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ボクサーパンツを愛しすぎてグンゼに入社し「BODY WILD」女性向けアイテムの躍進を支える〝熱血女子〟の素顔

2025.04.08

「寝ても覚めても、ボクサーパンツのことばかり考えています。好きすぎて、一面に敷き詰められたベッドにダイブしたいくらい」

にこやかに、しかし間違いなく“本気の目”でそう語るのは、グンゼ株式会社(以下、グンゼ)で商品企画を務める水野しおりさん。自他ともに認める“ボクサーパンツ愛好家”で、学生時代にその魅力にとりつかれ、気になる商品を穿き比べては“研究ノート”にまとめてきた。

愛が高じてグンゼに入社し、4年目にして主力ブランド「BODY WILD」初のリブランディングの機会に、夢のレディースインナーの企画を担当することに。自身が開発から携わった女性用のボクサーパンツを世に送り出し、反響を呼んでいる。

水野さんは、どうしてボクサーパンツにのめり込んでいったのか? 商品を作り上げるうえで、こだわり抜いたポイントは? 今後の野望は? 気になるギモンを、本人にぶつけてみた。 

見た目と履き心地に惚れ込み、“『BODY WILD』成型ボクサーパンツ”の虜に

「レディースインナーには、レースやリボンが付いた装飾豊かな商品も多いですが、私は“女性らしさ”を前提としたものよりも、かっこよくて、穿き心地のいいショーツを求めていました。大学生になると、下着売り場やECショップを定期的に調べ、気になる商品を見つけては試すようになったんです。そのなかで、『BODY WILD』のレディース成型ボクサーパンツに出合い、ひと目見て“これだ!”と感激しました」(水野さん、以下同)

当時の『BODY WILD』はメンズ商品が中心ながらも、一部のオンラインサイトや直営店ではレディース向けのボクサーパンツを販売していた。テイストがガーリーでもレーシーでもなく、かといってスポーティーに寄りすぎていることもない。メンズブランドの老舗が生んだ絶妙な“ボーイッシュさ”に、水野さんは強く惹かれたという。

「デザインも好みなうえに、穿いてみたら、伸縮性から穿き込みの深さ、嫌な締めつけのないフィット感まで、まさに自分の理想そのものでした! そこから『BODY WILD』成型ボクサーパンツに夢中になり、私の“研究”が始まったんです。毎日グンゼのオンラインストアをチェックしては、新商品や復刻デザインが出るたびに購入し、作りや穿き心地の違いをノートにまとめました。その作業がとにかく楽しくて……大学時代に発売された商品は、ほぼ全部持っていますね」

お気に入りの商品ページは“スクショ”して残していたため、スマホには、廃番になったものを含めてボクサーパンツの画像がびっしり。「今でもときどき見返してはニヤけてしまいます。私の宝物です」と笑う。

やがて「自分も商品を生み出す側の人間になりたい」という思いが募り、就職活動でグンゼの選考を受けることに。理系の学部で繊維について学んでいたため、グンゼ以外は素材の開発・製造を行う会社にエントリーしたが、第一志望にかける気持ちは並大抵のものではなかった。

「当時は新型コロナウイルスが猛威をふるっていて、面接はすべてオンラインでした。画面越しで伝わるか不安でしたが、自分はこれと決めたらとにかく追求すること、好きなものは実際に入手してコレクションすること、そして何より、グンゼとその商品への想いは誰にも負けないことをアピールしたつもりです。この会社でこそやりたいことを叶えられると思っていたので、内定通知をいただいた瞬間は、涙が止まりませんでした」

憧れ続けた商品の企画・開発メンバーに “生みの苦しみ”を味わいながら理想を追求

2021年4月、晴れてグンゼの一員となった水野さん。最初の配属先はインナーウェアの開発部門で、主にメンズ、キッズ商品の設計業務に従事した。京都にある宮津工場で製造過程を学んだり、開発者から歴代の商品にまつわる秘話を聞けたりと、刺激的な日々だったという。

「開発メンバーはみんな仕事に誇りを持っていて、これまでに作った商品の写真を見せながら熱く語ってくれたのが印象的でした。その情熱に触れたことで、自分も“ボクサーパンツが好き”、“『BODY WILD』のレディース部門を担当したい”という気持ちを口にするようになったんです。そんななかで、入社4年目に大きなチャンスが巡ってきました」

なんと、念願叶って『BODY WILD』レディースインナーの企画・開発メンバーに抜擢されたのだ。『BODY WILD』はメンズのアンダーウェアブランドからトータルアパレルブランドへと進化すべく、26年の歴史のなかで初めて、コンセプトやロゴを刷新。同時に、それまで細々と展開していたレディース商品も大々的に売り出すことになり、「せっかくなら、好きだと言い続けている水野さんに」と白羽の矢が立った。

それからは約1年かけて、新たな成型ボクサーパンツの企画・開発や、商品のビジュアル化に取り組むことに。気合い十二分で臨んだが、完成までの道のりは平坦なものではなかった。

「まず、成型の良さを生かしつつ、女性の身体に沿った設計を実現するのが難しかったです。成型ボクサーパンツのポイントは、優れた伸縮性や、ほぼ縫い目のないつるっとした仕上がりになること、ゴムがない分、1点に締め付けが集中しないことです。レディース商品も、体の凹凸に合わせて立体的に編むことで局所的な締め付け感を軽減したく、試作品を作っては調整を繰り返す日々でした。独自の指標を用いて着圧を可視化し、“痛い”、“苦しい”が発生しない最高のフィット感を追求しました」

商品の作り込みだけでなく、ブランディングの面でも苦労したという。自身は長らく『BODY WILD』のファンだったものの、世間的には「認知がほぼゼロの状態からのスタートだった」と水野さん。レディースラインでは初となるビジュアル化に臨むにあたり、全体イメージやモデルもイチから考えていった。

「新コンセプトは、“身体(BODY)を自然(WILD)に回帰する”です。女性がありのままの自分で、ポジティブでいられるようなイメージを持ってもらい、それでいて『BODY WILD』が誇るカッコ良さを届けるにはどんなビジュアルがベストなのか、模索し続けました。モデルさんを選ぶ過程では、上司とぶつかったことも。撮影では、ポージングや表情の提案もさせてもらい、写真もすべてチェックしました。最終的にはチーム全員が納得するカットが仕上がり、自然と拍手が起こりました」

完成したポスターが展示会に並んだ日には、「等身大パネルだよ!? すごい!!」と興奮が止まらなかったそう。こうして、水野さんが愛とこだわりを詰め込んだ『BODY WILD』の新ウィメンズラインが世間に解き放たれた。

新商品の売れ行きに確かな手応え “好き”の気持ちが夢の実現につながった

『BODY WILD』のレディース成型ボクサーパンツならではの“推しポイント”はどこにあるのか。水野さんは、大きく2つの特徴を挙げる。

「ひとつめは、“着心地のよさ”です。絶妙なフィット感はもちろん、お尻をすっぽり包み込む丈感に仕上げ、安心できる穿き込みの深さを実現しています。また、ナイロン成型の良さでもある、なめらかでツルッとした肌触りにより、快適さが一日じゅう続きます。

もうひとつは、“かっこよさ”の部分です。女性用インナーのデザインは、気分を上げて自分らしくいるためにも大事な要素であると思っています。だからこそ、着心地とかっこよさの両方が必要だと考え、ビジュアル化にも力を入れました。ありのままに生きたい女性に気に入ってもらえたら本望です」

そんな女性たちに寄り添うべく、水野さんはショーツだけでなく、デザインを揃えたハーフトップも開発。「上下セットで身につけられるというのは、女性だからこそ。レディースラインの担当になったら、絶対にハーフトップも作るぞと決めていました」と話す。

2024年の秋冬商品でデビューを飾った新シリーズは、早くも売れ行きが好調だ。今年の春夏シーズンでは店頭での取扱数を増やし、売り上げ目標は、前シーズン比200%に設定。水野さんが最も推す「着心地のよさ」に惚れ込んだという消費者からの声も届いている。2025年2月には、グンゼの公式YouTubeで本人が商品を“全力プレゼン”する動画も展開し、新たな広がりに期待がかかる。

これだけ毎日のようにボクサーパンツと向き合って、そろそろ飽きてはこないのか。そんな問いかけに、水野さんは「まったく飽きません!」と即答する。

「新商品の設計を毎日やり直していた時期も、全然嫌になりませんでした。学生時代、グンゼのECサイトを食い入るように眺めていた自分を思い返すと、今は夢のような日々を過ごせているなと思います。あの頃の自分に、“今の私は、あなたが待ち望んでいたものを作っているんだよ!”って伝えてあげたいです」

そんな水野さんの姿を近くで見てきたメンバーにも話を聞いてみた。商品企画部マーケティンググループの村上俊介さんは、「本当に好きなんだなということが伝わってくるし、自分のやりたいことを形にする信念の強さがある」と語る。同グループのマネージャー日和崇さんも、「数やスケールを狙っていくうえでは、どうしても調整しないといけない部分が出てくるが、彼女はこだわるべきと感じた部分は妥協せずに食ってかかる。責任感や確固たる意志、行動力があっての主張だから、最終的には“それでいこう”と周囲を納得させられるのがいいところ」と評した。

「照れますが、嬉しいです。自分はまだまだ勉強中ですが、誇れるとしたら、誰にも負けない“好き”の気持ちを持っていること。そして、その“好き”に向かって本気で取り組む過程を見てくださっている方、情熱に共感してくださる方がいることでチャンスをいただけて、また頑張る、の繰り返しだなと。今後もさらに磨き上げたレディース成型ボクサーパンツを生み出して、私のようなファンを1人でも増やすことが目標です!」(水野さん)

“好きは無敵”。それを体現する水野さんの飽くなき挑戦は、始まったばかりだ。

取材・文/梶原 薫

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