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回転寿司業界のトップを走るスシローと巻き返し狙うかっぱ寿司、両社の戦略の違いと今後の展望

2025.03.20

デジタル化と省人化:DXをめぐる両社の動き

【スシロー:デジローが象徴する攻めのDX】

スシローは回転レーンをなくしても店内大型モニターに「寿司が流れている映像」を映し出す「デジロー」を導入し始め、実物の皿は注文後に高速レーンで提供する仕組みを拡大中です。これによって廃棄ロスや衛生リスクを減らしつつ、「寿司が流れてくるワクワク感」を映像で補っています。しかも、客が画面で見た商品をタッチ注文すると数十秒で席に届くため、従業員のオペレーション負担も軽減されるというメリットも大。加えて、会計もセルフレジ化を進めるなど、店舗スタッフの労務コストを抑えながら接客品質を落とさない構造を確立しつつあります。注文データや顧客属性はAIが解析し、時間帯や曜日別の最適な仕込み量を自動算出するなど「データ活用×エンタメ志向」の先進モデルを築いている点がスシローの強みです。

【かっぱ寿司:必要十分なDX導入と着実な効率化】

かっぱ寿司は他社で実績のある技術を素早く導入する「追従型」のDX戦略をとっています。例えばセルフレジや受付案内システム、モバイルオーダー、持ち帰り専用ロッカーなどは既に主要店舗でほぼ導入済みで、店舗スタッフの業務負担軽減や待ち時間短縮に効果を上げています。また、自動土産販売機を一部店舗でテスト導入するなど、ユニークな省人化策も試みられています。調理面では寿司ロボットを導入し、にぎり作業を標準化しているほか、グループ内でのセントラルキッチン活用により仕込みの一部を外部化して人手を削減。コロワイド全体のIT基盤を活用する余地がまだ残っており、今後はグループ共通のポイント・会員データの活用など、更なる顧客分析とサービス最適化に繋げる可能性があります。とはいえ、スシローのような「独自システムで新たな体験を創出」という革新性には及ばず、現時点では「必要十分なDX投資を行う堅実路線」がかっぱ寿司の特徴といえるでしょう。

今後の展望:トップを走るスシローと巻き返し狙うかっぱ寿司

【スシロー:海外展開と新業態でさらなる成長へ】

スシロー(F&LC)は、これまで培ってきた国内トップシェアを背景に、海外市場を次の成長エンジンと位置付けています。台湾や中国本土に続き北米への出店も加速し、2024年9月期時点では海外売上が921億円と全体の26%を占めるまでに拡大しました。1店舗あたりの売上が国内平均を上回るケースも多く、アジアの新興国で急増する中間層の需要を取り込むことで、さらなる飛躍が期待されています。将来的には世界ブランドとしての「SUSHI+ローコスト運営」モデルを確立し、日本発の外食チェーンがグローバルで成功を収める事例になる可能性を秘めています。国内では回転レーンを廃止して全席個室にする店舗や、持ち帰り専門店の試験展開など新業態も模索中。水産資源の安定供給やESGへの配慮といった課題はありますが、データ駆動型経営で対応策を講じていく構えです。

【かっぱ寿司:リブランディングの定着と攻めの選択肢】

かっぱ寿司はコロワイド傘下で再建を進め、ようやく黒字転換を果たしましたが、依然として競合3社(スシロー・くら寿司・はま寿司)との売上格差は大きいのが現状です。生き残りとシェア拡大のためには、さらなる商品力強化とブランドイメージ向上が不可欠となります。具体的には、(1)安さを守りつつも原材料高への対応を進めるバランス感覚、(2)集客力アップのためのフェア施策や食べ放題など話題性の創出、(3)DXと省人化でコストを抑えながらサービス品質を維持するオペレーションの確立、がポイントです。今後は海外進出にも本格的に乗り出す可能性があり、インドネシアなど東南アジアでの実験的な出店が報じられています。海外で一定の成果を上げられれば「かっぱ寿司復活」のシンボルとなるでしょう。とはいえ、まずは国内での確固たるポジション確立が優先事項であり、店舗網の再配置や顧客満足度の向上をどこまで推し進められるかがカギを握ります。

おわりに:回転寿司業界の「二大潮流」を象徴するスシローとかっぱ寿司

近年の外食産業は、ただ“安い”“早い”だけでは長期的な競争力を維持できなくなってきています。原材料高や人件費上昇、さらにはグローバル化やDX時代への対応など、企業を取り巻く環境は大きく変化し続けているからです。そのなかで、回転寿司という業態は“日本発の外食ソリューション”として独自の進化を遂げ、海外からも注目を集めています。その最前線に立つのが、**大胆な値上げやDX投資、海外攻勢でトップシェアを走る「スシロー」**と、**低価格の強みを活かしながらブランド再生を図る「かっぱ寿司」**の2社です。

この2社を注視すべき理由は、大きく分けて3つあります。

1. ビジネスモデルの両極を体現しているから

スシローは大手の資本力とブランド力を背景に、高付加価値商品やDX戦略、そして海外展開へ積極的に投資して急拡大を続けています。一方のかっぱ寿司は、100円寿司ブームを生んだ牽引役から一転して苦戦を強いられた経験を踏まえ、徹底的なコスト管理や既存店リニューアルで再生を図る“守りと攻め”の両面作戦を取っています。いずれも回転寿司という同じフィールドにありながら、**「高付加価値 vs. 低価格路線」**の対照的なビジネスモデルを示しており、その成否は外食業界全体のベンチマークになり得るのです。

2. DXとグローバル化による外食の新潮流が凝縮しているから

回転寿司は「省人化オペレーション」を追求する土壌が古くからあり、IT・AI活用が進みやすい分野でもあります。スシローが主導する大規模なデジタル投資や海外店舗展開は、回転寿司にとどまらず、日本の外食産業がどのようにグローバルへ羽ばたいていくのかを示す重要な事例でしょう。また、かっぱ寿司のように親会社と連携してDXや設備投資を“必要十分な範囲”にとどめる堅実型アプローチも、コスト高時代には大きな示唆を与えます。どちらのスタイルが持続的な成長を支え、さらには海外市場でも受け入れられるのか――2社の動向は、新たな外食の潮流を探る上で不可欠です。

3. 競争激化の中で、“次のブレイクスルー”の芽が見えるから

回転寿司業界は国内での新規出店余地が徐々に限られてきており、“安さ”だけでは差別化が難しくなっています。そこで問われるのが、顧客体験の再定義やサステナブルな漁業資源の確保、そしてエンタメと外食が融合する新サービスの創造です。スシローは「デジロー」で店舗体験を大胆に変革し、かっぱ寿司は「食べ放題」やコラボ企画で話題性を獲得するなど、それぞれに次のブレイクスルーを模索中です。この取り組みは、今後他の外食業態にも波及する可能性が高く、まさに「業界の近未来像」を占う動きといえます。

結局のところ、回転寿司という一見成熟しつつある市場でありながら、両社の競争は高付加価値 vs.低価格、国内拡大 vs 海外進出など、外食ビジネスの本質をえぐる構図を浮き彫りにしています。2社が描く戦略の成否は、回転寿司業界のみならず、いま大きな転換期を迎えている日本の外食産業全体の行方を左右するものとも言えるでしょう。安さにこだわり続けるだけではもう通用しない時代、そして顧客がおいしい寿司を楽しく食べるだけでなく、新しい体験やグローバルな価値を求める時代に、この2社がどのようなイノベーションを生み出すのか。次なるブレイクスルーに期待がかかる今、スシローとかっぱ寿司の戦いは回転寿司業界の未来を占う最重要ケーススタディとしても注目なのです。

【引用資料】
https://www.foodrink.co.jp/news/2024/11/1165949.html
https://news.ameba.jp/entry/20241222-21280105
https://news.livedoor.com/topics/detail/27615497/

文/鈴木林太郎

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