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労働者に聞いた2025年のキャリアの抱負、日本の1位は「ストレスの軽減」、シンガポールとインドは?

2025.03.28

少子高齢化が進み、今後の労働力不足が課題となっている日本。アジアの中でも経済成長が著しく、国際的なビジネスハブとして機能しているシンガポールと、若年層が多く急成長する経済の中で労働に意欲を持つ若者が多いと考えられるインドと比べ、労働者の描く「キャリアの抱負」にはどのような違いや共通点があるのだろうか?

Indeed Japanはこのほど、日本・シンガポール・インドの3カ国の労働者4,920名(日本1,202名、シンガポール1,211名、インド2,507名)を対象に「2025年のキャリアの抱負」を調査した結果を発表した。

1. 2025年のキャリアの抱負

2025年のキャリアの抱負として掲げていることとして、異なる9項目の中から上位5つを選んでもらった。上位1位および2位として選ばれた割合を集計したところ、日本・シンガポール・インドの3カ国とも「収益力の向上」と「ストレスを軽減することで、仕事と私生活の調和を向上させる」の2つがトップ2となった。

日本では、1位が「ストレスを軽減することで、仕事と私生活の調和を向上させる」で45%、2位が「収益力の向上」で31%と、収入よりもワークライフバランスを重視する割合が高い傾向にあった。なお、シンガポールとインドでは「収益力の向上」が1位(シンガポール39%、インド45%)となっている。

なお本設問においては、「収益力の向上」「より有意義な仕事をする役割を確保する」「より強い雇用の安定を確保する」「昇進する、またはより大きな責任を負う」「新しいキャリアや業界に移る」「私のキャリアで将来も役立ち続ける新しいスキルを身につける」「ストレスを軽減することで、仕事と私生活の調和を向上させる」「早期引退をする」「現在の役割で雇用を維持する」の9項目を選択肢として提示した。

2. 2025年の自身のキャリアにおける障壁

2025年のキャリアにおける障壁は何だと思うかについて、7項目の中から上位5つを選んでもらった。上位1位および2位として選ばれた割合を集計したところ、日本では「燃え尽き症候群や仕事のストレスに苦しむ」が最も高くで36%となった。一方、シンガポールとインドでは「競争力のある給与や昇給がない」が最も高く、シンガポールは43%、インドは36%だった。「競争力のある給与や昇給がない」は日本でも2位(34%)にあがっている。

なお、本設問においては「競争力のある給与や昇給がない」「スキルで後れをとり、チャンスを逃す」「職の安定や安全性がない」「同じ役割や立場から抜け出せないと感じる」「燃え尽き症候群や仕事のストレスに苦しむ」「週5日の出社に戻ることを余儀なくされる」「意義のある新しい役割を見つけることが難しい」の7項目を選択肢として提示した。

3. 2025年のキャリアにおける願望

2025年のキャリアにおける願望としてあてはまるものを、異なる9項目の中から上位5つを選んでもらった。上位1位および2位として選ばれた割合を集計したところ、日本・シンガポール・インドの3カ国とも「好きなことをしながら、さらに稼ぐ」が最も高くなった。

日本は43%、シンガポールは35%、インドは44%で、日本ではキャリアの抱負において「収益力の向上」より「ストレス軽減によるワークライフバランス向上」を重要視していたこととの隔たりが見受けられた。

なお、本設問においては「好きなことをしながら、さらに稼ぐ」「安定したキャリアパスを追求する」「リーダーのポジションにステップアップする」「業界の大転換を図る(テクノロジー、金融など)」「関連性を保つために、新しい資格やスキルを取得する」「自分のビジネスやサイドプロジェクトを立ち上げる」「私はもう十分に稼いだので、人生を楽しみたい」「昇給の交渉をする」「現在雇用されている職務にとどまる」の9項目を選択肢として提示した。

4. 2025年のキャリア目標の達成に向けた取り組み

2025年にキャリア目標を達成するための手段として8項目を提示し、どのような計画を立てているのかあてはまるものを全て選んでもらった。その結果、日本とシンガポールでは「スキルアップのための研修やコースに投資する」が1位となり、日本は43%、シンガポールは56%となった。インドでも2位(40%)の結果となり、3カ国ともスキルアップへの投資が重視されている様子がわかる。

また、インドの1位(41%)となった「より強力なプロフェッショナルネットワークを構築する」は、シンガポールで2位(49%)、日本では3位(33%)となった。ネットワーク構築も、各国で重要視されており、特にインドでその傾向が強いことがわかる。

日本では「効率化のためにAIツールや自動化を活用する」が上位にあがったのが特徴的だ。日本では2位(39%)だった一方、シンガポールでは5位(37%)、インドでは4位(35%)という結果となった。日本は今後のAI活用意向が比較的高いことがうかがえる。

なお、本設問においては「スキルアップのための研修やコースに投資する」「自分の価値を証明するために、より多くのプロジェクトを引き受ける」「より強力なプロフェッショナルネットワークを構築する」「メンターやコーチングを求める」「新しい仕事を探す」「私の『接続しない権利』を行使する」「追加的な有給の仕事を探す」「効率化のためにAIツールや自動化を活用する」の8項目を選択肢として提示した。

5. 2025年に自身の業務分野で必要不可欠な知識・スキル

2025年に自身の業務分野で不可欠な知識・スキルとしてあてはまるかどうかを、5つの知識・スキルについて「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」「全くあてはまらない」のどれに該当するかを選んでもらった。「非常にあてはまる」「あてはまる」と回答した人の割合の合計を確認すると、日本では「高度なテクノロジースキル(AI、機械学習、コーディング)」が最も高くで44%の結果となった。

一方、シンガポール・インドでは「感情的知性(心の知能指数)と争いの解決」が最も高く(シンガポール65%、インド59%)の結果となった。

なお、本設問においては「高度なテクノロジースキル(AI、機械学習、コーディング)」「リーダーシップ研修およびマネジメント研修」「感情的知性(心の知能指数)と争いの解決」「データリテラシーまたは分析スキル」「異文化に対応する能力またはグローバルビジネスの理解」の5項目を選択肢として提示した。

■調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介氏のコメント

労働市場のダイナミクス、AI関連の仕事状況やリモートワークへの関心状況など、アジア3カ国で見ても労働者を取り巻く環境は異なりますが、その中でも、各国のキャリア・労働に対する考え方には興味深いことに共通点もあります。

1つ目は、「キャリアの抱負」と「キャリアの障壁への認識」は表裏一体であるということです。まずどの国でも、キャリアの抱負には給与関連の回答が上位にきます。そして、キャリアの障壁についても、「競争力のある給与や昇給がない」ことが障壁として強く認識されており、自身のパフォーマンスへの評価として正当な給与を得られることを重要視しています。日本は給与関連に加えて、ストレス関連の回答が上位にきます。

「燃え尽き症候群や仕事のストレスに苦しむ」がキャリアの障壁の最上位であり、キャリアの抱負でも、「ストレス軽減によるワークライフバランス向上」を掲げる傾向が強いのが特徴的です。日本の労働者は、仕事に強いストレスを感じる傾向が他国よりも強いようです。

また、キャリア上の願望では「好きなことをしながら、さらに稼ぐ」という回答がどの国もトップに入ること(日本:43%)を踏まえると、他国よりも日本は抱負と願望の間に隔たりがあるように見えます。日本では、回答者個人は給与よりも時間の方がまだコントロールしやすい、そして実現可能と考えるものをより抱負に挙げやすいという国民性が影響しているかもしれません。

2つ目に、キャリア目標達成あるいは抱負に対して取り組みたい内容は、各国ともスキルアップとネットワークの構築がおおむね共通して関連し、それらの重要性の程度は各国労働者を取り巻く環境によって微妙に差異があるということです。日本とシンガポールは「スキルアップへの投資」の回答が1位でした。

さらに、日本では2位に「効率化のためにAIツールや自動化を活用する」があがっているのも特徴的でした。各国とも、個々のスキルを高めることがキャリアの向上に重要と考えられている中で、日本ではAIの活用への言及からキャリアの向上に加え仕事の効率化を重要視した回答に見えます。これは、先のストレス軽減によるワークライフバランス向上というキャリアの抱負と整合的な回答とも捉えられます。

一方、シンガポールではスキルにおいては、AIやテクノロジースキルよりも、さらにリーダーシップやEQ(感情的知性)などのソフトスキルを重視する傾向が確認されました。この求めるスキル内容の違いには、AI導入やAIの仕事に与える影響に関する認識の違い、多様なバックグラウンドを持つ人々と円滑に仕事を進める必要性などが反映されている可能性が考えられます。加えて、インドは、スキルアップではなく「プロフェッショナルネットワークの構築」が1位です。シンガポールでも同回答は2位でした。特に、インドでは人脈やネットワークがキャリアの進展に重要な役割を果たすと認識されている様子がうかがえます。

■Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介(あおき ゆうすけ)氏プロフィール

Indeed Hiring Lab エコノミスト/青木雄介氏

2012年東京工業大学工学部卒、2013年英国UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)経済学修士。その後、外資系コンサルティングファーム等でエコノミスト・データサイエンティストとして政府・民間・司法機関に向けた経済統計分析及び報告書作成に従事。2022年8月より現職。Indeedのデータを活用してOECD各国及び日本の労働市場を分析し、外部関係者に向けて分析結果・インサイトを発信している。

<「2025年のキャリアの抱負」調査 実施概要>

調査主体:Indeed
調査対象:日本、シンガポール、インドで働く男女4,920名(日本 1,202名/シンガポール 1,211名/インド 2,507名)
割付方法:各国の状況に応じ、年齢×キャリア(年次)で均等割り付け
年齢:【日本】20代・30代・40代・50代・60代/【シンガポール】Generation Z(15-27歳)・Generation Y(27-35歳)・Generation X(45-59歳)・Boomers(60-78歳)/【インド】27歳未満・27-42歳・43-58歳・58歳よりも上
キャリア:【3カ国共通】エントリーレベル(入社1年未満)・ジュニアレベル(1-5年未満)・ミドルレベル(5-10年未満)・シニアレベル(10年以上)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年12月1日(日)~2025年1月31日(金)

出典:Indeed

構成/こじへい

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