歩合制を導入する際のポイント
歩合制を検討する際に確認すべきポイントは、「完全歩合制を採用するための条件」「給与形態の明確化」「残業代の支払い」などがあります。最後に、歩合制を導入する際のこれらのポイントや注意点を確認していきましょう。
■完全歩合制を導入するための条件
もしも完全歩合制を採用したくても、導入するための条件に合わない場合は採用できません。固定給を一切支払わない完全歩合制を導入できるのは「業務委託契約」のみだと定められているためです。
労働基準法が適用される雇用形態の場合は、労働時間に応じて最低賃金以上の金額を支給しなければなりません。個人事業主との業務委託契約など、労働基準法が適用されないケースでのみ完全歩合制にできます。
■給与形態の明確化
歩合制を導入する場合は、企業と従業員とでトラブルにならないように気をつけなければなりません。まずは、給与形態の明確化が必要です。
歩合制の給与の決め方は企業ごとに異なりますが、固定給+歩合制で雇用する場合には最低限の賃金保障が要ります。保障給は、同企業の労働者が受け取る平均賃金の60%以上が望ましいです。また、固定給と歩合給を足して所定労働時間で割った時間給が、最低賃金以上にする必要もあります。
歩合制を導入する企業で従業員として働く場合は、契約内容や実際の収入額をある程度あらかじめ確認しておくといいでしょう。歩合給の割合が高い場合は、成果次第で収入が大きく下がる可能性があることに注意しましょう。
■歩合制を導入した場合の残業代
歩合制を導入した場合であっても、雇用契約を結んでいるならば残業代が発生します。もしも雇用契約を結ばずに業務委託の契約を締結して完全歩合制を導入している場合は、残業代の支給対象外です。歩合制の残業代は、「固定給部分の基本時給×1.25倍」と「歩合給部分の基本時給×0.25倍」という計算式で算出されます。
また、企業と雇用契約を結んでいる方は、有給休暇も付与の対象です。
■歩合制を導入する際の注意点
歩合制を導入すると、従業員が収入を増やそうとして長時間労働をおこなう場合があります。休憩時間を取らずに働き続けてしまう従業員が出る可能性もあります。
導入を検討している企業は、従業員が長時間労働で成果を上げようとしないように、労働時間や健康面の管理に注意が必要です。
また、従業員として歩合制を導入した企業で働く場合は、「成果を上げるのが大変な仕事ではないか」「自分のキャリアプランと合っているか」などを確認するといいでしょう。
歩合制や関連語との違い、メリットとデメリットなどを理解しよう
歩合制とは「成果報酬型の給与形態」で、個人の業績や成果が直接的に報酬に反映される仕組みです。また、固定給は「成果に関係なく一定額が支払われる給与形態」です。
歩合制や固定給は、それぞれに異なるメリットやデメリットがあります。歩合制の導入を検討している企業や歩合制の企業で働こうかと考えている方、今後歩合制が導入されそうな企業で働いている方は、それぞれの特徴や確認すべきポイントをチェックしておきましょう。
今回ご紹介した言葉の意味や歩合制の種類、メリットデメリット、重要なポイントなどを理解して、実際のビジネスシーンで適切な判断ができるようになりましょう。
構成/chihaya