
『コンサバ』は、英語の『conservative』を略したカタカナ語です。『保守的・控えめ・無難』という意味で、ビジネス・ファッションなどさまざまな業界で使われています。
目次
耳にしたことはあっても、コンサバの意味がよく分からない人もいるのではないでしょうか?意味を理解して、正しく言葉を使いましょう。
「コンサバ」とは?
まずは、言葉の意味を語源や対義語と併せて紹介します。
■英語の「conservative」を略したカタカナ語
コンサバは、英語の『conservative(コンサバティブ)』を略したカタカナ語です。『保守的』『控えめ』『伝統的』という意味を持ち、従来の習慣や考え方を維持しようとする姿勢を表す言葉です。
伝統や古風といったポジティブなニュアンスがある一方で、『古臭い』『変化を受け入れない』というネガティブな意味合いで使われることもあります。
ファッション業界でコンサバという言葉が定着していますが、ビジネスをはじめ他の業界でも使われています。
■「コンサバ」の対義語と使い分け
代表的な対義語は、『プログレッシブ』です。プログレッシブは、『進歩的・革新的』という意味があります。コンサバが伝統や現状維持を重視するのに対し、プログレッシブは変化や新しい試みを重視する姿勢を表します。
ファッション分野では、『アバンギャルド』や『コンテンポラリー』がコンサバの対義語です。アバンギャルドは前衛的で奇抜なデザインやスタイルを意味し、コンテンポラリーは現代的というニュアンスを持ちます。
ビジネスシーンでは、劇的な変化を伴うという意味の『ドラスティック』や、積極的という意味の『アグレッシブ』などの表現が対義語に該当します。
ビジネスシーンにおけるコンサバの意味と使われ方
ビジネスシーンでは、コンサバがどのような意味で使われているのでしょうか?ここでは、例文や言い換え表現についても見ていきましょう。
■ビジネスでの「コンサバ」の意味
ビジネスシーンでは、安定志向や慎重な姿勢を表現するときに使います。具体的には、『無難』『控えめ』といったニュアンスを含み、企画の内容や戦略、人物に対して幅広く使われています。
コンサバは、使う状況に応じてポジティブとネガティブな意味合いがあるため、文脈から判断することが大切です。
例えば、安定性が求められる場面では『手堅い』といった肯定的な意味で使われますが、戦略・企画などに対して『リスクを取らない』『新しさに欠ける』などネガティブなニュアンスで使われることも珍しくありません。
■「コンサバ」を使った例文と言い換え表現
ビジネスシーンでは、以下のように使います。
- 取引先の社風はコンサバなので、大きな変化を伴う企画を通すのは難しそうだ
- コンサバすぎる戦略は、他社から遅れを取るリスクがある
- 普段コンサバな彼が、今回は攻めた提案をしてきた
相手の傾向を表すときやアイデア・戦略に対して使うとき、また対比的に表現することもあります。
言い換え表現には、『手堅い』『無難』『保守的』などがあり、「手堅いアプローチが危機を救った」といった使い方が可能です。
コンサバは、肯定的にも否定的にも解釈される言葉のため、状況に応じて別の表現を使うことで、誤解を招くリスクを軽減できるでしょう。
業界別に見る「コンサバ」の意味や使われ方
コンサバは、さまざまな業界で使われています。業界によって意味や使われ方が異なるため、正しい使い方を確認しましょう。
■ファッション業界
ファッション業界でのコンサバは、控えめで上品なスタイルを指します。派手すぎない落ち着いた色合いとシンプルなデザイン、清潔感のある着こなしが特徴です。
女性の場合は、白いブラウスと黒のパンツといったシンプルな組み合わせや、シックなワンピースにツイードジャケットなどがあります。これらは知的で上品な印象を与えながら、ビジネスシーンにも適応できる着こなしです。
男性の場合は、ネイビースーツに白シャツを合わせたシンプルで清潔感のあるスタイルが定番です。上質なカシミヤセーターとベージュのチノパンの組み合わせなども、上品さを保ちつつリラックス感も演出できます。
■医療業界
医療業界では、『保存的療法』『非手術療法』を意味します。これは『手術療法』と対比される概念で、手術ではなく薬物療法や理学療法などでの治療のことです。
例えば、骨折の治療では手術で骨を固定する方法と、ギプスで固定して自然治癒を待つ方法がありますが、後者がコンサバな選択となります。
ただし、医療業界でのコンサバは、主に医療従事者間のコミュニケーションで使用され、一般の人が日常会話で耳にすることは少ないでしょう。
■政界
政治においては、『保守派』を意味します。伝統的な秩序や価値観を尊重し、急激な社会変化や革新的な政策に慎重な姿勢を示す政治的立場のことです。
政治的なコンサバは、フランス革命時代にさかのぼる概念で、保守主義の父と呼ばれるエドマンド・バークがフランス革命を批判したことが起源とされています。この思想は伝統的な秩序や文化、慣習を重んじる姿勢を特徴とします。
政治におけるコンサバの対義語としては、『リベラル派』『革新派』などです。これらは、社会変革や多様性を重視する立場を指します。
「コンサバ」は、業界によって使われ方が異なる
『コンサバ』は、『conservative(コンサバティブ)』の略語で、『保守的』『控えめ』『伝統的』という意味を持つ言葉です。ビジネスシーンでは、リスクを抑えた堅実なアプローチや従来の方法を重視する姿勢を指すときなどに使われています。
業界によって意味合いが異なり、ファッション業界では控えめで上品なスタイル、医療業界では保存的療法、政界では保守派という意味で使われています。それぞれの意味を把握し、正しく使うことが大切です。
構成/編集部