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目指すのは〝退職代行のない世の中〟退職代行サービス「モームリ」への依頼件数が右肩上がりで増え続ける理由

2025.03.19

依頼者に代わり、退職の意思を会社へ伝えるサービス「退職代行」。そんな退職代行業界を牽引する『退職代行モームリ』の最終的なゴールは“退職代行のない世の中”だという。一見矛盾しているように見える目標だが、その真意はどこにあるのだろうか。

今回は、株式会社アルバトロス 執行役員 転職支援事業 部長 大山真司さんに、依頼者と企業の狭間に入る苦悩やヒットの要因、今後のビジョンについて詳しく伺った。

株式会社アルバトロス 執行役員 転職支援事業 部長 大山真司さん

*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

SNSで大バズリ!メディアの露出に合わせて依頼が急増

いまでこそ確立したサービスとなりつつある退職代行だが、『退職代行モームリ』がスタートした2年前は、まだ世間から冷たい目を向けられていた。

「企業 会社に電話をするとき、まずは退職代行の説明から始める必要がありました。当初は『非常識ではないか』『自分で言ってほしい』という声が多かったですね。退職代行のサービスを丁寧に説明したり、依頼者の状態をきちんと伝えたりして、理解してもらえるよう対応してきました」(大山さん)。

『退職代行モームリ』の依頼件数は右肩上がりに伸び続け、2025年1月には過去最多を更新。1月6日には、1日の依頼件数が256件に上った。

「立ち上げから1年間くらいは、月の依頼が100~200件ほどしかありませんでした。火つけ役となったのは、YouTubeやXなどのSNSを活用したプロモーションです。実際に会社に電話している様子を撮影した動画が話題になり、依頼数が600~700件まで伸びました。その後、メディアの方の目に留まったのが、4月にXで上げた新卒に関するポストです。テレビで放映される機会が増えたことで依頼数が一気に増え、月に1,500件を超えるようになりました」

相談件数5万件、退職を確定させた件数は3万件に上る『退職代行モームリ』。大山さんは、サービスの利用者について次のように続ける。

「利用している年代は、20代が6割、30代が2割、40代以上が2割です。男性女性の比率は男性5.5割、女性4.5割で、少し 若干男性が多いですね。職種としては、1位がサービス業。2番目に製造業、次いで医療関連業界が続きます。また、利用者の6割は入社後半年未満で、勤続年数の短い方が多いです」

『退職代行モームリ』の利用料は、正社員2万2,000円、パートアルバイト1万2,000円。価格設定にもこだわったと話す。

「私たちが参入した頃は、3万円ほどで価格を設定している業者が多かったです。そこで、『退職代行は使いたいけど出費が辛い』と感じている方たちにも使ってもらおうと、ギリギリまで下げられるラインで価格を設定しました」

退職代行の常識を変えた!モームリが実践する”中立”の姿勢

「退職の理由は年代によりさまざま」と話す大山さん。若い人に多い理由は、入社前と入社後のギャップ。人間関係や職場環境を重視する人が増えているという。

「『退職代行モームリ』は、転職支援のサービスも提供しており、その中で転職で重視する条件のアンケートをとっています。実は、最も求めていない条件が『給与』でした。反対に、一番重視しているのが、雰囲気や人間関係です。次に、ワークライフバランスが続きます」

『退職代行モームリ』利用者のうち、2~3割が利用している転職支援サービス。退職後も依頼者との関係を続けられる良いサイクルができている。

「退職代行は怪しい、うさんくさいといったイメージが少なからずありました。そこで、まずはマイナスのイメージを払拭することを喫緊の課題として取り組みました。透明性や安心感を持たせるために、ホームページ作りやSNSの発信内容にはとても気を付けています」

具体的に意識したのは、「中立の立場」だったと続ける。

「退職代行は企業の敵。そんなイメージを持たれがちですが、私たちはそうではなく『中立です』とアピールしました。依頼者が全て正しいわけではありません。依頼者寄りの発信をしないよう、事実をありのまま発信することに重点を置きました」

退職希望者と企業の狭間にいることで、苦労する面も多いという。

「退職代行を利用する人の6割は、企業とのすれ違いが原因で退職しています。残りの2割は企業側に問題があり、もう2割は依頼者に原因があるように思います。客観的に観て、どちらが正しいかは分かりません。だからこそ、第三者の視点であることを忘れず、中立の立場であり続けることを意識しています」

自分たちにしかできない発信を強みに認知を拡大

『退職モームリ』は、LINEを使用して依頼者とやり取りを行う。退職代行モームリの公式アカウントから問い合わせや無料相談をすれば、LINE上で退職確定まで完結できる仕組みだ。

「ヒアリングの時間は個人差があります。少ない方は10回未満のやり取りで済みますが、長い方は一日中LINEしていることも。また、退職確定後に連絡を取り続けるケースも少なくありません。失業手当のもらい方や、国民保険の切り替え方法を教える場合もあります」

『退職代行モームリ』の利用者は幅広い。特に注目したいのが、女性利用率の高さだ。

「サービス立ち上げ時に行った調査で、退職代行の利用者は6~7割が男性だと分かりました。そこで、女性の支持を集めるために、女性スタッフが在中していることを打ち出しました。女性にしか話せない悩みがある方や、女性特有の悩みを抱えている方たちを取り込みたいと考えたんです」。

中でも反響のあったマーケティング施策は、YouTubeやXなどのSNSだった。SNSでは、消費者の認知を拡大するために、自分たちにしかできない発信に取り組んだ。

「実際に相談されたハラスメントや、退職の理由を赤裸々に発信しました。また、企業に電話したときに会社の人に言われたことも発信しています。発信するときは、絶対に誇張しません。ねじ曲げず、ありのままを伝えることを重要視しています」

オリジナルの楽曲を作ったり、宣伝トラックを走らせたり、尖った施策を打ち続けている『退職代行モームリ』。その裏には、労働環境を良くしたい想いがあると大山さんは話す。

「令和退職歌~モームリ~」は今カラオケで歌うことが出来る

「令和退職歌~モームリ~」を流しながら新宿歌舞伎町を駆け抜けていく宣伝トラック

「退職代行の存在は、退職を抑止する力になると考えています。例えば、退職代行の認知度が高まれば、企業は『退職代行を使ってほしくない』と思うのではないでしょうか。退職代行を使われないように労働環境を見直そう、そう考える企業が増えたらいいなと思っています」

『退職代行モームリ』が目指す、退職代行のない未来

『退職代行モームリ』がヒットしている理由について、大山さんは次のように分析する。

「まず、『モームリ』という名前がキャッチーで覚えやすい点があります。次に、SNSを通じて透明性や安心感を浸透できたのも良かったです。『実際のやり取りを見ることができたので、安心して依頼できました』といった声も多くいただいています。最後に、中立の立場です。対企業の立場を取る退職代行業者が多い中、弊社は依頼者と企業の中立の立場を守り続けてきました」

『退職代行モームリ』は、最終的に“退職代行がない世の中”を目指している。その目標を達成するために、まだまだ認知度を上げていく必要があるという。

「退職代行の認知度を上げるためには、依頼者の方に安心して利用していただく必要があります。当サービスは、公式LINEでやり取りします。LINEのやり取りで安心してもらえるよう心がけているのが、依頼者に寄り添った対応です。AIで自動返信をしている他社さんが多い中、弊社は全て人が返信しています。今後どれだけ依頼が増えても、ここは決して変わりません」

退職代行のない世の中を目指し、新たなサービスも始めた。

「退職代行を利用された方のデータを開示するサービス『MOMURI+(モームリプラス)』を始めました。開示先は、労働者と企業の両方です。労働者は入社予定の企業を調べ、企業は労働環境を改善するヒントにできます。企業向けの施策として、スポットコンサルや顧問契約も行っています」

最後に、@DIMEのリスナーに向けてメッセージをもらった。

「ご自身の会社で退職代行を使われたことがある方も、これから使われるかもしれない方も。なぜ退職代行を利用する人がいるのか、考えてみてほしいです。退職者に原因がある場合もありますが、一度社内の環境を見返していただきたいと思います。そして、同じように退職代行を利用する方が出ないよう、できる対策をとっていただければ、私たちとしてもありがたいです」

取材・撮影/久我裕紀 構成/DIME編集部

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