
媒体は、媒介となるものを意味しますが、ビジネスシーンでは『情報伝達の手段』を指します。日々変化するビジネス環境では、適切な媒体選択が成功の鍵を握ります。
目次
媒体とは?
『媒体』という言葉は、どのような文脈で用いるかによって意味が変わります。現代のビジネスシーンにおいては、情報伝達の手段を指すケースがほとんどです。ビジネスパーソンとして、媒体の意味を再確認しましょう。
■媒体の意味
媒体は、『媒』と『体』から成り立つ言葉です。媒は『仲立ち』、体は『もの』『形』を表し、二つの漢字が組み合わさると『仲立ちとなるもの』の意味になります。文脈によって、以下のように意味が変わる点に留意しましょう。
- 情報を伝達する手段
- 伝染病などを媒介するもの
ビジネスシーンでは、『情報伝達の手段』の意味で使われることが多いようです。テレビ・ラジオ・新聞・インターネットなどは全て媒体であり、これらは情報の送り手と受け手の間に立って、メッセージを届ける重要な役割を担います。
一方、科学や医療分野における媒体とは、『伝染病などを媒介するもの』を意味します。例えば、アジア・アフリカでまん延している『マラリア』は、マラリア原虫を持った蚊が媒体です。
■媒体とメディアの違い
メディアは、英語の『media』に由来する外来語で、媒体や情報の伝達手段を意味します。媒体とメディアを使い分けている人もいますが、両者の違いは明確ではありません。
メディアは数ある媒体の中でも、新聞・雑誌・テレビ・ラジオといった大衆向けの情報発信ツールを指すことが多いようです。ビジネスの現場では、情報発信の戦略を『メディア戦略』と称するのが一般的です。
ソーシャルメディアやマルチメディアなど、近年は『〇〇メディア』と付く言葉が増えています。
媒体の種類と特徴
ビジネスシーンで活用できる媒体は、いくつかの種類に分類されます。代表的な媒体の種類として、『マス媒体』『インターネット媒体』『SP媒体』を取り上げます。
■マス媒体
マス媒体の『マス(mass)』は、『大衆』のことです。不特定多数に対して情報を発信する媒体を指し、一般的には『マスメディア』と呼ばれます。
中でも、新聞・雑誌・テレビ・ラジオは『4大マスメディア』といわれ、社会的影響力が大きいのが特徴です。
新聞は、主に時事的なニュースを提供する媒体です。全国紙・地方紙・専門紙など種類が豊富で、近年は電子版も普及しています。雑誌は、ターゲット層に細分化されており、情報を届けたい相手を選べるのが利点でしょう。
テレビは、映像と音声による強いインパクトと速報性が特徴です。公共放送のNHKと民間放送があり、どちらも視聴者に大きな影響を与えます。
速報性が高く、地域の情報を細かく伝えられるラジオは、災害情報を入手する手段として役立つでしょう。近年はインターネット配信サービスによって、従来の地域制限を超えた展開をしています。
■インターネット媒体
インターネット媒体(インターネットメディア)は、オンライン上で情報発信や交流が可能なプラットフォームの総称です。
- 検索エンジン(Google・Yahoo!など)
- SNS(X・Instagram・Facebook・LinkedInなど)
- 動画配信プラットフォーム
- インターネットテレビ
インターネット媒体の利点は、利用者の年齢層や属性に応じたターゲティングが可能な点です。例えば、若年層にはInstagramやTikTokが効果的である一方、ビジネスパーソンにはLinkedInやXなどが適しています。
情報の発信者と受信者が、相互にコミュニケーションを取れるのも大きな特徴です。誰もが手軽に情報発信でき、相互のやりとりができるメディアを『ソーシャルメディア』と呼ぶことも覚えておきましょう。
■SP媒体
SP媒体は、『sales promotion』の略称です。人々の購入意欲を高め、購買行動に結び付ける媒体であり、主に以下のようなものが該当します。
- 広告(交通広告・屋外広告など)
- フリーペーパー
- ダイレクトメール
- 店頭POP
- 折り込みチラシ
- イベント・キャンペーン
SP媒体の特徴は、マス媒体と比べてコストが低く、特定のターゲットに効率的にアプローチできる点です。例えば、ダイレクトメールは特定の顧客層に個別にメッセージを届けられるのが特徴で、パーソナライズされた内容で訴求ができます。
イベントやキャンペーンは、新商品・新サービスの認知拡大に効果的です。マス媒体を招待すれば、さらなるPR効果が期待できるでしょう。
効果的な媒体選定の方法とポイント
媒体は、情報を伝える仲介役ですが、選び方で広告効果は大きく変わります。各媒体の特徴を理解した上で、適切な選定と組み合わせを行えば、効率的かつ効果的なマーケティング活動が実現するでしょう。
■目的と対象に応じた媒体を選定する
情報発信の媒体を選ぶ際、目的が曖昧だと費用に見合った効果が得られません。認知拡大・顧客獲得・ブランド構築など、目的によって最適な媒体は異なります。
また、自社のターゲット層の特性を把握することも重要です。年齢・職種・興味などに合わせて、彼らがよく接触する媒体を選定すれば、費用対効果の最大化が可能となります。
SNS広告はターゲティング機能に優れ、求人検索エンジンは明確なニーズを持つユーザーへのリーチに強みがあります。複数媒体を併用し、多角的にアプローチするのもよいでしょう。
選定後は、効果測定と改善を継続的に行います。
■媒体別の費用対効果と予算配分を考える
限られた予算で最大の効果を得るには、媒体別の費用対効果の把握が欠かせません。各媒体のROAS(広告の費用対効果)を測定し、広告費に対する売り上げの割合を比較することで、効率的な予算配分が可能になります。
予算配分の最適化には、過去の出稿実績データを分析する手法が効果的です。包絡分析法やiFDHなどを用いれば、各媒体への投資額と売り上げの関係を可視化できます。
また、媒体ごとの特性も考慮すべきポイントです。例えば、マス媒体は広範囲への認知拡大に強い一方、コストが高く効果測定が難しい傾向があります。SNSなどのインターネット媒体は到達範囲が限定的ですが、コストを抑えられます。
■複数媒体の組み合わせ効果を狙う
複数の媒体を組み合わせて相乗効果を生み出すマーケティング手法は、『メディアミックス』と呼ばれます。
この戦略の利点は、各媒体の弱点を相互に補完できる点です。異なる媒体には異なる強みがあるため、より幅広いターゲット層へのアプローチが可能になります。
例えば、テレビは認知度向上に優れていますが、情報量に限界があります。詳細な情報を掲載できるWebサイトと組み合わせれば、ターゲットをより詳しい情報へと誘導できるでしょう。
また、広告接触回数が増えると、記憶への定着率が高まります。これは『ザイオンス効果』と呼ばれる心理傾向で、複数の媒体を通じて同じメッセージに触れることで、商品への好意・信頼感が自然に育まれます。