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呉越同舟は、やむを得ないときに、本来であれば敵対関係にある者と協力することを指す。非常事態に直面している場面や、協力を得ることで双方にメリットをもたらす場面において、使われることがある。
ビジネスのシーンにおいても、呉越同舟という言葉が使われる場面は多い。恥ずかしい思いをせずに済むように、一般的な教養として意味合いや例文などを知っておくとよいだろう。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)の意味

呉越同舟とは、日常生活の中でも使う場面がある四字熟語だ。
まずは、意味合いや由来などを確認しよう。
■呉越同舟(ごえつどうしゅう)とは?
呉越同舟とは、本来は敵対関係にある者同士が一時的に協力せざるを得ない状況に陥り、危機を脱する様子を表す四字熟語だ。
「敵の敵は味方」という言葉に、意味合いは近いといえるだろう。一時的に協力関係を築き、共通する敵や問題に対抗する場面において、呉越同舟という言葉を用いる。
他にも、意味合いが似ている類語として「敵対的共存」や「臨時の共闘」などが挙げられる。
■呉越同舟(ごえつどうしゅう)の由来
呉越同舟の由来は、古代中国にある。春秋時代に「呉」と「越」という敵対する国があった。
それぞれの人々が同じ船に乗り、嵐に遭遇してしまった。本来であれば敵対関係にあるが、非常事態であるため、お互いに協力して危機を乗り越えたという故事に基づいている。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)の例文と使い方

日常生活において、どのような場面において呉越同舟という言葉を使うのかを見ていこう。
■呉越同舟(ごえつどうしゅう)の例文
政治やビジネスなどの場面において、呉越同舟という言葉が使われる場面は多い。例文をいくつか紹介する。
・長年ライバル関係にあった会社は、業界全体の危機に際して呉越同舟の関係となり、共同で対策を練ることになった。
・政治的に対立する与野党だが、災害発生時には呉越同舟の精神で協力し、被災者支援に全力を尽くした。
・隣国との関係は緊張していたが、地震による被害を受け、呉越同舟の精神で救助活動を行った。
危機的な状況下においては、敵対関係を忘れて協力する必要性が生じる。挙げた例文のように、「協力して危機を乗り切る」「協力してお互いに利益を得る」という場面において使われる。
■呉越同舟(ごえつどうしゅう)のビジネスシーンの使い方
ビジネスシーンにおいて、競合企業と協業するときや、異なる部署間で協力するときに呉越同舟という言葉を使うことがある。
通常は競争関係にある企業同士でも、業界全体の課題(法規制対応や市場縮小など)に対して一時的に協力する場面がある。また、主張が食い違う部署間でも、会社の存続が危ぶまれるような事態に直面したときは協力する必要性が生じるだろう。
会社存続の危機を乗り越えるために、経営側と労働組合が協力する場面においても、呉越同舟という言葉が相応しい。
「妥協点を探る」というニュアンスでも、呉越同舟を用いることがある。例えば、異なる意見を持つ株主・経営陣・従業員などが、議論を通じて会社の存続や成長のために妥協点を見出す状況が考えられる。
このように、通常は敵対・競争関係にある企業・事業主同士が問題解決に取り組んだり利益を追求したりする際に、呉越同舟という言葉が使われることがわかる。
まとめ
普段は敵対関係にあっても、協力する必要性が生じたときは、呉越同舟の考え方を持つことが大切だ。
ビジネスは不確実であるため、いつ呉越同舟の必要性に迫られるかはわからない。一般的な教養として知っておけば、「勝ち負け」という視点だけでなく、状況に応じた柔軟な戦略を検討する選択肢が生まれるだろう。
文/柴田充輝(しばたみつき)
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。







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