
読者の皆様、日々こんなニュースが日常茶飯事となっていませんでしょうか?
不正会計、粉飾決算、データ改ざん、各種ハラスメント、経費の不正利用、個人情報流出etc。
もちろん、ニュースになるのは大企業が中心であり、これらは日本経済全体でみると氷山の一角にすぎません。
では、これらの原因は何かということですが、「内部統制」が機能していないということに集約されます。
「内部統制」とは、企業が適正な業務運営を確保し、不正や誤謬を防止するための仕組みやプロセスのことを指します。企業の業務の効率性や財務報告の信頼性、法令順守(コンプライアンス)を確保するために設計・運用する統制システムです。
この「内部統制」が機能するための前提条件とは何か、そこにポイントを絞ってお伝えします。
(1) 「内部統制」が機能するための最も重要な前提条件
前述のとおり、企業が適正な業務運営を確保し、不正や誤謬を防止するための仕組みです。
ですので、構築した「仕組み」を従業員の皆様が遵守徹底するということが大前提となります。
「仕組み」を構築してもそれが遵守されていなければ、それを守るかどうかは個人に委ねられている状態、つまり「仕組み化されていない」ことと同じ状態になります。
ポイントは、構築した仕組みが機能している状態とは、その仕組みを従業員が遵守徹底している状態ということです。
では、どうやったらこの状態を作りあげることができるのでしょうか?
「組織で決まった仕組みを遵守徹底する」という意識は、言い換えると、「この組織で決められたことは守らなければいけないんだ」という自覚を持っている状態です。
そして、実際に守っていることです。
これは、チームのトップが意思決定して旗を振ったら、全員がちゃんとついてくる状態です。
そのため、従業員である以上、これだけは守るべきルールを決め、周知し、その遵守徹底を進めることです。
ポイントは、そのルールを「誰でも守れるレベルのもの」とし、守れない=守らないという意思表示、とすることです。
(2) 遵守徹底のポイント
「遵守徹底」。これはどういう状態なのでしょうか?
シンプルにすると、遵守率100%の状態です。
では、どのようにしてその状態に持っていくかです。
結論を先に言うと、「ルールの違反回数=上司の指摘回数」とすることです。
つまり、ルールを守れない事案が発生した際に、その上司がルール違反に対して指摘徹底できていることです。
そうすると部下は、「組織で決められたルールは守らないといけないんだ」という意識に変化していきます。
逆に、ルールを守らなかった時に、上司からの指摘がないと、「別に守らなくてもいいのか」、という緩みが発生します。
この緩みが、内部統制を構築できないボトルネックとなるのです。
ですので、部下がいる方=管理職の皆様には、自分の部下にルールを守らせることが、管理者としてのまず実施しなければいけない役割であることを認識させるかが重要なポイントとなります。
(3) (2)の徹底の先に何が発生するのか?
ルールの遵守徹底ができると何が起こるのでしょうか?
この状態は、従業員の皆様が、「組織で決まったことは守らないといけない」という、「組織の一員としての自覚」が持てている状態です。
ルールを守ることはもちろんのこと、曖昧な状態や不明確な点があったときに、「上司に確認する」「上司にルール修正・設定の提案が上がってくる」という行動が見られるようになります。
つまり、ボトムアップで、組織の「内部統制」に必要な情報や提案が上がってくるようになります。
現場のことは現場を担当するメンバーが一番よく分かっています。
そこに情報を取りに行かなくても、メンバーが自分の責任を果たすために、そうした行動を自発的に実施するようになるのです。
内部統制の目的である、「業務の有効性及び効率性」につながってくるのです。
(4) 管理の必要性
ここまで徹底すると、内部統制が機能するイメージが膨らんできませんでしょうか?
ただ、この先に必要なことがあります。
それは、「人は弱い生き物だ」ということです。
「性弱説」とも言われます。
ルールは守らなければいけない、という認識を最初に持たせることができたとしても、
それを継続させることが必要です。
そのために必要なことが「管理」です。
「管理」とは、直属の上司が部下の目標の進捗状況を定期的に管理することであり、そこで部下の成長のために必要な改善策を出させることです。
この「管理」がないと、部下は、「自分は誰からも管理されない自由なポジションなんだ」という勘違いを起こす要因となりかねません。
この勘違いを起こした部下は、誰からも管理されていないので、ルールを無視して自由にできると勘違いし、不正等の最悪のケースに陥る可能性が出てくるのです。
そのため組織の一員である以上、自分を評価・管理する人がいるという状況を常態化することが必要不可欠なのです。
(5) まとめ
今回は、内部統制の構築がテーマでした。
ポイントを要約しますと、
・「内部統制」の前提条件としての組織で決められたことの遵守徹底
・「遵守徹底」のための管理職(=部下がいる方)の役割
・「遵守徹底」の先にある変化
・「管理」の必要性
といった、内部統制の根底にあるもの、その継続のためにはどんな取組みが必要かということでした。
まずは、「組織の一員としての自覚を持ってもらうためのルール作りと遵守徹底」から着手し、内部統制が機能するための前提条件の構築にトライしてみてください。
文/識学