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疲労やストレスから劇的回復!?ひそかに流行している「リトリート旅」のすすめ

2025.03.31

少し古いデータになるが、厚生労働省の調査によれば、日常的に仕事で疲れを感じている人の割合は約7割。最近の別の調査だと、「強い不安、悩み、ストレス」があるという人は8割を超えている。今の日本は、超ストレス社会と言えそうだ。

巷間では、「疲れや不安を癒す」というふれこみで、さまざまなエクササイズやリラックス法が出回っており、それらを実践する人は少なくない。また休日は、食べ歩きをしたり、テーマパークに行ったりして、疲れからの回復をはかる人も多い。

そして今、より回復効果が高いメソッドとして「リトリート」が注目されている。「Booking.com 」でも、今年の旅行トレンドの1つとして「リトリート旅」が挙がっているくらいだが、そもそもリトリートとはどのようなものか。

今回は、ネイチャーセラピストで、『しつこい疲れがみるみるとれる! リトリート休養術』(すばる舎)の著者である豊島大輝さんに、リトリートの基本と活用術を教えていただいた。

自分を少しだけアップデートする

――従来のリトリートは、山間部の施設に数日こもってヨガとか断食に打ち込む、健康意識の高い人向けのプログラムというイメージがありました。今、それはかなりカジュアルになっているようですね。

はい。私は、「日常を離れて自然の中でのびのび過ごす」ことを、リトリートと定義づけています。私が実施しているプログラムの多くは、日帰りとか1泊だけですが、それでも絶大な休養効果が期待できます。

以前は、精神性の高いリトリートのプログラムにも関わったことがあります。ですが、そうした修行に近いリトリートを主催してきて思ったのは、最終的には日常に着地しないと意味がないということです。あまりにも非日常を体験して、「明日から会社に行きたくない」となってしまっては元も子もありません。

そうではなく、自分をちょっとアップデートし、自分の意外な側面に気づき、日常に戻ったら、それを生かしていこうという気持ちになれる。そういう流れになることが大事だと考えています。

豊島さんが主催するリトリートのひとコマ

日常から離れられない人に最適

――様々なリフレッシュ法があるなか、どういった人にリトリートが最適な解決法となるでしょうか?

常にオンで、日常から離れられない人たちです。スマホで、仕事の連絡を四六時中受けていているような方は特に当てはまります。

一度、その枠組みから出て、自分を俯瞰してみることをおすすめします。

その視点がないと、社会や会社という名の檻に閉じ込められたかのような感覚を覚えることもあるでしょう。そうなってくると、視野がすごく狭まります。

私は経営コンサルタントもしているのですが、経営に困った社長さんから相談を受けると、すごく視野が狭くなっているのがわかります。発想をちょっと変えると解決するのに、それができなくなっています。

だから、その枠から出る必要があり、それをサポートするのが、リトリートなのですね。

意識のベクトルを内に向かわせる

――リゾート地での観光旅行とリトリートでは、どのような相違点があるのでしょうか?

観光目的ですと、風光明媚なところを見て回りますよね。それだと、どうしても意識のベクトルが、常に外に向いてしまいます。帰ってきても、意識は行く前と同じ、ずっと外に向いた状態です。

対してリトリートは、意識のベクトルを内に向かわせるものです。他者と対話するのではなく、自分と対話をするのです。

具体的な例をお話しします。かつて別の場所でリトリートを開催していたときに、経営者のグループが参加したことがあります。

そのうちの1人が、まさにベクトルが外に向かっている方でした。到着するなり「この周辺でランチを食べられるところはないですか」と、私に聞いてきたのですが、イヤホンをつけていて会社のオンラインミーティングをしながらだったのですね。

忙し過ぎてタスクとタスクが重なっていて私とのやりとりも、会社とのミーティングもできていない感じでした。他の社長さんも、「銀行がお金貸してくれないが、事業計画を立てて何月までに融資をねらう」みたいなリアルの会話ばかりです。

これは荒療治が必要だと思い、山の頂上でマインドフルネスをすることにしました。日暮れ時のとても寒い中、山で瞑想してもらったわけですけど、帰り道では、すっかり会話の質が変わっているのです。いい意味でテンションが上がっていて、今度は滝に打たれるのもいいかな、またゴルフもしようといった話になっていました。

「余白」があることで気づくこと

――リトリートのプログラムは、そうした予定でびっしり組まれているものなのですか?

実はそうではありません。あえて、「余白」の時間も入れておくことを重視しています。

観光旅行は、余白にどんどん予定を詰め込んでいく足し算の作業です。せっかくの旅行ですから、余白がないほどいいと皆さん考えます。

リトリートは、あえて余白をもうけておきます。何かを「しない」という引き算の発想です。午前中はヨガのプログラムに参加するけど、夕食の後は何もしないというふうに。

実際には何かするのですけれど、まずは何もしないと決めるのです。例えば、何もしないことにして、ホテルのロビーをふらふらしていたら、たまたま近くの自然公園のパンフレットを見つけます。それを読んで、「よし、そこへ行ってちょっと読書をしてみよう」とすることが決まります。あるいは、何もしないことを続けてもいいのです。

余白を作ったことで、「自然と触れ合う時間が欲しかったんだ」「読みかけの本を、最後まで読みたい気持ちだったんだ」というふう自分の内なる声に気づいていくわけです。

焚き火や星空を眺めるだけで変わっていく

――山のてっぺんで荒療治とまでいかないまでも、疲れから解放されたいと願っているビジネスパーソン向けのプログラムで、おすすめは何でしょうか?

私どもの「亀山温泉リトリート」では、「焚き火リトリートプラン」というのがあって、これが、まずすすめられます。焚き火をじっくり眺めてもらうだけなのですが、マインドフルネスな心境になれると好評です。

ヨガマットに寝転んで、夜の星空を観察するだけのリトリートプランもあります。シンプルに、星空のシャワーを浴びてもらいます。

日帰りですと、「広域ネイチャーガイド」というのもあります。自然との融合を目指し、ガイドの話を聞きながら、奥房総の秘境を巡るものです。

遠出しないでもできるリトリートもある

――ご著書では、職場や自宅ででもリトリートの効果を体感できる「プチ・リトリート」がたくさん紹介されていますね。年度末の繁忙期で全然遠くに行けない人は人のために、そうしたリトリートを2、3教えていただけますか。

まず、シンプルにマインドフルネスをすることが、プチ・リトリートとなります。仕事中なら自分の椅子でもいいし、自宅なら静かな部屋で目を閉じて、ただただ自分の呼吸に集中するのです。

私は常々、自然とつながることの重要性を説いていますが、私達自身も自然なのです。自然の一部である私達の中で、一番の自然現象と言えば呼吸だと思います。

その呼吸を深くすると、外に向いていた心のベクトルを自分に戻してあげることができます。また、「今の自分は苛立っている、焦りすぎている」といった気づきも得られます。

また、街中でショーウインドゥに自分が映ったとき、ちょっと姿勢を正すだけで、心も呼吸も整います。これは、本当に1秒で行えるプチ・リトリートですね。「姿勢を正す」と言いましたが、無理に背筋を伸ばすのではなく、胸を開いてオープンマインドでゆるめる感覚です。

それから、通勤時はちょっと脇道にそれてみることもプチ・リトリートになります。1つ手前の駅で降りて、そこから歩いて帰るのもいいです。日々の決まりきった動線を変えて、少しだけ非日常に入るのです。

帰宅時は、空を見上げましょう。オリオン座が西の空に傾いていて、そろそろ春が近いなとか、ふと思うのもいいものです。自分から自然とつながるだけでなく、自然のほうから、あなたにつながってくる感覚があるかもしれません。

そうすると、「今はつらい状況にあるけれども、もうちょっと頑張ってみようか」といった気持ちになれたりします。それ以外にも、仕事のパフォーマンスが上がる、視野が広がる、発想力も豊かになるといったメリットも実感できると思います。まずは、やってみることです。

■お話を伺った方:豊島大輝さん

ネイチャーセラピスト。ホリスティックサポート代表。1975年、アウトドアを趣味とする一家に生まれる。千葉県の「亀山温泉リトリート」など、リトリート施設のプロデュース・運営を行なう。リトリートの場では、個人、家族、企業のメンバーなど、日々多くのゲストと関わっている。業界では「リトリートの達人」と呼ばれ、公立中学校での出前授業、各種学校での講師のほか、リトリート施設の開業や体験型の企業研修についての相談も多く寄せられている。『しつこい疲れがみるみるとれる! リトリート休養術』(すばる舎)は初めての著書。
亀山温泉リトリート公式サイト:https://www.kameyamaonsen.jp/retreats/

取材・文/鈴木拓也

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