相関分析は、二つの変数の関係性を数値化する統計手法。エクセルのCORREL関数や「データ分析」ツールを使うことで相関係数を計算できる。相関係数は-1から1の範囲で表され、値が大きいほど関係が強い。
目次
相関分析とは、二つの変数の関係性を数値化する統計的手法である。この手法を用いることで、データ間の関連性を把握し、適切な意思決定を行うことができる。エクセルを使えば、相関係数を簡単に求めることができ、データ分析を効率的に進められる。
本記事では、エクセルを用いて相関関係を求める方法や、相関分析をビジネスなどで活用する事例について紹介する。
相関分析とは?
まずは、相関分析について確認しておこう。相関分析は相関関係を数値化して分析する手法だ。
■相関関係とは?
相関関係とは、二つの変数の間にどの程度の関係性があるかを数値化する手法である。例えば、気温が上がるとアイスクリームの売上が増える場合は「正の相関」があると言える。一方で、気温が上がると灯油の売上が減る場合は「負の相関」があると考えられる。二つの変数に明確な関係がない場合は「無相関」となる。
- 正の相関: Xが増えるとYも増える(例:気温が上がるとアイスの売上が増える)

- 負の相関: Xが増えるとYは減る(例:気温が上がると灯油の売上が減る)

- 無相関: 2つの変数に明確な関係がない(例:身長と数学の成績)

■相関関係と因果関係の違い
相関関係があるからといって、必ずしも因果関係があるとは限らない。例えば、消防車の出動回数と火事の被害額には相関があるが、消防車が火事の被害を大きくしているわけではない。火事の発生が「第三の要因」となり、両者の数値を増やしているのである。このように、相関関係を分析する際には、因果関係と混同しないよう注意が必要である。
例: 相関関係: 気温が高い日はサングラスの売上も増える
- 因果関係: 気温が直接サングラスの購入を促しているわけではない
- 第3の要因: 「晴れの日が多い」という要因が両方に影響している
これは相関関係があるが、因果関係ではない(第3の要因が存在している)
相関係数とは?

相関関係の度合いを示すのが相関係数だ。ここでは、相関係数の定義と意味、そして相関係数の目安について解説する。
■相関係数の定義と意味
相関係数(r)は-1から1の範囲で表される。値が1に近いほど強い正の相関があり、-1に近いほど強い負の相関がある。0に近い場合は、相関がほとんどないと判断できる。
■相関係数の目安
相関係数の値と相関関係についての目安は、以下のとおりとなる。
|
相関係数 (r) |
解釈 |
|
0.7~1.0 |
強い正の相関 |
|
0.4~0.7 |
中程度の正の相関 |
|
0.2~0.4 |
弱い正の相関 |
|
0.0~0.2 |
ほぼ無相関 |
|
-0.2~-0.4 |
弱い負の相関 |
|
-0.4~-0.7 |
中程度の負の相関 |
|
-0.7~-1.0 |
強い負の相関 |
エクセルで相関係数を求める方法
相関関係を手作業で計算するのは大変だが、エクセルを使えば簡単に出すことができる。ここでは、エクセルで相関係数を求める方法を解説しよう。
■CORREL関数を使う方法
エクセルで二つの変数間の相関係数を求めるには、CORREL関数を使用する。
1.相関を求めたいデータをエクセルに入力する(例:売上と広告費)

2.任意のセルに=CORREL(A2:A10, B2:B10)と入力する

3.Enterキーを押すと、相関係数が算出される

■複数の変数の相関分析
エクセルの「データ分析」ツールを使用すれば、複数の変数間の相関を分析できる。
例:売上・広告費・来客数
1.「データ」タブを開き、「データ分析」をクリックする。

2.「相関」を選択して「OK」をクリックする。

3.入力範囲を指定し、複数の変数を含むデータセットを選択する。

4.「出力先」を指定し、「OK」を押すと相関行列が作成される。

相関分析の活用事例

相関分析は、様々なシーンで活用されている。ここでは、具体的な事例を紹介しよう。
■ビジネスにおける活用
- 売上と広告費の相関: 広告費を増やすと売上が上がるかを分析し、マーケティング戦略を最適化する目安にできる。
- 従業員満足度と生産性の相関: 従業員の満足度調査データと業績データを比較し、労働環境改善の参考になる。
■健康・医療における活用
- 食生活と健康の相関: カロリー摂取量と体重変化の関係を分析し、健康指導に活かす。
- 運動量と睡眠の質: 日々の歩数データと睡眠スコアを分析し、生活改善に役立てる。
■教育・学習における活用
- 学習時間と成績: 1日の勉強時間とテストの点数の相関を分析し、効果的な学習方法を見出す。
相関分析を行う際の注意点
相関分析を行う際には注意すべき点がいくつかある。相関分析を行う前に確認しておこう。
■相関関係=因果関係ではない
相関関係があるからといって、因果関係があるとは限らない。例えば、アイスクリームの売上とサングラスの売上には相関があるが、それは気温の上昇という第三の要因が影響している可能性がある。
■外れ値の影響を考慮する
外れ値があると相関係数が大きく変化する。事前に散布図を作成し、異常なデータがないかを確認することが重要である。
■非線形の関係は捉えられない
相関分析は基本的に直線的な関係性を測るものである。U字型やS字型の関係には適用できないため、データの分布を散布図で確認する必要がある。
まとめ
相関分析は、データ間の関係性を数値化できる便利な手法だ。エクセルを使えば、CORREL関数やデータ分析ツールを活用して簡単に相関係数を求めることができる。ただし、因果関係と混同しないよう注意し、外れ値や非線形の関係にも配慮する必要がある。
ビジネス、健康、教育など幅広い分野で活用できるため、実際のデータを使って活用してみてほしい。
本記事の内容を以下で簡単におさらいしよう。
- 相関分析は、二つの変数の関係性を数値化する統計手法。
- 相関には「正の相関」「負の相関」「無相関」がある。
- 相関関係と因果関係は異なり、相関があっても因果は保証されない。
- 相関係数は-1から1の範囲で表され、値が大きいほど関係が強い。
- エクセルのCORREL関数や「データ分析」ツールで簡単に相関係数を求められる。
- ビジネス、健康、教育など幅広い分野で活用可能。
- 外れ値や非線形関係に注意し、相関を適切に解釈することが重要。
構成/編集部







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