チューターとはどのような制度で、どんなメリットがあるのかよくわからない方も多いのではないでしょうか?本記事は、チューターを導入する目的や導入のステップ、得られるメリットを解説します。上手な進め方も説明しますので、参考にしてください。
目次
チューターとは?

チューターとは、企業において、新入社員や若手社員に対して業務を中心に指導する担当者のことです。チューターは基本的に同じ職場の先輩社員が担当し、約1年間にわたり、1対1による指導育成を行います。チューターは新入社員の一番身近な存在となり、良き理解者・相談役となるでしょう。
チューターと似た人材育成の制度にメンターやブラザー・シスター制度、OJTがありますが、それぞれ役割や指導内容、関わり方が異なります。
ここでは、チューターの役割や、他の制度との違いをみていきましょう。
■チューターの役割
チューターの役割は、まだ仕事に慣れていない新入社員にビジネスマナーや業務の遂行に必要な知識・スキルを教え、指導することです。業界や企業文化、社風など、職場で仕事を円滑に進めるために必要な知識を伝え、1人で業務を担えるように指導します。
1対1で指導するため、新入社員の特性やペースに合わせた指導ができ、効率的な人材育成が可能です。チューターである社員自身も、新入社員のお手本となります。近くでその働き方を見せることで、新入社員の成長を促すでしょう。
チューター制度の導入によって、新入社員はより早く仕事や職場に馴染めるようになり、戦力として活躍できるまでの期間を短縮できます。
■メンターとの違い
チューターは、メンター(Mentor)とは異なります。メンターとは「指導者、助言者」という意味で、ビジネスでは自身が仕事やキャリアの手本となり、新入社員に助言・指導をしながら、成長や精神面のサポートをする人のことを指します。
メンターは職場に慣れない社員を指導するという点で、チューターと同じです。しかし、チューターは業務の遂行に必要なスキルや知識を教えるのに対し、メンターは仕事の悩みや取り組み方、モチベーションの高め方など、幅広い相談に対応する点が異なります。
特にチューターとの大きな違いは、精神面でのサポートをすることです。上司には話しにくい相談にのったり、仕事に対する悩みを聞いたりして、アドバイスを行います。新入社員の良き相談相手になりながら、仕事や人間関係におけるストレスを和らげ、成長を促します。その結果、離職率を下げる効果も期待できるでしょう。
メンターはこのように悩みや不安の相談にも対応するため、新入社員が打ち明けやすいよう、年齢が近くて他部署に属する社員が選ばれます。
■ブラザー・シスター制度との違い
新入社員をサポートする制度として、ブラザー・シスター制度もあります。年齢の近い先輩社員が指導役となり、業務やメンタル面での指導を行う制度です。先輩社員を「ブラザー・シスター」に見立て、新入社員の定着を目的に導入されます。
業務上の指導だけでなく、生活全般に対する不安や悩みにも対応するという点で、チューターよりも広い範囲で新入社員と関わります。
また、メンター制度が新入社員の悩みや人間関係など、精神面のサポートをするのに対して、ブラザー・シスター制度はさらに組織に馴染むプロセスのケアも行います。そのため、同じ部署からブラザー・シスター役を選定し、常に相談しやすい環境を整えることが特徴です。
■OJTとの違い
OJTとは「On-the-Job Training」の略で、職場で実際に仕事をしながら学ぶ人材育成の手法です。座学研修である「OFF-JT(Off-The-Job Training) 」とセットで行われることも多く、研修で学んだことを実際に職場で行いながら知識やスキルを身につけていきます。実施期間は3ヶ月〜1年程度で業務内容によって異なり、特に決まりはありません。
OJTの指導は職場の上司や先輩社員が行い、チューターが担当することもあります。しかし、チューターは実務の場面にとどまらず仕事内容について指導を行い、幅広く業務遂行をサポートします。
チューター制度を導入する目的

チューター制度を導入する目的は、新入社員ができるだけ早く職場環境に馴染み、離職を防止するためです。
ここでは、企業がチューター制度を導入する目的について、詳しくみていきましょう。
■新入社員が働きやすい環境を整える
チューター制度を導入する目的は、新入社員が働きやすい環境を整えるためです。チューター制度がなく明確な指導者がいない場合、新入社員は仕事や職場になかなか慣れず、戸惑うことも多いでしょう。
上司や周囲の社員に指導を受けるとしても、それぞれが業務を抱えているため、常に指導できるとは限りません。新入社員の方から質問をするなどの対応が必要になるでしょう。
チューター制度があれば、マンツーマンで適切な指導を受けやすくなります。チューターとして担当についてもらえれば、新入社員もコミュニケーションをとりやすくなり、慣れない職場や人間関係に対する不安も解消されるでしょう。
■離職を防止する
チューター制度の導入で働きやすい職場になれば、離職防止にもつながります。チューター制度がなく指導する役割を持つ人材がいないと、新入社員はコミュニケーションがうまくとれず、業務もなかなか覚えられないでしょう。職場に馴染めない社員が出てくるかもしれません。その結果、離職につながる可能性があります。
チューター制度があれば、新入社員は先輩社員に気軽に相談ができ、仕事も早く覚えられます。また、仕事だけでなく企業文化や社風への理解が進むことで、環境への順応もスムーズになるでしょう。仕事へのモチベーションも高まり、生産性も向上します。
■組織の課題解決につなげる
チューター制度は、組織の課題解決につなげるのも目的のひとつです。チューターの任務に携わることで、新人の教育システムの課題を発見しやすくなり、解決に向けて改善策を講じられます。改善により人材育成の質が高まり、離職率の低下が期待できるでしょう。
また、チューターは新入社員の指導を通して、教育を受ける側である新入社員でなければわからない課題に気づけます。そのためには、新入社員が気づいた教育の課題についてチューターに報告してもらう必要があり、意見を出しやすい環境づくりが必要になるでしょう。
チューター制度を導入するメリット

チューター制度の導入により、企業は次のようなメリットが期待できます。
- 新入社員の教育体制が整う
- 管理職を育成できる
- コミュニケーションを活性化できる
詳しくみていきましょう。
■新入社員の教育体制が整う
チューター制度の導入により、新入社員の教育体制を整備できます。チューターがいることで、新入社員はわからないことをすぐに聞いて解決でき、スムーズに業務を遂行できます。
チューターがいなければ、新入社員は業務でわからないことを誰に聞けばよいかわからず、不安を感じることもあるでしょう。上司や先輩社員も、新入社員の指導について気にかけていなければなりません。
しかし、チューターがいることで、新入社員は安心して業務につけ、わからないことはいつでも確認できます。上司や先輩社員も新入社員の指導について心配することなく、安心して自身の仕事に集中できるでしょう。
■管理職を育成できる
チューター制度の導入は、管理職の養成にも役立ちます。チューター役となる先輩社員は新入社員の指導を通し、指導力やマネジメントスキルを身につけられるためです。
社員をまとめ、組織を成長させるためには、管理職の働きが欠かせません。管理職を育成することは、企業にとって重要な課題といえるでしょう。チューター制度の導入により、新入社員の指導・育成と同時に管理職の育成ができることが大きなメリットです。
さらに、チューターは新入社員への指導を通し、自身の業務レベルを見直す機会を得られます。新入社員の成長とともに、自身のスキルアップを図れるでしょう。
■コミュニケーションを活性化できる
チューターの導入により、社内コミュニケーションを活性化できることもメリットです。新入社員はチューターが仲介役となり、他の社員と交流しやすくなります。
仕事は1人で完結するものではなく、複数の社員が協力しながら行います。進捗の報告や情報共有、相談など、あらゆる場面でコミュニケーションが必要です。
コミュニケーションが活性化することで業務を進めやすくなり、新入社員にとって働きやすい職場になります。社員間の信頼関係が築かれ、仕事のモチベーションも高まるでしょう。
その結果、離職率の低下や生産性の向上につながります。
チューター制度を導入するステップ

チューター制度を導入するためには、正しい手順で進める必要があります。
具体的には、次のステップで進めます。
- チューターの教育を行う
- 仲介役を設ける
- 適切にマッチングする
- 成長に合わせて指導を行う
それぞれのプロセスをみていきましょう。
■1.チューターの教育を行う
チューターは誰でもできるわけではなく、適切な指導ができる指導力が必要です。そのため、チューターとなる社員には研修や教育の実施が欠かせません。研修や教育を通じて、社員はチューターとしてどのような支援・指導が適切であるかを確認し、その役割と責任、指導の技術などを学びます。
また、新入社員との良好な関係を築くためのコミュニケーションも学ばなければなりません。さらに、企業理念や事業目標、ビジョンなどを再確認することで、新入社員の成長をしっかりサポートできるようになるでしょう。
■2.仲介役を設ける
チューター制度ではチューターと新入社員に運用を任せるのではなく、サポートする仲介役の選定が必要です。
たとえば、職場の上司を仲介役にして、定期的に振り返りの場を設けるとよいでしょう。上司はチューターの指導やサポートの内容を聞き取り、新入社員の成長を確認します。
必要に応じてフィードバックやアドバイスを行い、課題があれば早期解決に向けて改善策を講じる必要があるでしょう。また、チューターと新入社員の関係性も確認し、問題があれば人選を見直すなどの対応も必要です。
■3.適切にマッチングする
チューター制度を効果的に運用するためには、チューターと新入社員の相性も重要です。相性の良い相手であれば、アドバイスを素直に受け入れやすく、成長が促進されるでしょう。
相性が合わない場合、スムーズなコミュニケーションができず、十分な指導ができない可能性があります。そのまま放置すれば、離職につながる場合もあるでしょう。仲介役が定期的に様子を確認し、状況に応じてチューターを交代する対応も必要です。
■4.成長に合わせて指導を行う
チューターは、ただ画一的に指導するのではなく、新入社員の特性を理解し、成長に合わせた指導が求められます。特に社会人経験のない新入社員は職場や業務に慣れるために時間がかかることが多いため、成長の進捗を見極めながら、一人ひとりのペースに合わせて指導することが大切です。
適切な指導を行うためには、新入社員のスキルや業務に合わせた育成計画の策定も必要です。計画の策定により新入社員への場当たり的な指導を防ぎ、明確な目的のもとに育成ができます。
1年後にどのような成長を期待するのか目標を設定し、具体的な指導方法とプランを設けることで、指導の効果をより高められるでしょう。
チューター制度で働きやすい環境を作ろう

チューター制度には、新入社員が働きやすい環境を整え、離職を防止する目的があります。先輩社員が新入社員の指導にあたることで新入社員の教育体制が整い、コミュニケーションの活性化が期待できます。また、チューター役となる社員の指導力やマネジメントスキルを高め、管理職の育成にも役立つでしょう。
自社にチューター制度を設ける際は、指導する社員の教育を行い、適切なマッチングが必要です。仲介役を設け、定期的にサポートすることも欠かせません。
チューター制度を導入して、新入社員が早く職場に馴染んで活躍できる環境を作りましょう。
構成/須田 望







DIME MAGAZINE











