
リモートワークなど多様な働き方が定着した。会社にいれば自然に成立したコミュニケーションが減り、情報の共有化が新たな課題になりつつある。会社や仕事に対して抱く愛情や貢献意欲、信頼度の度合いが高い会社に勤めたいという「従業員エンゲージメント」という意識も広まり、コミュニケーションツールに対する関心が高まってきた。
そんな中、従業員コミュニケーションに特化したStaffbase(スタッフベース)のアプリが注目されている。すでに海外有名企業であるアディダス、アラスカ航空、アウディ、DHLなどの企業を含む約3,000社が導入しているStaffbaseのソリューションが、このほど日本に本格参入する。
2022年にはシリーズEで1億1,500万ドルの資金調達を行い、市場評価額11億ドルでユニコーン企業の仲間入りを果たしたスタッフベース。このほど来日した創業者兼CEO Martin Böhringer(マルティン・ベーリンガー)さんに、スタッフベースの従業員向けコミュニケーションクラウドソリューションツールについて聞いてみた。
世界3000社での導入実績を誇るスタッフベース
――最初にスタッフベースについて教えてください。
マルティンさん スタッフベースはドイツで生まれた会社で、コミュニケーションツールを開発・販売しています。世界中のトップ企業を鼓舞し、意欲を引き出すコミュニケーションソリューションを提供する、最速で成長を遂げる従業員コミュニケーションクラウドです。すでに世界中で約 3,000 社の顧客が、私共のアプリを利用して、素晴らしい成果を達成しています。
このアプリが他と違う最も大きな点の一つは、ブランド化された従業員アプリ、イントラネット、メール、SMS、Microsoft 365の統合を通じて企業と従業員をつなぎ、すべてをひとつのプラットフォームで管理できるソリューションである、という点です。スマホさえあれば、これまで紙で伝達していた内容を一瞬のうちに情報共有することが可能です。
特に使いやすさの点で大変高く評価されており、2024 年 Gartner® Magic Quadrant™ のイントラネット・パッケージ・ソリューション部門でリーダーに選ばれました。また、ClearBox の2024年版「イントラネットおよび従業員体験プラットフォーム」部門でチョイスアワードも受賞しています。
――従業員エンゲージメントの強化が可能になるということですが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?
マルティンさん 従業員エンゲージメントが企業の成長に重要がカギとなるという点は多くの方が認識されていると思います。たくさんのデータが、エンゲージメントの重要性を語っていますが、特に若い世代では、「いくら給料が高くてもエンゲージメントが低い会社では働きたくないと感じる」と答えています。
今後、AI化が進展すれば、これまで人がやっていた仕事は大きく変化していくでしょう。そうした時、自分にとって納得できる仕事に就いているかどうか、信頼に足る会社で働いているという実感を得られるかどうかは、ますます重要になってくるでしょう。会社が自分にとって快適で、働きたい場所であることが大切なのです。
コミュニケーションツールの導入で従業員の定着率が高まる
マルティンさん そして、働き方が多様化したり、国籍の異なる多くの従業員が働くようになると、情報共有といったコミュニケーションツールは今後ますます重要になるでしょう。昔は紙の社内報を印刷して、全世界に配布するやり方をしていましたが、世界各地のそれぞれの言語に翻訳して、印刷して配布した時には、すでにそこに書かれていたデータは古くなっていた、というケースは少なくなかったのです。
私どものアプリはスマホを持っていれば、ダウンロードして簡単に情報を取得できます。もちろん翻訳機能も付いているので、瞬時に同一情報を獲得することができます。
また、すでに導入されている企業にアンケートをとったところ、私どものアプリを使うことで、従業員の定着率が上がったという声をいただきました。さらに、重要な情報を自動的に配布するシステムにより、情報管理の省コスト化が進展したという話や、システムの安全性が向上したなどの声もいただきました。
こうした目に見える効果に加えて、私たちが「企業エンゲージメントを高める」という課題に貢献していることは確かです。
――なぜ今、日本へ本格参入されたのでしょう。
マルティンさん スタッフベースの本社はドイツ・ケムニッツにあり、すでにニューヨーク、ロンドン、ベルリン、シドニー、バンクーバーなど世界中にオフィスを構えています。社内体制が整い、日本の皆様に使っていただく環境が整った今、参入する時期だと考えました。私どもの足跡は図表を見て頂いた方が分かりやすいと思います。
特に日本とドイツは、ビジネスに対する考え方に多くの共通点があります。両国とも、正確さ、品質の追及、そして強い労働倫理を重視しています。また、組織や文化的にも日本と多くの類似点をもつドイツ市場で、豊富な経験を積んできました。ドイツ市場での知見を活かして、日本のビジネス界に大きな付加価値を提供できると確信しています。
細かな分析をくり返して使いやすく改良
――先日、私は久しぶりに海外のECサイトを利用しましたが、外国製のアプリは使いにくいという印象でした。使い勝手はいかがでしょうか?
マルティンさん たいへん重要な点ですが、私どもは「必要な人に付加価値を加えられるような分析によって裏打ちされている」ということを大切にしています。細かく何回も分析をしながら、ユーザーの使い方をチェックし、ローカライゼーションを重要視した使い方ができるように、仕組みを絶えず変えています。
例えば他のアプリが一週間に一度、10問のアンケートを取るとしたら、私どもは毎日1個のアンケート(それも短時間ですぐに回答できるような内容のものです)を実施します。細かくすぐに答えられるアンケートを実施することで、問題点に改良を加えて、使いやすいように絶え間なく改善しています。この分析という点は他社にない点だと考えています。
スタッフベースのアプリはモバイルアプリのため、デスクワークでない現場にいる従業員も含め、全従業員が同じレベルでコミュニケーションが実現できます。特にノーコードで様々なデザインメールを作成したり、社内のイントラネットをプログラミングなしで自由に作成できるなど、より伝わりやすいコンテンツ作りが簡単にできることが、私どもの強みのひとつです。
――最後に日本市場に対する期待について教えてください。
マルティンさん 日本の文化やビジネス習慣を学び、適応しながら、長期的な成功のために有意義なパートナーシップを築くことを楽しみにしています。すでに昨年末に自動車産業からのオファーをいただきました。日本市場に本格的に参入することで、わくわくした思いを抱いています。私どもは課題解決できると考えています。多くの日本の企業とともに、継続的な成長を実現していくでしょう。
インタビュー
創業者兼CEO Martin Böhringer(マルティン・ベーリンガー)さん
創業者兼CEOマルティン・ベーリンガー(Martin Böhringer)さん
社内コミュニケーションに特化したソリューションが必要であると考え、2014年Staffbaseを設立。起業家として経験豊富なマルティンは、IBMとシーメンスでの経験を積んだ後、2011年に最初の会社Hojokiを設立。2022年にはビジネス誌Capitalの”Top 40 under 40”に選出された。従業員コミュニケーションの強力な支持者である彼は、定期的に講演や専門メディアへの寄稿を行い、テクノロジーによるコラボレーションと従業員エンゲージメントの促進に関する見識を共有している。現在は家族とともにドイツのケムニッツに在住中。
文/柿川鮎子