
残業=偉いという風潮を再考し、成果や効率を重視する視点が大切です。定時帰宅者を適切に評価するには、1. 成果の有無、2. 周囲とのコミュニケーション、3. 仕事内容の共有が鍵となります。
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仕事でみんながまだ残って働いているのに、定時で帰る人を見て、あなたはどう思いますか?
「あいつは空気が読めない」
「ムカつく」
という、相手を否定するような思いが浮かんだ人も多いのでは。
確かに、いつも定時で帰る人がいると一緒に働く人たちの士気を下げてしまうこともあるでしょう。しかし、あなたが管理職など現場の指揮を執る立場でそんなマイナスな思いだけが心を覆ってしまっていたら、あなたのマネジメント能力は低いと言わざるを得ません。
定時で帰ることは、いいケースもあれば、悪いケースもあります。
今回は、残業することがなぜ偉いとされがちなのか、そして、定時で帰る人に対して管理職が正しい評価をするための3つのチェックポイントをご紹介します。
残業することは偉いのか
まず、定時で帰る人に対してマイナスの感情を抱いてしまう人は、“残業すること=偉い、頑張っている”といった考えを持っている可能性が高いです。
では、なぜ残業すると頑張っていることになるのでしょうか。そもそも仕事とは成果を出すことが最も大切なことのはずです。成果に対して、会社はお金を払っています。成果をしっかり出していれば、残業せずに定時に帰ろうと問題はないのです。
人事評価は数字だけでは測れない
しかし、人事評価は数字だけでは測れません。成果は得られなかったものの、それまでの取り組みも評価の対象となります。その取り組みを評価するときに、残業をして遅くまで頑張る姿は、言い方は悪いかもしれませんが、周囲から見て、とてもわかりやすい努力であり、評価しやすいポイントとなります。
残業を当たり前という会社の空気がある
残業は決して悪いことではありません。しかし、残業していることが成果以上に評価を得ているのであれば、その会社や上司側に問題がある可能性があります。
上層部にいる人たちが残業をしてきたことで昇進して今の地位を得ているような会社には、残業は当たり前という空気がすでにできています。上司が残業をしている部下を褒めるような環境下では、定時に帰る人たちに対して周囲もマイナスの感情を当然のように持つようになってしまっているのかもしれません。
定時に帰ることでチームの士気を下げる場合もある
企業に勤めている場合、1人だけで完結できる仕事はほぼありません。チームを組んでみんなで仕事を共有しながら進めます。その中で、他のみんなが忙しそうに残業をしているのに、それに気づかずに周囲に何も伝えないまま定時で帰ろうとする。そのような態度が続けば、チームの士気を下げることにつながります。
そのような社員は成果をあげていたとしてもマイナスの評価がつくこともあるでしょう。
定時で帰る人に対して正しい評価をするための3つのチェックポイント
定時で帰ることにはいいケースもあれば、悪いケースもあることがわかったところで、次に管理職が定時で帰る人に対して正しい評価をするための3つのチェックポイントをお伝えします。
1.成果を上げているか
残業する人だけが頑張っているわけではなく、定時で帰る人はやる気がないということでもありません。働いている時間よりも、大切なのは、成果を上げているかどうかです。
短い時間で成果を上げている人は、スケジュール調整がうまかったり、ミスが少なかったり、何よりも指示待ちではなく、自らの意思によって仕事を効率良く進めることのできる人でしょう。それは管理職として評価するべきポイントと言えます。
2.自分のことを周囲に伝えているか
周囲に自分のことをしっかりと伝え、円滑なコミュニケーションが取れているかどうかも管理職としてチェックするポイントです。
仕事は1人で行うものではなく、チームとなってみんなで取り組むべきものです。定時に帰ることが周囲からよく思われない理由として、周囲に自分のことを伝えずに自分勝手に行動していることが挙げられます。
定時に帰る理由や思いは人それぞれなので、その理由や残業に対する考え方を周囲に伝えておけば周囲から「ムカつく」などの思いを持たないはずです。
3.周囲と仕事内容を共有できているか
2.と同様に、自分のこと以外に今抱えている仕事のことの共有も大切です。
仕事内容を共有することで、チームの中でどの部分が順調で、どの部分が滞っているのかを把握することができます。常に共有しておくことで、チームの仕事を補完する役割を担う意識が芽生えてくることもあるでしょう。
周囲と協力することは必ずしも残業が必要ではありません。それを踏まえて定時時間内でできるのであれば、定時に帰ることでチームの士気を下げることにはなりません。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理・福祉の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
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