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出汁の香りと色味を完全再現!うどん県から生まれた「うどん入浴剤」が爆売れした理由

2025.03.25

香川県と言えば「うどん県」だ。

高松空港には「うどんだしの出る蛇口」が設置され、ポケモンの「ヤドン」はうどん県PR団に任命され、うどん県公式インスタグラムまでお目見えするなど、香川のうどん愛はとどまることを知らないが、先日、その愛が限界突破したかのような「うどんグッズ」を見つけてしまった。

さぬきうどんの出汁の香りと色味を再現した温泉の素「さぬきうどんの香湯」

『一度はさぬきうどんになりたかったあなたへ…』というキャッチコピーも添えられたこの商品は、さぬきうどんの出汁の香りと色味を再現した温泉の素「さぬきうどんの香湯」。

浴槽に溶かすだけで、浴室に鰹節や昆布などを再現した優しい香りが広がり、自らが「さぬきうどん」気分を味わえる入浴剤らしい。

販売したのは、香川県高松市にある「道の駅 源平の里むれ」。強いうどん愛と、うどんを推したいという情熱が常識を超えた商品を現実のものにしてしまった。

今回、うどんの出汁を入浴剤にした張本人にどうしても話を聞きたく、「道の駅 源平の里むれ」の久保陽平さんに激烈すぎるうどん愛を聞いた。

――うどん入浴剤を企画したきっかけを教えてください

「当駅でも“食べる”さぬきうどんは人気の品だったのですが、お土産として考えた場合、毎年うどんとなると選択するのが難しいという思いがあったんです」

「ですが、香川の文化であるうどんを蔑ろにはしたくない思いもあり、うどんを”食べる”以外で体験する方法はないかと考えた際に、『自分がうどんになる』という体験をひらめきました。人が入れる大きな器といえば浴槽だろうという考えになり、そこから入浴剤という結論に至りました」

まさに、うどん県人たる誇りと情熱の成せる技。食べられたいほど愛している証が、この入浴剤には詰まっている。

「このアイデアを出したときは、売れるとは思われていなかったように思いますが、会社からはすぐに『やってみればいい!』という後押しをいただき、開発することになったんです」

話題になるような面白いアイデアを柔軟に受け止めてくれる社風が素晴らしい。

そんな後押しを受け、久保さんが本格的に動き始めたのは昨年夏。

自身が勤める道の駅で販売している出汁から、かけうどん風、ぶっかけうどん風の2種類を候補に挙げ、メーカーに依頼。リアルなうどん出汁入浴剤の開発に取り組んだ。

「香りと色の再現もメーカーさんにご苦労いただいたんですが、こだわったのは出汁の匂い。本格的な香りはもちろん、入浴したあとにはお湯の気化と共に匂いが薄らぐよう、香りの強さには気を付けました。ずっと体にまとわりついてしまうと、せっかく入浴した意味がありませんので」

試作品に改良を加え、9月に商品が完成。もちろん、発案者の久保さんもその魅惑の入浴剤を誰よりも早く体験した。

「浴槽から出汁の香りがすることに最初は違和感があるのですが、段々とうどんが食べたくなってくるんですよね。家族や知人からは、『自分では常用することはないけどインパクトは強いから話題づくりとして人にあげるには非常に良い商品』というお褒めの言葉をいただきました笑」

うどん出汁入浴剤が爆売れ!その理由とは?

昨年12月に発売された「さぬきうどんの香湯」は、瞬く間に売れた。800個用意したもののわずか3日で完売。さらにその後の追加発注も、一瞬で完売するほどの人気だったという。

なぜこれほどまでに客の心を掴んだのか?

「これは実際にお客様から頂いたご意見なのですが、『いつもはお土産にうどんを買っていたのでお土産のマンネリ化を防げた』、『帰省先、旅先での話題作りに役に立つ』というお声が多く、年末のお土産需要にうまく乗れた事が大きいと感じています」

ちなみに今期分は既に完売し、残念ながら現在は購入できないのだが、只今新たな入浴剤を絶賛開発中。新作はどんな入浴剤になるのか?

「現在、夏の販売を目指して『冷かけうどん・醤油うどん』などを再現した入浴剤を開発中です。再現度によっては方向転換をするため、仮ではありますが・・」

「また、今回好評だった入浴剤はあくまでも出汁のみの香りだったのですが、次回は出汁とトッピング(大根おろし、ネギ、スダチなど)の香りも再現して、より本物のうどんに近づけられればと考えています」

うどん県・香川を代表する商品を目指し、開発された商品は明らかに奇抜。だが、それが日の目を見たのは久保さんが勤務する会社の気風に拠るところが大きい。

「道の駅 源平の里むれ」を運営するのは、『株式会社 四国にぎわいネットワーク』という少数精鋭の組織。社員30数名の小ぢんまりした会社だそうだが、だからこそ他社にはない思い切った企画や商品が生まれる。

「弊社の魅力は、スタッフそれぞれがやりたい企画を実現させてくれる環境。本来はコスト、利益から始まり様々な効果、メリットを提示して企画が通るものですが、やってみたい!という熱意を重要視してくれる環境だと思っています」

かつては、高松市牟礼町の瓦をモチーフに、手の平に乗る【鬼面玉】を製作。冷凍庫で冷やすと溶けない氷としても使える変わり種だ。

「また、壁ドンの流行に合わせて「ひとりで壁ドンができるマシン」を導入し、道の駅の店内に壁ドンコーナーを作ったこともありましたね(笑)」(久保さん)

「道の駅」が日本に誕生して約30年。今年1月現在、全国には1,230の道の駅が存在するという。

しかし、中には赤字経営の道の駅もあり、コロナの影響もあって経営状況は二極化しているとも言われている。

なかなか厳しい「道の駅」経営だが、最後にお聞きしたい。

今後も「道の駅 源平の里むれ」を成長させていくために大事なこととは?

「ただ物を売るだけではなく、商品、企画、サービスなど全てを通して地域の魅力を発信し、地域を盛り上げていくことが大事だと考えています」

「ただ、一方的に地域の魅力を発信するのではなく、お客様を第一とし、お客様や社会のニーズに則することが前提です。地域のため、社会のために何ができるかを考え、尻込みせずに行動に移していきたいと思っています」

取材協力
道の駅 源平の里むれ

文/太田ポーシャ

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