
いよいよ2025年度の春闘が本格化する。物価高や人手不足の影響を受けて2024年度は33年ぶりに賃上げ率が5%を超え、その勢いが続くのか注目される。
政府は、一定割合の賃上げを行う企業に対して設備投資のための補助金を交付するなど、企業の賃上げを後押しする施策を講じている。
さらに、石破首相は昨年11月の政労使会議において、2024年に続き春闘での大幅な賃上げ実現に向けた協力を要請するなど、賃金改善の動向に関心が高まっている。
こうした状況を受け帝国データバンクは、2025年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施したので、結果をお伝えしよう。
2025年度、61.9%の企業が賃金改善を見込む、ベースアップは過去最高を記録
2025年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある」と見込む企業は61.9%という結果に。4年連続で前の年を上回り、調査を開始して以降で初めて6割を超えた。
一方で、「ない」とする企業は13.3%と調査を開始して以降で最も低く、前回調査(13.9%)から0.6ポイント低下して過去最低を更新している。
賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてにおいて、前回調査の2024年度見込みから賃金改善の割合が上昇していた。
また、従業員数別にみると、「6~20人」「21~50人」「51~100人」「101~300人」で6割を超えている。「5人以下」(43.2%)では4割台ながら2024年度見込みから増加したが、「1,000人超」(52.3%)は1.8ポイント減少。
また、100人以下の企業では賃金改善を実施しない企業の割合がいずれも昨年より減少しており、従業員数が21人以上の企業では、賃金改善がない企業はいずれも1割未満にとどまった。
他方、賃金改善を実施しない割合は従業員数が「5人以下」(30.2%)の企業で突出して高く、従業員数が5人以下では賃金改善を行う環境がいっそう厳しくなっている様子がうかがえる。
業界別にみると、『製造』(67.3%)が最も高く、『建設』(66.0%)、『農・林・水産』(65.3%)、『運輸・倉庫』(65.0%)が続く。
最低賃金の引き上げに対応するほか、2024年問題に直面したトラック運送業界や建設業界などでは、賃金改善を実施する企業の割合が昨年より高まっていた。
賃金改善の具体的な内容についてみると、「ベースアップ」が56.1%(前年比2.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.4%(同0.3ポイント減)となった。
「ベースアップ」は過去最高となった前年の53.6%を上回り、4年連続でこの質問を開始した2007年以来最高を更新した。
賃金改善の理由「労働力の定着・確保」、賃金を改善しない理由「自社の業績低迷」
2025年度に賃金改善が「ある」企業にその理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が74.9%(複数回答、以下同)と最も高かった。
次いで、「従業員の生活を支えるため」は62.5%。2年連続で低下したものの、依然として6割を超える水準となっている。
さらに、飲食料品などの生活必需品の値上げが響いている「物価動向」(54.4%)は前回より2.8ポイント増加し、3年連続で半数を超える企業が理由として挙げた。
また、「採用力の強化」(37.5%)が4番目にあげられたほか、「同業他社の賃金動向」(30.3%)は前年より5.0ポイント増加し調査開始以降で初めて3割台となった。
賃金改善が「ない」企業にその理由を尋ねたところ、「自社の業績低迷」が58.2%(複数回答、以下同)で最も高い結果に。
また、「物価動向」(22.7%)は2023年度(20.2%)を上回り過去最高を更新するなど、物価上昇が賃金改善を行えない状況をもたらした様子もうかがえる。
以下、「同業他社の賃金動向」(12.7%)、新規採用増や定年延長にともなう人件費・労務費の増加などの「人的投資の増強」(11.5%)、「内部留保の増強」(11.1%)が続いた。