
転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワークは、「働きがいのある企業ランキング2025」を発表。2万484社中、第1位に選ばれたのは、顧客や社会が抱える課題を解決するために統合的なソリューションを提供し、進化を続ける広告会社の電通だった。
このランキングは、匿名の現職社員または1年以上在籍した元社員による「OpenWork」の評価スコアが分析対象となっており、「社員の相互尊重」「待遇面の満足度」「社員の士気」といった8つの項目から総合スコアの高い企業がランキングされている。
電通は、「社員の相互尊重」で4.5/5点、「社員の士気」「風通しの良さ」「20代の成長環境」でそれぞれ4.4/5点と高評価を獲得。
そこで、入社5年以内の電通社員を対象に「働きがい」を取材した。
四人の社員から集まった声を前・後編に分けて紹介したい。
「手をあげればチャレンジをさせてもらえる」(入社5年目)
データ・テクノロジーセンターに所属する入社5年目の稲葉弘明さんは「電通は社員のモチベーションをあげるのが上手」と朗らかにやりがいを語ってくれた。
「自分がユーザーとして利用しているサービスのプラットフォーマーさんとお仕事をさせていただけているので、難しい仕事でも楽しくやれています」
稲葉さんは、データアナリストとして、音声メディアや動画配信サービスなどのコンテンツプラットフォームのデータを活用した分析業務からソリューション開発まで幅広い業務を担当しているという。
「私が音声メディアを担当しているのも『ラジオ好きです』と公言をしていたら、先輩から『やってみたいか?』と言われて入社1年目から音声メディアのデータプロジェクトリーダーを任せてもらいました。周りの同期たちを見ていても、私と同じように自分が好きなことを業務と繋げている仲間たちが多くて、個人のモチベーションを大切にしてくれているんだと、常々感じています」
稲葉 弘明
データ・テクノロジーセンター メディアコンテンツデータ部
2021年入社。ラジオや音楽を中心としたコンテンツのデータ分析を担当。
「入社前には、ここまで一人ひとりを大切にしてくれるとは思っていなかったので、いい意味で裏切られました。電通には多岐にわたる事業内容があり、さまざま部署があるります。新入社員の誰もが希望する部署に配属されるとは限りませんが、それぞれのやりたいことや好きなことを活かせる仕事を任せてもらえると思います。」
昨年、電通の佐野社長は入社式で新入社員に向けて次のようなメッセージを送っている。
「皆さんを含めた社員一人ひとりが自らのユニークネスを解放し、その能力を存分に発揮しながら挑戦できる環境を整えていくこと、そして社員同士の掛け算によって新たな価値が生まれ、その過程でさらなる成長を実現する、その仕組みを一つでも多くつくっていくことを約束します」
稲葉さんの話を聞いていると、佐野社長の言葉は新しい仲間たちを迎えるメッセージであると共に、いまの電通を再確認する決意だったのかもしれない。
「先輩たちが”おせっかい”なのが嬉しい」(入社5年目)
「想像していたより自由ですね」
稲葉さんと同期で新聞局に所属する糸谷里依子さんも自由な社風に驚きつつも、それ以上に”働きやすさ”を強く実感していると言う。
「任された業務の中で、自分の裁量を持って自由にやらせてくれるのに、上司や先輩が必要なサポートは必ずしてくれて、困った時はアドバイスをしてくれたり手を差し伸べてくれる。いい意味でおせっかいな人が多い。コロナを経て世の中にはよそよそしい感じが漂っていますが、とにかく電通の先輩はポジティブに世話を焼いてくれる温かさがあります」
糸谷 里依子
新聞局 ソリューション戦略部
2021年入社。新聞・デジタル媒体を中心としたプランニング業務やメディア起点での企画開発を担当。
電通には、部や局の垣根を超えてつながりでプロジェクトチームが結成されて、新たなクリエイティビティが誕生するという社内文化がある。糸谷さんはこの文化がやりがいにつながっていると指摘する。
「プロジェクトを始めようとすると、自分の局だけで完結させることに限界がありますが、他局と柔軟に連携をとることで、クライアントが抱えている課題に対し、最適な解決策を提案することができるようになります。100名以上の同期たちだけでなく、先輩・後輩のつながりでメンバーが増えることもあります。こういった社内のコミュニケーションやネットワークが充実していることも働きがいになっていると思いますし、何よりも自分自身が成長することを会社全体がサポートしてくれている気がして嬉しいんです。前人未到の領域や未知のものを面白がる人が多く、企業全体でセレンディピティを楽しんでいる、という感じでしょうか!」
セレンディピティとは、偶然によってもたらされる幸運のこと。ビジネスシーンにおいても、近年は注目された考え方だ。社員同士の化学反応による思いがけない成長もまた企業にとってのセレンディピティなのだろう。
(後編はこちら)
取材・文/峯亮佑