コンペと似た言葉
最後に、コンペと似た四つの用語を紹介します。ビジネスシーンで耳にすることもあるため、それぞれの言葉の意味と違いを理解し、知識を深めましょう。
■入札方式
入札方式は、価格を主な選定基準とするのが特徴です。工事や物品購入など、工法や規格が統一されている場合に採用されることが多い方法です。
提案内容を重視するコンペとは異なり、入札では最低限の信頼性・品質を入札参加資格で担保した上で、最も安い価格を提示した企業を選びます。
特に自治体などの公共ビジネスでは、入札方式が広く利用されています。税金を使用するため、費用面でのメリットを最大化できることや、公平性・透明性を確保できることが主な理由です。
入札方式には『最低価格落札方式』のほか、提案内容と価格の両方を評価する『総合評価落札方式』もあります。
■プロポーザル方式
プロポーザル方式はコンペの一種ですが、通常のコンペとは大きな違いがあります。この方式では、業務委託先を選ぶ際に、提案書を基に最適な『提案者(人)』を選定するのが特徴です。
コンペが提案内容そのものを評価するのに対し、プロポーザル方式では提案内容に加え、企業の実績・技術力・経験・事業実施体制なども総合的に評価します。つまり、アイデアだけでなく、それを実現できる能力や信頼性も重視するわけです。
プロポーザル方式のメリットには、公平で透明性の高い選定プロセス、質の高い設計の実現、発注者と受注者の協業体制の構築などがあります。一方、実績のない企業は参入しにくいというデメリットも存在します。
■相見積もり
相見積もりとは、同一条件下で複数の業者から見積もりを取り、価格を比較検討する手法です。コンペと似ていますが、明確な違いがあります。
コンペが提案内容や創造性を重視するのに対し、相見積もりは価格を主な選定基準とするのが特徴です。具体的には、同じ仕様・条件で複数の業者から見積もりを集め、最も条件の良い業者を選定します。
ただし、内装デザイン業界などでは、相見積もりとコンペの境界が曖昧です。
■プレゼンテーション
プレゼンテーション(プレゼン)は、一般的に相手に必要な情報を伝えて行動を促すために行います。一般的なスピーチと異なり、聞き手のニーズに合わせて内容を調整する点が特徴的です。
コンペとの大きな違いは、目的にあります。プレゼンは発表するという意味合いが強く、準備した内容を相手に伝え、聞き手の自発的な行動を促すことがゴールです。
一方、コンペは提案して比較してもらうことが目的です。つまり、プレゼンが単独での説得力を重視するのに対し、コンペは他者との差別化が鍵となります。
コンペはさまざまな業界で行われている
コンペは『competition(コンペティション)』の略称で、ビジネスシーンでは複数の企業・個人から提案を募り、比較検討するための仕組みとして活用されています。
広告業界ではクリエイティブ案の比較、建築業界では設計案の検討など、業界によって特徴や進め方が異なります。コンペを実施することで最適な提案を見つけられる一方で、時間と労力が必要となるのがデメリットです。
プロポーザル方式や相見積もりなどとの違いを理解することも、ビジネスコミュニケーションにおいて重要です。
構成/編集部