
IT先進国といわれる韓国は、IT分野のビジネスに勢いがある。日本にその流行りが流れてくることも多いため、いち早く押さえておきたい。
現状のトレンドや2025年に流行りそうなことなど、韓国のITビジネストレンド最前線を、人気のコミュニケーションアプリ「カカオトーク」を運営するカカオジャパンの元日本代表で、現TimeTree Korea 代表取締役 朴且鎮(パク・チャジン)氏へインタビューした。
【取材協力】
朴且鎮(パク・チャジン)氏
TimeTree Korea 代表取締役
2001年にサムスンジャパン株式会社に入社。その後株式会社ゲームオンの本部長、ネットマーブルジャパン株式会社の代表、株式会社カカオジャパンの代表を経て、2014年に株式会社TimeTreeを共同設立。
2025年はこれがくる!?韓国のITビジネストレンド3選
2025年1月、タイムスケジュールアプリ「TimeTree(タイムツリー)」を提供している日本のベンチャー企業、株式会社TimeTreeが、初の海外拠点となる韓国現地法人「TimeTree Korea」を設立した。代表取締役には、韓国ビジネスに強い朴氏が就任し、さらに海外展開を拡大していく。
朴氏いわく、「TimeTree Koreaは今後TimeTreeのグローバル事業展開の最前線になる」。
現地に最適化されたビジネスモデルを確立し、グローバル事業拡大を加速させる計画だ。
その韓国のITビジネスの最前線に立つ朴氏に、韓国の2025年トレンド予測を3つ挙げてもらった。
1. 生成型AIの商用化と産業融合
「生成型AI(Generative AI)は、2023年のChatGPTブーム以降、韓国でも急速に浸透し、2025年には実験段階を越えて本格的な商用化が加速する見込みです。スタートアップを含むいろんなITビジネス事業者がAIを活用した業務効率化や新たなユーザー体験を提供するサービスに注力しています」
【具体例】
○ヘルスケア:AIによる診断支援やパーソナライズド医療サービス
○コンテンツ制作:テキスト、画像、動画生成AIを活用したクリエイティブツール
○カスタマーサポート:AIチャットボットや音声エージェントの導入
○AI秘書などの浸透
2. On Device AI&業務効率化の拡大
「エッジコンピューティング(データをクラウドではなくデバイス側で処理する技術)とオンサイトAI(On-Device AI/デバイスに内蔵されたAI)が、データプライバシーに対応する形で成長しています」
【具体例】
○IoTデバイス:スマートホームやウェアラブル端末に組み込む軽量AIモデル開発
○製造業:工場内のリアルタイム品質管理や予知保全
3. サステナビリティソリューション
「韓国のスタートアップでは、持続可能性(サステナビリティ)に着目したイノベーションが進んでいます」
【具体例】
○無人注文システム:AI駆動のテーブルオーダーや決済技術が外食産業に浸透
○代替タンパク質:植物性肉や培養肉の開発
○スマート農業:都市型垂直農場やAI灌漑システム
○外食産業の人件費上昇と労働力不足を補うため、無人化技術が主流に