いては、多用するのは控えるようにしてください。
原因で触れたように、言葉が足りない人は、相手が自分のことをわかってくれているという過度な期待があります。しかし、この他人への期待は、他人任せになってしまっていることと同じです。それを改めるためにも、「あの資料」ではなく、「〇〇のときに使った資料」などしっかり説明するクセをつけましょう。
2.主語を忘れない
言葉が足りない人は、主語を省いて話をしている可能性が高いです。例えば、管理職として「しっかりまとめられていたね」と部下に伝えたとします。管理職からすると部下との間には共通認識があると思っての発言でしょうが、その考えは間違いです。その言葉を受け取った部下は「何が?」「どれのこと?」といった疑問が湧いているかもしれないのです。
今後は、親しい間柄だとしても共通認識はないと思って、会話を進めてください。上の内容を改め、「〇〇さんが作った資料はしっかりまとめられていたね」と主語をつけることで相手に伝わる情報はグッと増えます。
3.相手の立場になる
会話が一方通行にならないためには、自分本位ではなく、相手の立場になることが大切です。1.や2.といった内容で会話を進められたら、あなたならどう思いますか?相手のことを配慮のない人だと思いませんか?
相手の立場になるためには、相手の話を興味を持って聞き、相手のことを知る必要があります。話を聞くときは相手の目を見て、しっかりと相槌をとりましょう。相手のことを知ることは円滑なコミュニケーションを取るための第一歩となります。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理・福祉の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。