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9割以上が中国企業?ユーザー課金型の「縦型ショートドラマ」に参入する日本企業に聞く勝算

2025.03.25

「縦型ショートドラマ」は日本市場で成功できるのか?

TikTokやYouTube Shortsなど、縦型ショート動画市場が盛り上がる中、「縦型ショートドラマ」というジャンルも確立しつつあるようだ。

実はこのジャンル、日本は中国に大きく遅れをとっている。

3月25日、アプリ「テラードラマ」で話売り型(=ユーザー課金型)の縦型ショートドラマ市場に参入する株式会社テラーノベルの蜂谷宣人代表に話を聞いた。

2024年は話売り型縦型ショートドラマ元年

縦型ショートドラマ市場が活況だ。

最近ではTikTokを見ていると、ドラマ風に仕立てた動画が当たり前のように流れてくるし、気になって視聴をしていると実は企業の広告だったということも珍しくない。事実、昨年6月には「TikTok上半期トレンド大賞2024」で「ショートドラマ」が大賞に選ばれている。

また、アプリストアでは縦型ショートドラマを専門で配信するアプリも多く配信されている。

無料のものから、有料コンテンツまで縦型ショートドラマ界隈は急激に成長しているが、蜂谷さんは「同じく縦型ショートドラマでも無料コンテンツと有料コンテンツとでは全く性質が違います」と説明する。

「私たちがTikTokなどでよく目にするショートドラマはいわゆる“広告型”です。ユーザーは無料で楽しめる一方で、その実は企業の商品やサービス、あるいは企業そのものを宣伝することを目的とした動画が多く含まれています。無料コンテンツになりますので視聴数(再生回数)は伸びやすく中には数億回以上も再生されている作品もあります。

一方で、近年、中国企業を中心に海外企業が参入してきているのが有料の縦型ショートドラマ、いわゆる“話売り型”です。2024年2月にとある中国企業から日本向けのアプリがリリースされて以降、すでに数十のアプリが日本向けにローンチされています。話売り型の市場は2024年だけで70〜80億円規模、2024年は話売り型縦型ショートドラマの元年とも言えるでしょう」

しかしながら、蜂谷さんは同時に警鐘を鳴らす。

「収益ベースで見た際、日本企業は全体の1割程度です。つまり70〜80億円の9割以上が海外企業の収益になっているのです。もちろん向こうの企業はショートドラマのノウハウがあって面白いコンテンツを作っているからなのですが、この状況はwebマンガ市場と似ています。日本のwebマンガ市場もシェアの多くは韓国、米国の企業が占めている状況です。アニメ、マンガ、ゲーム、ドラマなど多くのエンタメコンテンツを生み出してきた“コンテンツ大国日本”としては、こうした分野で海外企業にシェアを取られてしまうのは悔しい思いもあります。

こうした思いを背景に、テラードラマは話売り型の縦型ショートドラマ市場に参入することを決めました」

株式会社テラーノベル代表・蜂谷宣人さん

日本人向けのコンテンツ不足にテラードラマはチャンスを探る

話売り型の縦型ショートドラマは、ひとつの動画が概ね1〜2分程度、ひとつの作品は20〜60本ほどの動画で構成される。

すでに配信されている中国アプリの作品を見てみると、作品のジャンルは多種多様だ。しかし、よく見ると人気ジャンルの傾向があるという。

「多いのが、普通の女性と御曹司との恋愛モノです。例えば偽装結婚など恋人のふりから始まってだんだんと本当の恋愛関係になっていくという少女漫画的な王道ストーリーです。他にも不倫をした夫を懲らしめるとか、復讐モノも人気があります。しかし、基本的には中国企業が国内向け(=中国向け)に作った作品に日本語字幕をつけて配信しているだけです。つまり、日本人に受ける作品はありますが、まだまだ日本人向けに作られた作品は絶対数が少ないんです。セリフや細かい設定にちょっとした違和感をおぼえる作品が多いんですよ。そこに日本市場拡大のカギがあると睨んでいます」

テラードラマは、日本向けのオリジナル縦型ショートドラマだけでなく、同社が運営する小説共有プラットフォーム「テラーノベル」の人気作品の映像化も視野に入れている。

テラーノベルは国内ダウンロード数760万以上、投稿作品1000万以上、TikTokでの関連動画の再生回数は35億回を超える。90万人のクリエイターを抱える同プラットフォームはウェブトゥーン(縦スクロール漫画)原作としても根強い人気がある。

こうしたコンテンツを縦型ショートドラマの原作としても活用していく予定だ。

「すでに日本市場で人気を得た作品を映像化していきますのでシナリオ、キャラクター、設定など細部に至るまで日本人が好むショートドラマを展開していけると考えています。ラブロマンス、逆襲・復讐系、サスペンスミステリーなどテラーノベルでは縦型ショートドラマと相性のいい作品も揃っています。これらとオリジナル作品を合わせて年に20〜30本くらい配信をしてファンを増やしていきたいですね」

意外にも縦型ショートドラマのメインユーザーは40〜50代の女性が多いそうだ。しかし、テラーノベルのユーザーは20〜30代も多い。テラーノベル作品をショートドラマ化をしてうまく引き込むことができれば市場はさらに大きくなっていくだろう。

「日本における話売り縦型ショートドラマ市場はまだまだ黎明期です。日本企業だけでなく、中国の企業にも高クオリティかつ各方面からヒットを狙ったコンテンツを供給してほしいです。何がヒットするかは市場としてもまだ未知数ですから。

当然、テラードラマはこの市場でのナンバーワンを目指しますが、今は企業同士でユーザーの取り合いをしている段階ではありません。企業、そしてユーザーと協力をして市場を大きくしていきたいですね」

話売り型のwebマンガ市場はすでにインフラと呼べるほどに日本の文化として定着をしている。縦型ショートドラマ市場はそれに続くことができるだろうか。テラードラマの躍進に期待したい。

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