
オンライン語学学習プラットフォームのPreply(プレプリー)は、20代から50代の日本在住の女性会社員を対象に「キャリアと職場環境に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。
「キャリア重視派」よりも「ワークライフバランス重視派」が多く、世代間の違いも明らかに
新生活を迎える3月から4月は、部署異動など職場環境が変わりやすい時期。新しい期を迎え、心機一転して仕事に身が入る人もいれば、新しい環境に不安を覚える人も少なくないだろう。また、3月は国際女性デーもあり、女性の働き方について関心が高まる時期でもある。
そこで、Preplyでは、新しいスタートの季節でもあるこの春、女性は仕事について今後どうしていきたいと考えているのかを探るため、同調査を実施した。
その結果、ワークライフバランスを重視する傾向が多くの回答者に見られ、その背景には、趣味や私生活を充実させたいという意識もうかがえた。一方で、キャリア形成に意欲的な回答者の多くは、「収入を上げたい」といった経済的な理由を挙げており、生活の質を高めたいという考えが意欲の源になっていることわかった。
職場でのモチベーションに関しては、他人との比較や年齢に関する発言が、やる気を損なう要因となることが判明。組織内で円滑なコミュニケーションを促進し、働きやすい環境を整えることは、キャリアに対する満足度を高めるうえで重要なポイントとなりそうだ。
【調査結果】
・女性の今後の仕事意欲、第1位は「ワークライフバランスを重視し、無理なく働きたい」
今後のキャリアに対する意欲を尋ねたところ、第1位は「ワークライフバランスを重視し、無理なく働きたい(30.8%)」で、第2位は「時短勤務などの柔軟な働き方(24.8%)」となり、ライフスタイルを重視する傾向が多くの回答者に見られた。
年代別に見ると、30代はワークライフバランス重視が40%で特に高く、20代は23.3%で比較的少ない結果となった。一方で30代は、副業・起業など、仕事に対して積極的な姿勢を見せた割合が最も高い世代でもあった。30代女性はワークライフバランスを強く求める傾向にあるようだが、仕事に積極的な姿勢を見せる人も多く、その人によって優先順位が異なることが特にわかる。
意外な結果となったのが、海外で働きたい人の割合が20代は3.3%で少ないという点。SNSの普及などにより、グローバル感覚が最も高そうな若い世代だが、海外で働きたいという人は、50代(2.0%)の次に低いという結果になった。20代は専門性を高めたいという意欲が他の年代に比べて多いことから、まずは地に足をつけて自分のスキルを磨きたいという傾向が強いのかもしれない。
・プライベート重視の理由は「仕事以外の趣味を楽しみたい」「責任やプレッシャーを増やしたくない」という声も
今後のキャリアに対する意欲として、「無理せずワークライフバランス重視」「時短勤務」など、少し消極的な姿勢を見せた人に理由を尋ねたところ、「趣味を楽しみたい(全世代で48.1%)」という理由が最も高いことがわかった。
趣味や生活を楽しみたいという声は、20〜30代の若い層よりも40〜50代が特に多かった。年齢を重ねるにつれ、自分の心から楽しめる趣味や心地の良い生活が見つかってきて、それが仕事と同等、もしくはそれ以上の優先順位になるのかもしれない。
その一方で「責任やプレッシャーを増やしたくない(全世代で42.2%)」という理由も多いことがわかり、仕事における精神的な負担を避けたいと考える人が一定数いることが明らかになった。
なかでも、「責任やプレッシャーを増やしたくない」と回答したのは30代が最も多い(50.0%)ことが判明。30代は、会社の中で若手から中堅層になってくる年代で、慣れないマネジメント業務やリーダーのポジションなどを任され、責任やプレッシャーを特に感じやすい年代なのかもしれない。
中間管理職などを任されやすい30〜40代は、部下と上司の間で板挟みになることも珍しいことではない。このような要因から、30〜40代は特に精神的な負担を軽減したいという声が多いことが推測される。
・キャリア形成に積極的な理由は「収入を増やしたい」が6割
副業・起業・海外で働きたいなどの理由、第1位は「収入を増やしたい(59.5%)」だった。自己成長(37.2%)などの理由を上回る結果となり、経済的な理由が強い動機になっているようだ。
日本では物価が上昇する一方、給料が上がらないという問題が大きいため、現在の収入では十分でないと感じる人が増えている可能性がある。以前に調査を実施した、「2025年の仕事の目標は?」という調査でも、目標の第1位は「給料アップ」という結果になっており、現代のビジネスパーソンは給与をあげたいという気持ちが強いことがわかる。
・職場で言われたら最もモチベーションが下がる言葉は「他人と比較される言葉」
「職場で言われたら最もモチベーションが下がる言葉は何ですか?」と尋ねたところ、第1位は「◯◯さんみたいになれないの?(31.7%)」など”他人と比較される言葉”であることが判明した。
第2位は「仕事が遅すぎるよ」、第3位が「その年齢なら別のことをするべきじゃない?」なおの年齢に基づいた偏見を向けられる言葉であることがわかった。特に、他人との比較や年齢による偏見は、個人の努力や能力を正当に評価されていないと感じさせてしまうようだ。
他人と比較する言葉は直接的な批判ではないため、言われた側も反論しづらく、知らず知らずのうちにプレッシャーを感じてしまうことが多いのかもしれない。特に、上司や先輩が励ましのつもりで「◯◯さんみたいに頑張ってみたら?」と言ったとしても、受け取る側にとっては「そもそも経験値や得意分野が違うのに比べられても…」と理不尽さを感じたり、「あの人のようにならなければならないのか」と自己肯定感が下がったりすることも考えられる。
また、「仕事が遅すぎるよ」という指摘もモチベーションを下げる言葉として挙げられている。モチベーションを下げずに注意するには、「どうすれば効率よく進められるのか」を一緒に考え、アドバイスとセットで注意することによって、受け取り方が変わるかもしれない。
・職場で発揮できていると思う強み、第1位は「コミュニケーション能力」
今回の調査では、発揮できている強みとして「コミュニケーション能力」「柔軟性・適応力」「共感力」「正確性・綿密さ」が上位に挙げられた。そのなかで第1位となったのは「コミュニケーション能力」。チームで協力したり、顧客の課題を聞いて満足してもらえるように寄り添うことが必要な仕事の場では、コミュニケーション能力は非常に重要であり、それを発揮できていると考える人が多いようだ。
また、「柔軟性」がランクインしているのも興味深いポイントだ。現在は、AIやデジタルツールの導入が進み、働き方が変化しやすい時代。変化に適応できるように、新しいツールなどに物おじせず、柔軟にスキルを習得していく姿勢が、これからのキャリアにおいて重要になる可能性がある。変化が激しい時代にいるため、特に柔軟性が自身の強みだと感じる人が多いのかもしれない。
【調査概要】
調査期間:2024年2月21日〜2024年2月25日
サンプル数:600
調査対象者:日本在住の女性会社員(20〜59歳)
調査方法:インターネット調査
※オンライン英会話レッスン Preply調べ
関連情報
https://preply.com/ja/blog/women-in-the-workplace/
構成/立原尚子