
スキマバイトサービス「タイミー」を展開するタイミーから、引き続き、深刻な人手不足に直面するホテル業界のスキマバイト利用実態レポート最新版(2025年3月版)が発表された。
本稿では同社リリースをベースに、その概要をお伝えする。
タイミー活用事業所数 約1.3倍増、募集人数も過去最高を更新
観光庁が2025年2月に発表した「宿泊旅行統計調査」(※1)によると、2024年の延べ宿泊者数は6億5028万人泊で、新型コロナウイルス流行前の2019年比9.1%増。そのうち外国人の宿泊者数は1億6360万人泊で、2019年比41.5%増となった。
(※1)観光庁「宿泊旅行統計調査(2024年・年間値(速報値))」
さらに、日本政府観光局(JNTO)が2025年1月に発表した「訪日外客数」(※2)では、2024年の年間訪日外客数は3686万9900人で、過去最高であった2019年の3188万2049人を約500万人上回り(15.6%増)、インバウンド需要が加速していることがわかる。
(※2)日本政府観光局(JNTO):「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」
一方、帝国データバンクが2025年2月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」(※3)によると、「旅館・ホテル」における、正社員が不足していると感じている企業の割合と非正社員における人手不足の割合は、ともに減少傾向にある。
(※3)帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」
「アフターコロナ」が到来してから深刻な人手不足が続き、2022年12月にはそれぞれの結果が8割を超えるなど、コロナ禍以前を上回る高水準で推移していたが、2024年に入って以降は、緩やかな改善傾向が見られている。
しかし、依然として上位10位内に入っており、人材不足という深刻な課題の渦中にいる状況だ。
これらの動向が影響し、ホテル・旅館の事業所数(タイミーに求人を掲載するホテル・旅館の数)は、2025年1月時点での前年同月比約1.3倍となった。
また、タイミーに掲載された募集人数は約1.5倍増(FY24 1Q期間とFY25 1Q期間の比較)(※4)で、夏季繁忙期の影響を受け、2024年8月には過去最高人数も更新。引き続き、スキマバイトの活用が拡大している。
(※4)タイミーの会計年度に即し算出。FY24 1Q:2023年11月1日〜2024年1月31日、FY25 1Q:2024年11月1日〜2025年1月31日
■GWのホテル業界を支えるスキマバイト、繁忙期対策として広がる活用
ホテル・旅館業界の繁忙期の一つであるGW(ゴールデンウィーク)にも活用が広がっている。2023年と2024年のタイミーの募集人数を比較(GW期間を含む4〜5月時点で比較)すると約2.8倍に増加しており、集中して人材確保が必要となる繁忙期対策の一つとして、スキマバイトのさらなる活用がホテル・旅館業界内に広がりを見せている。
その中で、タイミーのホテル・旅館専門チームでは、人手不足解消へのサポートだけでなく、スタッフの皆様の負担軽減と業務効率化にも貢献できるように、日々伴走を行なっているという。
同社では「スタッフの方々が本来時間を割くべき業務に集中できるよう、短時間で対応可能な業務や未経験の方でも行える業務等の潜在している新たな業務切り分けの提案を強化しています」と説明している。
■地域別ではインバウンド需要やホテル開業が進む関西エリアで募集人数増加
関西エリアでは、引き続き、長期滞在のレジャー客を想定したホテルの新規開業や改装が相次いでいる。2024年に大阪府を訪れた外国人客が推計約1464万人に上り、前年比約470万人増と過去最多の見通しとの発表がなされる(※5)など、インバウンド需要も急激に増える中で、関西エリアにおいてもホテル・旅館業界の人手不足が課題となっている。
(※5)2025年1月28日開催「大阪観光局1月度記者会見(公益財団法人大阪観光局)」にて発表
そうした中、関西エリア(※6)におけるタイミーに掲載されたホテル・旅館の2025年1月の募集人数は、前年同月比約1.3倍となった。
(※6)大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県
ホテル開業前から計画を立ててスキマバイトを活用する例や、スキマバイトのワーカーを中心に運用ができるようになった業務が出てきている例など、それぞれのホテル・旅館の状況に合わせたスキマバイトの活用事例が生まれている。
■支援強化により2024年12月の北海道弟子屈町の募集人数は前年同月比約26倍に
人材不足をはじめとする地域課題の解決に向けて、タイミーではこれまで14道府県・23自治体(2025年3月13日時点)と連携協定を結んでおり、2024年10月には、ひがし北海道に位置する弟子屈町と包括連携協定を締結。これまで共同の取り組みを行なってきた。
弟子屈町は、日本一の透明度をほこる摩周湖をはじめ、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖や温泉などを有し、観光業が基幹産業の一つとなっている一方で人口減少による労働力不足や高齢化が大きな課題となっている。
それらの課題解決に向けて、地域のホテル・旅館へのタイミー利用促進や導入後のサポートを推進したことで、2024年12月の募集人数は前年同月比約26倍と大幅に増加。包括連携協定による取り組み強化によって、町内での利用が急速に拡大した。
同社では、これらの実績を踏まえて「スキマバイトの活用が浸透していない地域での活用をさらに広げていくことにより、新たな人材との接点を生み出し、人員確保や観光業の活性化に向けた取り組みを今後も進めてまいります」とコメントしている。
関連情報
https://corp.timee.co.jp/
構成/清水眞希