
ゆとり世代に該当する年齢はいくつなのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。一般的には、1987年から2004年生まれを指し、2025年時点で21歳から38歳の人が該当します。今回は、ゆとり世代の年齢や特徴、仕事でうまく関わるコツなどを解説します。
目次
「ゆとり世代って、結局どんな世代なの?」と感じたことはありませんか?
自己肯定感が高く、効率やコスパを重視する一方で、ストレスや競争が苦手とされるゆとり世代。その特徴や背景、仕事での関わり方を知れば、誤解やギャップが埋まるかもしれません。
ゆとり世代とは
ゆとり世代とは、一般的に1987年から2004年に生まれた、ゆとり教育を受けた世代のことです。
ゆとり教育とは、子どもへの負担を軽減することを目的として、教科内容と授業時間数を削減した教育のことです。そのためゆとり世代が受けた教育は、それ以前の世代が受けた詰め込み型の教育とは内容が大きく変化しました。
参考:デジタル大辞泉
■ゆとり世代の年齢
2025年現在、ゆとり世代の年齢は21歳から38歳です。さらに生まれた年代によって、以下のように3つのグループに区分されることがあります。
- ゆとり第1世代(1987~1989年生まれ)
- ゆとり第2世代(1989~1996年生まれ)
- 脱ゆとり世代(1996~2004年生まれ)
ゆとり第1世代は中学生で、ゆとり第2世代は小学生でゆとり教育に切り替わり、脱ゆとり世代は小学生から中学生の間に脱ゆとり教育に方針が変更されています。
■ゆとり教育の特徴
ゆとり教育は、それまでの詰め込み型の教育を見直し、「受験戦争」や「落ちこぼれ」対策として教える内容と授業時間数を削減し、子どもの負担を軽減することを目的に導入された考え方です。
さらに、授業時間数の削減により余った時間を教科の枠に縛られない総合的な学習にあて、子どもの個性や自分で考える力を育てようとしました。
しかし、学習内容の削減に伴う学力低下への懸念が生じたことや、「人と比べない」といったゆとり教育の指針によって競争意識の低下を招いたとされ、2011年度以降は脱ゆとり教育に移行しました。
■スーパーゆとり世代とは
スーパーゆとり世代とは、1995年生まれの人々を指し、小学校から高校卒業までの12年間を完全にゆとり教育のもとで学んだ唯一の世代です。
ほかのゆとり世代と異なり、ゆとり教育以外の学習指導を受ける機会がなかったため、この世代はゆとり教育の特徴を色濃く受け継いでいるといわれています。
ゆとり世代以外の世代
時代背景や価値観の特徴をあらわす名前をつけられたのは、ゆとり世代だけではありません。ほかにも、以下のような特徴的な世代区分が存在します。
- さとり世代
- ミレニアル世代
- Z世代
- つくし世代
- プレッシャー世代
それぞれの世代の特徴を見ていきましょう。
■さとり世代
さとり世代は、1980年代後半から2000年代前半に生まれた世代を指し、2025年時点では20代から30代後半の年齢層のことです。
さとり世代の名称は、「現実の厳しさを悟った」ことに由来すると考えられています。バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災など、日本経済や社会に大きな影響を与えた出来事を経験しており、将来に対して楽観的な見方を持ちにくい傾向があります。
また、さとり世代は脱ゆとり教育を受けて育った世代です。そのため、ゆとり世代とは異なった価値観を持つとされており、ゆとり世代が協調性を重視するのに対し、さとり世代は周囲に流されず自分で考え行動することを重視します。
参考:デジタル大辞泉
■ミレニアル世代
ミレニアル世代とは、1981年から1990年代半ば頃までに生まれた世代のことです。年齢層としては、2025年時点で20代後半から40代半ばの方が該当します。
ミレニアルという名称は、Millennium(千年紀)を迎える2000年以降に、成人したり社会人になったりしたことに由来します。子ども時代にインターネットが急速に普及し、IT革命とともに成長したデジタルパイオニア世代であり、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを使いこなすことが特徴です。
また、SNSを介して考えを持つさまざまな人々とコミュニケーションを取る機会も多い傾向にあります。
参考:デジタル大辞泉
■Z世代
Z世代は、ミレニアル世代の次に当たる世代であり、1990年代中盤以降に生まれた世代のことです。Z世代の年齢は2025年時点では10歳から29歳ぐらいであり、ミレニアル世代がY世代とも呼ばれることから、Yの次のアルファベットである「Z」の世代と名付けられました。
この世代は、生まれたときからインターネットが身近にある「デジタルネイティブ」であり、ITリテラシーの高さが特徴です。また、新聞やテレビなどのマスメディアへの関心が薄く、情報収集のメインツールとしてもSNSを積極的に利用する傾向があるといえるでしょう。
参考:デジタル大辞泉
■つくし世代
つくし世代とは、1985年以降に生まれた世代を指し、「他人に尽くす」「献身的に関わる」ことを重視する傾向が見られることから、「尽くし世代」と名付けられました。2025年時点では40歳前後の年齢層が該当します。
この世代は、ゆとり世代やさとり世代と同時期に育った世代でもあります。1987年以降に生まれた世代がゆとり世代として広く認知されたことにより、若者に対するネガティブなイメージが社会的に定着しました。つくし世代は、そのような印象とは異なり、若者の良い側面を捉えた名称です。
つくし世代は、他人への思いやりや信頼関係を大切にし、人に尽くすことを喜びとする特徴があります。一方で、強制や支配に対する拒否感が強く、自分の自由意志を尊重する価値観を持つことも特徴の1つです。
■プレッシャー世代
プレッシャー世代とは、1982年から1987年に生まれた世代のことです。2025年時点では38歳から43歳前後の年齢層が該当します。バブル崩壊や就職氷河期、大規模災害などの社会が大きく揺れ動く時代を経験しており、強いプレッシャーの中で生き抜いてきたことから、プレッシャー世代という名称が使われるようになりました。
就職氷河期世代とゆとり世代の間に位置しており、急激な社会の変化を身をもって体験したことから、情報分析力が高く、冷静に物事を判断する能力に長けている人が多いとされています。
また、プレッシャー世代は、アナログからデジタルへの移行期を過ごしたことで、新しい技術やトレンドに対する適応力が高く、変化への柔軟な対応ができることも特徴です。
ゆとり世代の特徴
ゆとり世代の主な特徴は以下のとおりです。
- ITリテラシー・スキルが高い
- 自己肯定感が高い
- コスパや効率性を重要視する
- ストレスに弱い
- 競争意識が乏しい
- 受け身・指示待ちである
- 仕事よりプライベートを大切にする
- 会社への帰属意識が薄い
それぞれの内容を解説します。
■ITリテラシー・スキルが高い
ゆとり世代は、幼少期からデジタルデバイスに触れる機会が多く、ITリテラシー、スキルが高い点が特徴です。インターネットを駆使した情報収集を得意とし、新しく登場する技術も抵抗せずに受け入れる世代でもあります。
また、仕事における連絡手段も、電話よりもメールやチャットなどを好む傾向があります。
■自己肯定感が高い
ゆとり世代は、自己肯定感が強いことも特徴です。従来の詰め込み型の教育ではなく、個々の強みや興味を尊重する教育を受けて育った背景から、自分の考えや意見に自信を持っている傾向が見られます。
そのため、創造的なアイディアを生み出す力や新しいことに挑戦する意欲が高いことも、この世代の強みといえるでしょう。
■コスパや効率性を重要視する
ゆとり世代は、コストパフォーマンス(費用対効果)や効率性を重視する傾向が強い世代です。短期的な損得にとどまらず、中長期的な視点で「本当に価値があるかどうか」を判断し、消費行動を決める傾向があります。
また、不安定な経済環境のもと育った影響からブランド志向が低く、世間の評価よりも「自分にとって価値があるか」「実用的かどうか」を優先することが多いです。
さらに、デジタルネイティブ世代であるためインターネットを活用した情報収集を得意とし、疑問があれば素早く検索し、速やかに効率的な解決策を見つけ出そうとします。
■ストレスに弱い
ストレスに弱い傾向にあることも、ゆとり世代の特徴です。競争よりも個性を尊重する教育によりストレスをあまり感じずに育ってきたため、ストレスへの対処法が身についていないことが少なくありません。それにより、仕事や人間関係のプレッシャーにうまく対応できず、精神的なダメージを抱え込みやすい傾向があります。
たとえば、職場で上司や取引先から叱られた際に、怒っている相手への対応や、叱られた自分の感情コントロールの方法がわからずにストレスを抱え込むといったケースが考えられます。休職や離職の原因になることもあるため、注意が必要です。
■競争意識が乏しい
ゆとり世代は、競争よりも個性を尊重する教育を受けてきたため、競争意識が乏しいといわれています。成績評価が相対評価ではなく絶対評価に変更されたり、運動会の徒競走で順位をつけない学校が増えたりしたことも影響していると考えられます。
そのため、他者をライバルとして捉えるよりも、仲間として協力することを重視する傾向が強いことが特徴です。競争心やチャレンジ精神が薄い反面、チームワークを大切にし、助け合いながら目標を達成しようとする姿勢が強いことは、ゆとり世代の強みの1つといえるでしょう。
■受け身・指示待ちである
ゆとり世代は、自ら積極的に行動するよりも、指示を待って動く受け身の姿勢が強いといわれることも少なくありません。競争を避け、個性を尊重する教育を受けてきた影響で、無理に努力するよりも、効率良く物事を進めることを重視する傾向があります。
仕事においても、上司や先輩からの具体的な指示がないと動き方がわからないと考える人が多いとされています。一方で、興味のあることに対しては自発的に行動し、効率的に成果を出そうとする姿勢を持っていることも、ゆとり世代の特徴です。
■仕事よりプライベートを大切にする
仕事よりもプライベートを大切にする人が多いことも、ゆとり世代に見られる特徴です。ゆとり教育のもとで育ち、学校以外の自由な時間を多く持てたことで、趣味やプライベートを充実させるライフスタイルを当たり前と捉える傾向があります。
そのため、長時間労働や残業を敬遠し、自由な時間を確保できる働き方を求める人が多いです。仕事一筋ではなく、自分の時間を大切にしながらゆとりを持って働くスタイルを好む世代といえるでしょう。
■会社への帰属意識が薄い
ゆとり世代は、会社への帰属意識が低く、転職への抵抗が少ない傾向があります。子ども時代にバブル崩壊後の不安定な雇用状況を見て育った影響で、終身雇用を前提とせず、自分に合った職場を求める価値観が根付いています。
また、与えられた業務はしっかりこなすものの、「会社のために貢献する」という意識は低く、あくまで自分の成長や生活のために働くという考えが強いことも特徴です。そのため、職場の人間関係にも深入りせず、マイペースな働き方をする傾向があります。