
かつて転職市場で唱えられていた「35歳転職限界説」。35歳を過ぎると転職の成功率が著しく低下することを指す言葉だが、少子高齢化に伴う慢性的な人手不足が叫ばれる今、35歳より上のミドル世代の転職者数はどのように推移しているのだろうか?
リクルートはこのほど、ミドル世代の転職動向について2024年12月までのデータをまとめたレポートを発表した。
本レポートは、2024年7月4日発表の「個人のキャリアに関する日米比較」と、2024年9月30日発表の「ミドル世代の転職動向」のデータを更新し、まとめたものだ。
ミドル世代の転職は増加傾向。10年で約6倍に伸長
日本の労働力人口のうち、半数近くを40代・50代のミドル世代が占めている。少子高齢化が進む日本においては、今後さらにミドル世代が占める割合が増えると見込まれる。
少子高齢化を背景とする構造的な人手不足に加え、企業は事業変革のために豊富な知見・経験を持つ人材を求めており、『リクルートエージェント』の転職者データを分析すると、40代・50代の転職者数の伸びは、全体よりも大きいことがわかる。
50代の転職も増加しており、35歳転職限界説は過去のものに
『リクルートエージェント』の転職者データをさらに40代と50代に分けて分析すると、50代の転職者の伸びが顕著であることがわかる。これは、『リクルートエージェント』内でミドルシニアの転職支援に関するプロジェクトが立ち上がったことも要因として挙げられるが、転職市場のニーズの変化が起きていると言える。35歳転職限界説は過去のものになっており、企業が求める経験を持っている人を採用する動きが加速している。
■動向解説:『リクルートエージェント』キャリアアドバイザー・秋吉侑美氏
日々ミドル世代の中の方からキャリアや転職に関するご相談を受ける中で、「やっぱり今求められているようなITスキルがないと難しいでしょうか…」「今までやってきた仕事に自信がないのですが、それでも転職って考えられるものでしょうか…」といった声を多くいただきます。
専門的な知識や業務のスキルはもちろん大事ですが、全ての企業が専門スキルだけで採用をしているわけではありません。リスキリングという言葉も徐々に浸透していますが、ミドル世代の方の中には、リスキリングを無理にしなくても、今までのご経験の棚卸しをしっかりと行うことで新しいチャレンジの機会を得ている方も多くいます。
例えば、これまでリーマンショックなどの大きな変化にどのように対応してきたのか?コロナ禍ではどんな影響があり、その状況をどう乗り切ったのか、もしくは好機としたのか?大変なことが起こった際に、何に、どう取り組んだのかといったエピソードはあるはずです。そういったエピソードを棚卸ししていき、企業へしっかりとお伝えすることで、これまでのご経験が評価されることも多いのです。
また、ご経験を棚卸しする際には、過去数年の内容だけではなく、数十年単位で振り返ることも重要です。ご経験が長いほど、10年以上前のことをアピールすることに抵抗感があったり、過去のことを整理するのは大変だったりするかもしれませんが、企業とのマッチングのポイントを見つけるためには重要です。
ご自身では棚卸しが難しいこともあるかもしれません。特にご経験の長いミドル世代の方は振り返るのが大変かもしれません。そんなときは、同僚や家族、友人、我々のようなキャリアアドバイザーなど、第三者に相談しながら対話を通して整理していくことをお勧めします。
出典元:リクルート
構成/こじへい