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「VC」って何の略称?実はたくさんある「ベンチャーキャピタル」の意味と種類

2025.06.02

VCとはベンチャーキャピタルのことで、成長が期待されるベンチャー企業やスタートアップに出資し、経営支援も行う投資家のこと。本記事では、VCの種類や役割、資金調達手段との違い、メリット・デメリットまでを徹底解説。ビジネスパーソンや起業家の必読ガイドです。

ベンチャーキャピタル(VC)とは、今後の成長が期待されるベンチャー企業やスタートアップ企業へ投資する人たちを指す。未上場の企業への投資はリスクが大きいが、その分投資が成功したときのリターンも大きい。

最近は起業のハードルが低くなっているため、起業を検討している人はもちろん、ビジネスパーソンも教養としてベンチャーキャピタルの特徴を知っておくとよいだろう。

ベンチャーキャピタル(VC)の種類と意味

まずは、ベンチャーキャピタルの種類や意味合い、どのような役割を担っているのかを確認しよう。

■ベンチャーキャピタル(VC)とは

「ベンチャー」(venture)とは、「冒険的な」という意味があり、日本では創業して間もない新興企業を「ベンチャー企業」と呼ぶことがある。 

「キャピタル」には「資本」という意味がある。つまり、ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に資本を投じる(投資する)ことを意味する。

ベンチャーキャピタルには、個人や法人が含まれる。高い成長が期待される未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業へ投資し、将来的に大きなリターンを狙っているのだ。

ベンチャー企業の中には、革新的なアイデアやビジネスモデルを持っているものの、事業立ち上げ段階では十分な資金調達が難しいケースが少なくない。ベンチャーキャピタルがベンチャー企業やスタートアップ企業へ出資すると、ベンチャー企業は事業資金を得られ、ベンチャーキャピタルは将来的に大きなリターンを期待できるのだ。

なお、ベンチャーキャピタルは単に資金を提供するだけでなく、経営支援やノウハウの提供なども行う。投資先の企業が成長するために、さまざまなアドバイスを通じて、将来的な株式公開(IPO)や買収(M&A)による利益獲得を目指している。 

■ベンチャーキャピタル(VC)の種類

ベンチャーキャピタルには、以下のようにさまざまな種類がある。それぞれの特徴についてもまとめたので、参考にしてみてほしい。

ベンチャーキャピタルの種類

特徴

シードベンチャーキャピタル

・創業初期段階の企業に投資する

・投資額は比較的(数百万円〜数千万円程度)

・ビジネスモデルが未検証でも、優れたアイデアがあり、イノベーションが期待できる企業に投資する

アーリーステージベンチャーキャピタル

・プロダクト開発後〜初期の収益が出始めた企業に投資する

・数千万円〜数億円規模の投資

・市場での検証やユーザー獲得のフェーズを支援する

グロースベンチャーキャピタル

・急成長段階の企業に投資する

・数億円〜数十億円規模の大型投資をする

・国内外への事業拡大やM&A資金として活用されるケースが多い

コーポレートベンチャーキャピタル

・大企業が設立・運営している

・親会社の事業領域との相乗効果を狙った投資を行う

・資金提供だけでなく、販路や技術提供などのリソース支援も行う

独立系ベンチャーキャピタル

・特定の企業グループに属さない独立したベンチャーキャピタル

・柔軟な投資判断が可能

・多様な業種や分野へ投資する

金融機関系ベンチャーキャピタル

・銀行や証券会社などが母体となっており、大規模な投資を行う

・成長性が見込まれる幅広い分野への投資を行う

・安定した資金提供と幅広いネットワークを活用できる強みがある

政府系ベンチャーキャピタル

・国内産業の技術確保や技術革新の促進、産業育成などを主な目的としている

・企業支援的な側面が強く、投資だけでなく経営相談やビジネスマッチングなど、さまざまな支援を提供している

・公的機関であるため、審査基準は厳しい傾向にある

官民ファンドベンチャーキャピタル

・政府や自治体が関与している

・国や地域の産業振興を目的とした投資を行う

・民間資金だけでは投資が難しい分野をサポートする

大学系ベンチャーキャピタル

・大学の研究成果や技術を社会に還元し、新産業の創出を目指している

・各大学の強みを活かした分野に注力しており、専門性を活かしやすい

・収益追求だけでなく、技術の社会実装や産業創出を重視し、長期的な支援を行う傾向にある

地域系ベンチャーキャピタル

・地域企業の支援と地域経済の活性化を目的として、地域企業の中長期的な事業の持続を支援する

・投資対象となるのは、主に地域発のスタートアップ企業や成長段階の地方中小企業、地域の特産品を活用したビジネスが中心

・地域の事業会社や大学、地方銀行、自治体などが単独または連携して運営している

業界特化型ベンチャーキャピタル

・特定の業界(IT、バイオ、エネルギーなど)に特化している

・業界に関する深い知見と人脈を提供している

・専門分野のデューデリジェンスに強みがある

海外系ベンチャーキャピタル

・日本国内のベンチャーキャピタルと比べて、運営するファンドの規模が大きい

・投資先が世界全体に及び、豊富な実績とノウハウを活かして企業支援を行う

・短期間での飛躍的な成長と企業価値向上を重視しており、合理的な投資判断を行う

それぞれのベンチャーキャピタルは、企業の成長ステージや投資領域、支援内容などに違いがある。特定の領域に関する専門的な知見を生かしたり、社会問題の解決に重点を置いていたり、投資方針はベンチャーキャピタルによってさまざまだ。

■ベンチャーキャピタル(VC)と融資・他の資金調達との違い

ベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、ベンチャーキャピタルからの出資は、資金調達の選択肢となる。ベンチャーキャピタルと他の資金調達方法との違いをまとめた。

ベンチャーキャピタル

融資

エンジェル投資家

クラウドファンディング

補助金・助成金

返済義務

なし

あり

なし

なし

なし(審査あり)

意思決定への関与

取締役派遣やアドバイザリーなどが経営に関与する

基本的に経営への関与は限定的

ほとんどなし

なし

なし

主な審査項目

事業の成長性や将来性で判断

担保や信用力、実績で判断

事業の成長性や将来性で判断

事業の成長性や将来性、応援してもらえるかどうか判断

特定の要件をクリアしているかどうか

資金使途の制約

自由

自由

自由

自由

事業投資や雇用促進など、一定の要件がある

ベンチャーキャピタルから出資を受けて調達したお金は、融資とは異なり返済義務がない。利息負担が発生しないため、企業にとっては財務的な負担が軽い資金調達方法だ。

ただし、出資を受けた分、創業者をはじめとした経営陣は「早く成果を挙げなければ」というプレッシャーを受ける。また、経営の自由度が低くなってしまう可能性がある点に注意が必要だ。

一方で、融資を受けると利息を付けて返済しなければならない。ただし、債権者に経営権は渡らないため、自由度の高い企業経営ができる。

他にも、エンジェル投資家からの出資や、クラウドファンディングによる資金調達も選択肢の一つとなる。多くのベンチャー企業やスタートアップ企業は、成長段階に応じてさまざまな資金調達方法を組み合わせている。

ベンチャーキャピタル(VC)のメリットとデメリット

ベンチャーキャピタルから資金調達をするメリットやデメリットについて、詳しく見ていこう。

■ベンチャーキャピタル(VC)のメリット

ベンチャーキャピタルから資金調達する主なメリットとして、返済義務がない点が挙げられる。借入と異なり、調達した資金について利息を付けて返済する必要がないため、キャッシュフローを圧迫しない。

仮に事業投資が失敗してしまったとしても、返済で苦労せずに済む。経済的なプレッシャーは小さいといえるだろう。

また、大規模な資金調達ができる可能性がある点も、メリットとして挙げられる。

スタートアップの段階では将来性が未知数のため、銀行から十分な融資を受けられない可能性がある。一方で、ベンチャーキャピタルから「将来の成長性」「期待リターンの大きさ」を評価してもらえれば、多額の資金を調達できる可能性がある。

ベンチャーキャピタルは、資金を提供するだけでなく、豊富な経営経験や業界知識、ネットワークを活かして経営アドバイスや戦略策定のサポートを行っている。事業運営上の課題解決をはじめ、経営支援とノウハウの提供を受けることも可能だ。

ベンチャーキャピタルが有している人的ネットワークを活かし、事業提携先の紹介を受けられる機会があるかもしれない。自社だけでは成し得ない成長を実現するために、ベンチャーキャピタルから有意義なサポートを受けられる点も、大きなメリットといえるだろう。

■ベンチャーキャピタル(VC)のデメリット

ベンチャーキャピタルから出資を受けると、経営の自由度が低下するデメリットがある。ベンチャーキャピタルは出資と同時に株式の一部を取得するため、経営判断に対して一定の発言権を持つ。

出資額が大きいとベンチャーキャピタルの発言権が大きくなり、創業者が本来描いていた独自のビジョンや戦略の実現に支障をきたす恐れがある。また、創業者の持株比率が低下することにより、将来的に得られる利益が減少するリスクも考えられる。

また、ベンチャーキャピタルは投資した資金をできるだけ早く回収したいと考えている。急成長が求められ、上場(IPO)やM&Aなどのエグジットを実現するために、少なからずプレッシャーがかかる。

出資を受けると、定期的な業績報告やKPIのチェック、経営に関する詳細な情報開示を求められるのが一般的だ。このように、経営の自由度が低下したり、株式の希薄化が起こったりする点は、デメリットとして押さえておこう。

ビジネスパーソンとベンチャーキャピタル(VC)

ビジネスパーソンは、ベンチャーキャピタルが社会的にどのような役割を果たしているのか、どのような投資判断をしているのかを把握しておくとよい。

また、ベンチャーキャピタルの転職先としての魅力を見ていこう。

■一般社員はベンチャーキャピタル(VC)を意識すべき?

一般企業に勤務するビジネスパーソンは、日常業務においてベンチャーキャピタルの存在を強く意識する機会は少ない。ただし、業務内容や担当領域によっては、ベンチャーキャピタルの影響を感じる場面はある。

例えば、企業の新規事業開発やM&Aを検討する際に、ベンチャーキャピタルが支援するスタートアップ企業の成長事例や投資事例を参考にすることがある。将来の成長戦略や市場環境を分析する業務を担当しているビジネスパーソンであれば、ベンチャーキャピタルの投資動向や投資先の動きは、業界全体の最新情報や競争環境を読み解くうえで参考になるはずだ。

■転職先としてベンチャーキャピタル(VC)

ビジネスパーソンが、転職先の一つとしてベンチャーキャピタルを検討することがあるかもしれない。ベンチャーキャピタルへ転職するメリットとして、以下が挙げられる。

・企業の成長を経営面からサポートする経験が積める

・成果に基づく報酬を得やすい

・金融、経営、マーケット分析などの専門知識を得られる

ベンチャーキャピタルでは、投資先となるベンチャー企業やスタートアップの成長過程に関与する。事業の拡大や経営戦略の策定など、企業の成長を近い距離からサポートできる。

報酬体系は企業によって異なるものの、ベンチャーキャピタルでは成果が評価されやすい。成果に応じたインセンティブやキャリアアップが期待できるため、自分の成果を正当に評価してくれる環境で働きたい、と考えている方に向いている。

また、投資先となる企業の評価や経営支援に関わるため、経営戦略や市場分析、ファイナンスに関する専門知識を習得できる。スタートアップ支援の専門家を目指したい方や、将来的には自らスタートアップ企業を経営したい場合、ベンチャーキャピタルで実務経験を積むのは有意義だ。

■著名なベンチャーキャピタル(VC)一覧

世界的に有名なベンチャーキャピタルの例を紹介する。

Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)

Apple、Google、WhatsAppなどに初期投資を行い成功実績が豊富にある

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)

Facebook、Airbnb、X(旧Twitter)など、多くのテック企業に投資している

Accel Partners(アクセル・パートナーズ)

DropboxやSlack、Spotifyなど、成長企業への投資実績がある

Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)

革新的なテクノロジーやグリーンエネルギー分野の企業への投資を行っている

日本にも、さまざまなベンチャーキャピタルが存在する。代表的なベンチャーキャピタルと、その特徴を見ていこう。

JAFCO(ジャフコ)

国内最大級の独立系ベンチャーキャピタルで、多数のスタートアップに投資し、上場につなげている

グロービス・キャピタル・パートナーズ

グロービス経営大学院を運営するグロービスグループのベンチャーキャピタルで、経営支援にも注力し、独自のネットワークを活かして成長企業を多く輩出している

CyberAgent Ventures(サイバーエージェント・ベンチャーズ)

IT・メディア分野で専門性を有しており、それらの分野におけるスタートアップを支援している

East Ventures(イースト・ベンチャーズ)

主にアジア(日本や東南アジア)とアメリカにおける、シード期にあるIT分野のスタートアップ企業を支援している

Incubate Fund(インキュベイトファンド)

創業期の投資・育成に特化した独立系ベンチャーキャピタルで、日本以外にもシンガポールや東南アジア、インド、シリコンバレーなどの海外スタートアップにも積極的に投資している

SMBCベンチャーキャピタル

三井住友銀行グループのベンチャーキャピタルで、累計で500件以上の投資実績がある

SBIインベストメント

SBIグループの中核企業として、国内外で80社以上への投資実績があり、上場やM&Aへ導いている

みずほキャピタル

みずほフィナンシャルグループのベンチャーキャピタルで、スタートアップ企業の成長を支援している

三菱UFJキャピタル

三菱UFJフィナンシャル・グループのベンチャーキャピタルで、多様な業種の企業に資金提供を行っている 

ニッセイ・キャピタル

日本生命保険の子会社として、1991年の設立以来1,500社以上に投資し、多くの上場を実現している 

STRIVE

ビジネスの立ち上げから拡大までを積極的にサポートしており、シード期からアーリーステージ期にあるIT領域のスタートアップを中心に支援している

各社のホームページを見れば、詳細な支援内容や実績がわかるだろう。また、興味があれば、どのような投資方針を掲げているのかも確認してみるとよい。

まとめ

ベンチャーキャピタルは、将来性が豊かなベンチャー企業やスタートアップ企業へ投資する個人や法人だ。経営に関するアドバイスも行っており、イノベーションを経済的・経営的な面から促進している。

資金調達で苦労しがちなベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、ベンチャーキャピタルはありがたい存在だ。ビジネスパーソンとして、ベンチャーキャピタルがどのような役割を果たしているのか知っておくとよいだろう。

 

文/柴田充輝(しばたみつき)

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

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