
2018年ロシアワールドカップ(W杯)を最後に日本代表から一線を引き、プロサッカー選手を断続的に続けながら、多方面で多彩なアクションを起こしている本田圭佑。
代表的な活動としては、2012年に自身がプロデュースしたサッカースクール「SOLTILO FAMILIA」の全国・アジアへの展開、2018年8月~2022年12月にかけて指揮したカンボジア代表の実質監督、「全員参加型のリアルサカつく」を目指して2020年に発足したEDO ALL UNITED(現在関東サッカーリーグ2部)の発起人、2023年に育成年代向けに開発した4人制サッカー大会「4v4」の積極展開など、サッカーに関わるものが目につく。
しかしながら、彼のフィールドはサッカーだけにとどまらない。
ビジネス領域に興味関心を抱く本田。「日本初のデカコーン創出」を目指す!
室伏スポーツ庁長官と握手する本田圭佑(4v4 DECACORNCUP2025事務局提供)
まだ代表選手だった2017年には転職・就職エージェントのNext Connect(ネクコネ)のアドバイザーを手がけ、2018年4月にウィル・スミスと共同で投資ファンド・ドリーマーズ・ファンドを設立するなど、本田はビジネスに対しても強い興味関心を示していた。コロナ禍にはさらに活動の幅を広げ、2020年に音声通話サービス・NowVoice(ナウボイス)をリリース(2014年1月にサービス終了)するなど、新規ビジネスにも参入していった。「いいと思ったことは失敗を恐れずにどんどんチャレンジする」というアグレッシブな姿勢は、W杯4ゴールという傑出した実績を残した彼らしいところだ。
ファンド創業者としてスタートアップ投資の基準を語る本田(筆者撮影)
そんな本田が2024年2月、新たに立ち上げたのが、ベンチャーキャピタル・X&KSK(運営会社=X& Management Japan合同会社)。彼が創業者となり、楽天でグローバル投資を手がけた経験のあるマネージング・パートナーの山本航平氏らとともに資金調達を進め、当初目標の150億円を超える153億円を確保。「日本初のデカコーン(企業の評価額が100億ドル=約1兆500億円を超える巨大な未上場企業)創出」という壮大な目標を掲げて、有望なスタートアップ企業への投資を積極的に行っているのだ。
「投資先の選定については、簡単には説明できませんけど、まず市場が大きくて、経営者が優秀で、的確な判断を間違わずに下せることが重要な要素だと思っています。
僕らは基本的にアーリー(早期段階)で投資するファンドなので、まだそこまで実績のない会社もあったりする。数字から分析できる部分は限定的ということもありますけど、その分、ファウンダー(創業者)の考え方やチームのクオリティを重視しますし、市場にどれだけライバルがいるのか、グローバルに展開している業種なのかもチェックします。プロジェクトやプロダクトの質も徹底的に調査しますし、その領域で勝てるだけのポテンシャルがあるかも慎重に判断しています」
イベントには新進気鋭の30社が集まった(4v4 DECACORNCUP2025事務局提供)
スタートアップ企業同士のネットワーク形成、投資家とのマッチングを目指すサッカーイベント開催
3月27日にスタートアップ企業30社を集めて東京都内で実施したサッカーイベント「4v4 DECACORNCUP(デカコーンカップ)2025」に主催者として参加した際、本田はメディアを前にこう語った。彼が思い描くように、日本の複数のスタートアップ企業がグングン成長し、世界を席巻していくような存在になってくれれば理想的。それをサポートすべく、思い切った資金を投じる覚悟が彼にはあるようだ。
このイベントも、スタートアップ企業同士の横のネットワークを広げ、投資家やインフルエンサー、著名人とのマッチングを図る意味で開催に至ったものである。
同日は、2004年アテネ五輪金メダリストの室伏広治・スポーツ庁長官がまず開会式で挨拶。4v4の試合にはプロサッカー選手引退後にYouTuberとして一世を風靡した那須大亮、同じく元サッカー選手でマルチタレントとしても活躍する槙野智章、卓球混合ダブルスで東京五輪金メダルを獲得し、引退後は投資家としても名を馳せる水谷隼、格闘家でやはり起業家としても活躍する皇治らアスリート投資家たちが「チーム本田」の一員としてプレーした。
その「チーム本田」に挑んだ企業を見ても、AIを活用しながら次世代経営管理プラットフォームを提供するZaimo、日本初の生成AI開発企業の注目株であるSakana AIなど新進気鋭のIT系企業が何社も並んでいた。もちろん令和トラベルやネットスーパー・OniGOなどITとは異なるジャンルの会社も名を連ねていた。
主催者側が設けた大会参加条件は、(1)デカコーン以上を目指している企業、(2)シード企業かつる連続起業家がファウンダーである企業、(3)シリーズA、またはそれ以降のステージの企業。実際には、かなりの応募があったというが、最終的に30社に絞り込まれた。X&KSKが実際に資金を出している企業6社も含まれていた模様だ。
このイベントを通して今後、同社の投資先がさらに増える可能性もあるだろう。今回生まれたネットワークを生かしつつ、複数企業がコラボレーションし、新たなビジネスが生まれるかもしれない。そうやって日本のスタートアップ企業がお互いの力を出し合いながら切磋琢磨し、視座を高めていければ、日本経済全体も前向きな方向に進むはず。最終的には「日本を元気にする」ことを本田らは強く願っているのだ。
久しぶりにキャプテンマークを巻いてプレーする姿を見せた(筆者撮影)