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羽毛の回収率は90%!ユニクロが着々と進めるダウンのリサイクル事業、成功のカギは滋賀大津にあり

2025.03.18

ユニクロが進めるダウンジャケットのリサイクルは、アウターも、ウルトラライトダウンのようなインナーもまるっと回収して羽毛を活かしきる取り組みだ。2019年に回収を開始。2020年から「リ・ユニクロ」として製品化が続くが、そのリサイクル工程の肝心要が滋賀県大津市の東レ株式会社 瀬田工場だ。

東レ株式会社瀬田工場。かつては紡績工場として、現在では研究開発拠点として稼働している。月1回、社員食堂で販売されているパン&デザートが人気! この日はいちご大福でした。

羽毛回収率およそ90%!それを支える東レの技術

東レとユニクロの最強タッグの歴史は古く、その共同開発のスタートラインは2003年。ユニクロの代名詞「ヒートテック」素材の開発だった。以降、エアリズム~感動パンツ~ウルトラライトダウンなど、ユニクロの看板製品を実現化してきた、まさしく“縁の下の力持ち”。その東レがユニクロの夢を現実にした。

「ユニクロさんから相談のあったのが2017年でした。さっそく開発に着手しまして、2020年に運用を開始しています」と語るのは東レのエンジニアリング開発センター部員、岡尚樹さんだ。

東レ株式会社エンジニアリング開発センターの岡尚樹さん。

むろんダウンジャケットのリサイクルは、アウトドアメーカーを中心に以前より行われてきた。しかしジャケットを一着一着、手作業で切り裂いて中綿を取り出す手間の掛かる工程で、継続性の上での課題が多かった。しかもユニクロが製造販売する量たるやアウトドアメーカーの比ではない。逆から見れば、インパクトある数字をもつユニクロだからこそ、これを安定して運用できる仕組みを作らなければならないのだ。

保管倉庫に積みあがる回収されたダウンジャケットたち。およそ7割がウルトラライトダウンだという。

そんな「~ねばならぬ!」を叶えるドリームマシンを作ったのが東レだ。

「ジャケットを自動的に羽毛素材とそれ以外に分離します。開発の着眼点は羽毛の軽量性で、衣料を一定の大きさに裁断したのち、タンクの中で空気に舞い上げられた羽毛素材のみを回収しています」と岡さん。

衣類をたたんでコンベアに流す/分離された羽毛がタンク内を舞う/羽毛と分離されたナイロンなどの生地。

仕組みそのものはシンプルながら、裁断する素材のサイジングのほか、風量と風向、分別タンクの形状などに、風力発電翼用途にも使用される炭素繊維の開発、生産も手掛ける東レならではの「風のあしらい」の知見が活かされている。むろん詳細は極秘だ。すでに羽毛回収率およそ90%を誇るが、「一歩づつ100%に近づけたい。いずれはダウンジャケットの羽毛を全てリサイクルして再利用することを目指します!」(岡さん)。

「回収した衣類は、ダウンリサイクルのほか、難民支援や古着販売、機能素材への再生等として利活用しています。本格展開から5年、リ・ユニクロへの「感心層」「支持層」は着実に増えていると実感します……あ! リ・ユニクロのダウン回収に参加するともらえる500円のデジタルクーポンは4月30日までの配布ですのでぜひご協力くださ~い!!」と、ユニクロでサステナビリティマーケティングを担う石原裕巳さん。さすがピーアールに余念がないようで(笑)

思えば日本は、天然素材衣類の利活用文化をもつ。穴ができれば当て布をし、裂ければかけはぎをする。着る人が成長すれば縫い糸をほぐして仕立て直し、着古した布さえほぐして裂織(さきおり)にする。

回収された羽毛。ふわっふわで、手を入れると暖かいこと! 羽毛の膨らみ具合を示すフィルパワーも、新羽と遜色ないという。

そう考えれば、日本初世界標準の「ユニクロ」がリサイクルに取り組むのは、もはや運命・宿命ではないか! 来年、創業100周年を迎える先端素材メーカー「東レ」と生み出す、より自然で気持ちのいい「リサイクルのかたち」とはなにか。

さあいますぐクローゼットを開こう。そしてこれまで君を暖めてくれたダウンジャケットに「サンキュー! 次もよろしく」と語りながら、ユニクロへ行くべし!

リ・ユニクロ

文/前田賢紀

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