
高齢者の数が増え続けるなかで、介護人材の不足は社会問題となっています。ベネッセの介護付き有料老人ホーム『アリア護国寺』では、人の手による介護のノウハウとテクノロジーを融合させた介護DXの活用により、きめ細やかな介護を実践すると聞き取材しました。
東京・目白台に穏やかでアクティブな暮らしを実現できる高級シニアレジデンス「アリア護国寺」が誕生
洗練された街並みと歴史が織りなす文京区目白台。その閑静な高級住宅地に、ベネッセの有料老人ホーム最上位シリーズ「アリア」30か所目、都内では25か所目となる『アリ...
介護の匠を指す「マジ神」のノウハウをAIに
『アリア護国寺』は、ベネッセスタイルケアが2025年3月に開設した東京・文京区目白台のハイクラス・シニアレジデンスです。
入居者のQOL向上は、あらゆる施設が目指すところであり、どう取り組むかが各施設の特徴といえます。ベネッセではQOL向上の実現のために、根拠をもって課題を解決し、チームを牽引して実践・浸透・提案している腕利きのスペシャリストを「マジ神(かみ)」と認定し、その技術を分解し、言語化し、さらに育成プログラムへ落とし込みました。「マジ神」とは介護の匠を指す言葉で、ベネッセスタイルケア独自の専門資格です。
「マジ神」?? なかなかユニークな名前ですが、若手の介護士がベテランの素晴らしい仕事ぶりに「マジ、神っスね!」と賞賛したことから生まれた言葉とか。その素晴らしい仕事ぶりとは、いつも緊張し、笑顔を見せない認知症の入居者に対し、認知症ケアの高いスキルを持ったベテラン介護士が支援に訪れた際、わずか数時間で笑顔を引き出したこと。
人生の来し方がすべて違う一人ひとりに対して、どうアプローチすれば最良のケアができるのか――。
このベテランが持つノウハウを分解し、分析し、さまざまなデータと組み合わせることで誕生したのが「マジ神AI」です。
入居者が言語化できない不安感に対処
「BPSD(認知症に伴う行動・心理症状)」や体調変化の要因となる睡眠や排せつ、活動といったデータや介護記録などを総合的に収集し、AIによって学習・類型化するというもので、同社が独自開発。BPSDは暴言や暴力を起こすこともあり、スタッフ側としては、突発的に発生するこれら恐怖を伴う体験が、ケアに支障をきたすこともあるのだそうです。
こうしたことを防ぐためにも、またBPSDによって入居者自身にかかる身体負担を軽減するためにも、BPSDが起こる要因を予測して提示したり、要因別に類型化してヒントとして提示できるようにしています。
「マジ神AI」により、入居者が言語化できない不快感に対処でき、またスタッフも最適なケア方針に素早くアプローチできるなど、ケアの深化を図り、入居者の心地好い暮らしに繋げていくといいます。
この「マジ神AI」は『アリア護国寺』で採用され、データ収集のために全居室に睡眠センサーを導入。睡眠状態を分析することで、睡眠の問題点を洗い出します。たとえば夜間の眠りが浅い場合は、日中の行動の活発化を促すなど、日々のケアに活かします。
すべての部屋の介護用ベッドには睡眠センサーが装備されています。
また排泄面では、AI技術を活用し開発された排泄エコー「iViz air(アイビズエアー)」を採用しています。これは、入居者の腹部の状態(便の有無や量、性状、部位、膀胱内の尿量等)の測定ができるもので、医学的なアプローチと組み合わせることで、快適な排泄へと導くことができます。これらのデータも「マジ神AI」に蓄積され、さらに良質なケアに役立てられます。
AIはケアのヒントを提示し、介護士が判断する
入居者のQOL向上に向けたアセスメント、人材育成のプログラムに係る枝松裕子さんはまさに「マジ、神っスね!」といわれた介護の匠。
「マジ神AIは、高齢者の平均的なデータと比較するのではなく、ベネッセで収集したオリジナルデータをベースに構築されたシステム。ですので、患者さんだけの過去のデータを見ることもできますし、弊社の多くの施設で収集し、蓄積された介護のさまざまな記録から比較検討することも可能です。ではどういうアプローチが最適なのか、それをAIが判断するのですが、提示するのはあくまでもケアのヒントで、具体的な方法を示すものではありません。どんなケアを行うかは、ご入居者の状況を見て、介護士が判断する、それがマジ神AIの特徴です」(東京IVエリア事業本部/専門性開発部 介護職(マジ神) 枝松さん)
ベネッセの介護付き有料老人ホームで介護DXを初めて本格導入したのが2022年の『グランダ四谷』から。そこで得られた知見も活かして、ベネッセスタイルケアにあるすべてのテクノロジーが備えた先進ホームの第2弾が『アリア護国寺』です。
『アリア護国寺』ホーム長の是枝綾乃さんは、最新テクノロジーを使いこなすことで「一人ひとりに最良の暮らしを届けたい」と話します。
「これまで服薬のチェックは2人体制で行っていましたが、QRコードと顔認証を採用した顔認証服薬ソリューションを使用すれば、1人で行えるようになります。これによって手のあいた1人に、“人でなくてはできない大切な作業”に従事してもらえれば、さらにきめ細かいサービスが行えるようになります」(是枝さん)
確実な服薬のための「顔認証服薬ソリューション」や地域連携ソリューション「MeLL+(メルタス)」といったテクノロジーの積極的な導入のほか、ダイニングルームでは配膳ロボットが食事をテーブルまで届け、各フロアは掃除ロボットが恒常的に掃除を行い、安全で快適な暮らしの実現に役立てられています。単なるデジタル化ではなく、一人ひとりの人生と尊厳を大切にした、新しいケアのかたちへの期待が高まります。
お掃除ロボットは表情も豊かで、早くも居住者の“愛されキャラ”としてのポジションを確立しているとか。
■アリア護国寺
住所:東京都文京区目白台3-28-10 (Tonowa Garden目白台 内)
アクセス:東京メトロ有楽町線「護国寺駅」6番出口より徒歩6分(約420m)
建物構造:鉄筋コンクリート造 地上5階建1棟(他3棟)
居室数:53室(定員56名/全室個室)
土地建物の所有形態:事業主体非所有
居住の権利形態:利用権方式
利用料の支払方式:選択方式
入居時要件:入居時自立・要支援・要介護、契約時原則満65歳以上
利用料金:
入居金型プラン 入居金3000万円~8952万円(非課税)/月額利用料29万4250円~82万9310円(税込)
月額支払い型プラン 月額利用料93万6050円~236万3110円(税込)
取材・文/小泉庸子 撮影/横田紋子(小学館)