
「ペーパーシアター」という商品をご存じだろうか。キャッチコピーは「紙でキリとる名場面」。「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」、「ポケモン」に「ジブリ」、「ドラえもん」など、世界的なIPを活用したペーパークラフトキットだ。
筆者は、ハンズやロフトといった雑貨店、はたまたホビーショップなどでたびたびペーパーシアターを目にしており、その秀逸な製品コンセプトに感銘を受けていた。というのも、そのIPのファンを唸らすような“いいところ”を製品に落とし込んでいるのだ。
しかし、ペーパークラフトか…と腰が重く、購入に至らなかったのも事実である。
ご提供いただいたドラゴンボールのペーパーシアター。筆者は大概不器用だが、思いほか楽しく作ることができた。
IPへの理解と長きにわたる実績。エンスカイだからできるプロダクト
ペーパーシアターシリーズを企画・販売をするエンスカイにその開発の舞台裏を取材した。
――まずは、ペーパーシアターのコンセプトを教えてください。
レーザーで精密にカットされた色紙や木を重ね合わせ、キャラクターの“名シーン”を作り上げるペーパークラフトキットです。必要な作業は、パーツをカッターナイフで切り離し、接着剤で貼り付け、組み立てるだけ。簡単に奥行きのあるアートを作れます。現在は、80キャラクター・計300種類以上の商品を展開中です。
人気IPのキャラクターが数多く商品化されている。画像●エンスカイ
――どういった経緯で、IPとペーパークラフトを組み合わせたシリーズが誕生したのでしょうか。
エンスカイは、もともとジグソーパズルをはじめとする“平らなモノ”を作ることが得意な会社です。また、たくさんのキャラクターグッズを展開しているところも強みでした。そういった得意と強みを組み合わせて、立体的なキャラクターグッズを生み出せないか、という発想からペーパーシアターは誕生しています。最初の商品は、2015年11月、新作映画公開に合わせた「STAR WARS(8種類)」でした。
――ペーパークラフトというと、作るハードルの高さも感じてしまうのですが、主なターゲットはどのような層ですか?
そのIPのファンの方、作ることが好きな方、細かい作業に没頭したい方にオススメできる商品です。また、インバウンドの方からの需要が大きくなっており、日本の文化や景色を表現した作品をお土産として購入いただくことも増えています。
そして、最近では「映画を見ながら」「雑談配信をしながら」など、“ながら需要”があります。たのしく手作業できるので、リハビリやデイケアなどのシーンで使われたケースもありますね。
制作難易度は6段階。難易度6は今年10周年を記念して誕生したという。筆者は難易度3から挑戦し、2時間強ほどで作り上げることができた。一度始めたら、まさに没頭してしまった。
――今回、私も制作を体験してみました。確かに思っていたよりずっと簡単で楽しめたのですが、うまく作るコツがあれば教えてください。
説明書どおりに作れば、誰でも作れるのがペーパーシアターの特徴です。ただ、より上手くというお話でしたら、接着剤がなるべくはみ出さないよう、つまようじなど先が細いものを使うときれいに貼り付けることができます。
また別売りですが、ペーパーシアター用のピンセットと接着剤も販売しており、それを使うのもおすすめです。接着剤は、ペーパーシアター用に特殊な配合をしているので、乾いたときの透明度が高く、きれいに仕上げることができますよ。ちなみに、その「ペーパーシアター専用キット」は2024年にリニューアルを行い、ピンセットがよりシャープになって、細かいパーツをより掴みやすくなりました。
「ペーパーシアター専用キット」。ピンセットと接着剤がセットになっている。
――ドラゴンボールやONE PIECE、ポケモン、ドラえもん、ジブリなど、世界的なIPとコラボレーションされていますが、それが実現できる理由を教えてください。
エンスカイ(旧天田印刷加工株式会社 )は、1962年にテレビキャラクターの商品化を開始しました。それ以来、キャラクター商品を60年以上展開しています。ライセンサー様との長きにわたる信頼関係がさまざまなIPをお借りできているという理由です。